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魔法の騎士たちの能力

 

 俺たちは魔物のいないダンジョンを進んでいた。


「なぁハルト、たまに落ちてる魔物の死骸……全部、素材になる部位を剥ぎ取りされてるみたいなんだけど、もしかして──」


 ルークが気付いたようだ。


「うん、俺の魔法が剥ぎ取りしてる」

「……まじか」


 レベル80オーバーの魔物ともなると、取れる素材もそれなりに良いものになるので、牙や爪などの部位や魔石は俺の騎士たちに剥ぎ取らせていた。


 俺の魔法の騎士は魔物の解体までできちゃうのだ。その他、宝箱の中身も騎士たちが回収して最終層のボス部屋に集めてくれている。


 魔物の剥ぎ取りや、宝箱の中身回収などする必要がない。だから俺たちはダンジョンをただ真っ直ぐ歩いて最終層のボス部屋へと向かっている。


「主様の魔法はとんでもない汎用性なのじゃ」

「便利すぎますよね……いったい、どうやって?」


 ルナがどんな仕組みか気になるようだ。ルナとは家族になったわけだし、そのうち作り方を教えてあげよう。


 ちなみにヨウコ曰く、俺の騎士たちは禁忌魔法のフレイムナイトを遥かに凌ぐ性能を持っているんだとか。本家を知らないので俺は、ふーん、としか思わなかった。


 みんなと色々話しながらダンジョンを歩いていく。魔物が出てこないので忘れがちだが、本来ここはレベル80以上の魔物が闊歩するダンジョンの九層目だ。


 もちろん魔物だけではなく、凶悪なトラップの類も設置されているのだが──


「ト、トラップが全部解除されてル!?」


 最終層まで俺たちを安全に連れていくために、トラップを解除しようとしてくれた白亜が驚いていた。既にトラップは全て俺の騎士たちが解除していたからだ。


 トラップ解除もできる俺の騎士は、何があるか分からない危険な場所への斥候として最適だ。ちなみにトラップの解除方法だけど──


「ち、ちがウ。解除されてるんじゃなくテ、全部発動済みなんダ!」


 ──そう。


 トラップを起動させずに解除するのは、かなりの技術と知識が必要だ。さすがに俺の騎士たちでもそこまでは無理。


 まぁ、教えたらできちゃいそうな個体もいるけど。


 トラップの解除は厳しいけど、発動させてしまうことは簡単だ。だってトラップを踏んだり触れたりするだけでいいのだから。


 そして、このダンジョンのトラップには発動すると槍が飛び出てきたり、落とし穴が開いたり、毒ガスが吹き出したりするものがあった。


 槍などの物理的なトラップは、実体を持たない風の騎士には効かないし、氷の騎士の装甲を突き破れるほどの威力はなかった。


 落とし穴のトラップは、空を飛べる風の騎士には効果がない。また、風の騎士と氷の騎士でコンビを組ませているので、氷の騎士が引っかかっても風の騎士が助けてやれる。


 魔法である騎士たちに、毒ガスなんて効果があるわけがない。


 そんなわけで、騎士たちは魔物を殲滅しつつ、見つけたトラップには自ら引っかかり、俺たちが安全に進むことができるようにしてくれたのだ。


 我が魔法ながら、すごく優秀な奴らだ。それでいて、発動に必要なのが()()()()()()()という、コスパにも優れている。


 ティナの人造魔物は強く、汎用性も高いが、貴重な魔石や魔具を多数使わないと造れない。それを思うと、俺の騎士たちはお手軽だと思う。



 ──***──


 最終層のボス部屋の前までやってきた。


 ボス部屋の扉は開いていたが、八層目の時のように氷と風の騎士は扉の前で隊列を組み、待機していた。


 待機している騎士たちは少し数が減っていた。更に腕や脚がない個体も何体か……。


 俺の騎士たちがやられたり、手足を失うようなレベルの魔物がそれだけいたということだ。それを短期間で殲滅してくれたのだから、労わなくてはならない。


「みんな、お疲れ様。ありがとう」


 多くの言葉は要らない。だって俺の魔力から生まれた奴らだから。俺の感謝の気持ちは十分伝わるはずだ。


 騎士たちに表情はないし、行動にも表さない。でも、俺の言葉を聞いた騎士たちの内部の魔力が激しく流動し、歓喜しているのが分かる。


()()()()、ゆっくり休んでくれ」


 そう言った瞬間、騎士たちが魔力に戻った。


 そして、その魔力が俺を目掛けて飛んでくる。一体あたり一万前後の魔力の塊がおよそ八十個──それが俺に飛び込んできた。


 魔伝路を拡張しといて良かった。

 俺は騎士だった魔力を取り込んでいく。



 昔は炎の騎士は出したら出しっぱなしだった。敵にやられたり、役目を終えたらその騎士を構成していた魔力は空気中に霧散していた。


 ある時、それは勿体ないのでは?


 ──と思ってしまった。


 そこで役割を終えた炎の騎士を魔力に戻し、体内に取り込んでみた。


 すると、面白いことが分かった。魔力だけでなく、取り込んだ騎士が経験したことまで俺の中に取り込むことができたのだ。


 本来は自分の魔法が魔物を倒したら経験値がもらえる。しかし、俺に経験値は意味が無い。いくら経験値があってもステータス固定の呪いのせいでレベルが上がらないからだ。


 代わりに俺は、自分の魔法が魔物を倒し、その魔法を自分に取り込むことで魔法が経験した情報を手に入れられるようになったのだ。


 経験値はもらえないけど、経験は手に入る。


 これはなかなか凄いことだ。騎士を百体出せば、その百体が倒した魔物の情報──姿形や攻撃手段、弱点など全てを理解することができるのだから。


 俺が百人に分身したのと同じことなのだ。


 ちなみに魔法の騎士たちは、魔物などに倒されたとしてもその魔力は霧散せず、俺のもとに帰ってくるようになっている。


 騎士たちが攻撃で魔力を放出すれば、その分の魔力は戻ってこないが、一万の魔力の塊である騎士たちが魔力を使い果たすような攻撃は自爆攻撃だけであり、ほとんどの場合は俺のもとに帰ってくる。


 また、自爆攻撃をしなくては足止めも厳しい敵と対峙した時、その場にいる騎士が一体だけであれば全力自爆はせず、ほんの少し魔力を残して自爆する。そうすることで、僅かでも俺に魔力を戻そうとする。


 そして、少しでも魔力が戻ってくれば、俺はその魔力の元となった騎士たちの経験を取り込むことが可能だ。


 騎士たちが敵わない魔物の存在を知り、対策することができる。炎の騎士で勝てなくても、氷の騎士で勝てそうなら氷の騎士を送り、必要なら他の属性の騎士も送る。また、一体で勝てなければ複数体を送り込む。


 ──この方法で俺はこれまで、数多の強敵を倒してきたのだ。



 そして今、俺はこのダンジョンの八~最終層にいた魔物の情報が全て持っている。更に俺が戦ったどころか、実際に見たこともない魔物ですら、()()()()()を手に入れていた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 九尾や精霊は魔力を貰うと成長する。 魔力で呼び出した属性騎士も、大量の魔力で呼び出し続ければ、精霊化する個体が現れる、かな? 兜破損騎士は、最初はともかく、毎回禁呪として産み出される…
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