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魔物殲滅

 

「へぇ、ダンジョンのボスって復活できるのか」


「そう……でもハルト様の攻撃はダメ。復活できなイ」


 俺たちは白亜と名乗る白髪の少女から降伏してきた理由を聞いていた。この少女がここのダンジョンマスターだという。


 白亜は見た目は幼いが、内包する魔力はとんでもない量だった。彼女が竜であるというのも、本当のことだろう。


 彼女は人語を話す機会がほとんどなかったため、少し言葉がぎこちなくなってしまうらしい。


 降伏してきた理由だが、俺の魔法の騎士によって八層目の魔物が殲滅される様子を白亜と、この層のボスであるオーガが見て、恐怖してしまったからだそうだ。


 ダンジョンのボスは生を諦めない限り、何度でも復活できる。しかし、俺の騎士たちによる八層目の魔物殲滅は、白亜たちに生を諦めさせるのに十分な恐怖を植え付けてしまった。


 ちなみに七層目までのボスは、俺の攻撃で恐怖を感じる前──なにをされたかも分からないうちに倒されていたおかげで、復活できたようだ。



「降伏されちゃったけど、魔物とかって倒しちゃダメ? 仲間のレベル上げがしたいんだけど……」


「各層のボスでなければいいヨ」


 ボスたちは白亜がダンジョンの外から連れてきた魔物で、彼女と意思の疎通がとれる。だから倒すのは可哀想なので、やめてほしいとのこと。


 その代わりボス以外は自然発生の魔物だから、倒してしまってもいいと言ってくれた。


 俺は白亜にそう言われて安心した。特に九層目以降はルナとリュカのレベリングのために、是非とも魔物を狩り尽くしたいところだったからな。


「白亜、お願いがあるんだけど……いいかな?」


「なんなりト」


「この先、九層目のボス部屋の扉を開けてもらったりできる? あと俺の騎士たちが層を移動できるようにしてほしいんだけど」


「わかっタ」


 そう言って白亜はステータスボードのような半透明のボードを出現させ、なにかを操作していた。


 少しして──



「できたヨ、九層目のボスはボス部屋から退避させタ。ボス部屋の扉も開いていル。転移石に触れバ、魔法でも層の移動が可能」


 九層目のボス部屋がスルーできるようになった。これで、俺たちが移動するより先に、騎士たちは十層目まで行くことができる。


「ありがとう。それじゃ……行ってこい!」


 俺は氷と風の騎士たちに指令を出した。その指令を受けて、騎士たちは駆け出していく。


 八層目のボス部屋の奥の方に転移石があった。それに騎士たちが群がり、転移石に触れた騎士からその姿を消していった。九層目に移動しているのだろう。


 白亜が俺を騙して、戦力を削ろうとしている可能性も考え一応、騎士たちの位置を探っておく。


 ……大丈夫そうだ。


 ちゃんと九層目らしき場所に移動している。


 それに先程、俺たちの前に姿を見せた時の白亜は、本当に怯えているように見えた。多分、下手なことはしないだろう。



 そして騎士たちが姿を消した十数秒後──


 八層目の時のように、ルナとリュカの身体が青白く光り始めた。ふたりのレベルが上がっているのだ。


 やはり九層目は、俺たちが今いる八層目より魔物のレベルが高いようで、ルナとリュカの身体が光る間隔が短い。


「九層目の魔物たちガ、こんな速度で倒されるなんテ……」


 半透明のボードを眺めながら、そんなことを白亜が呟いた。


 彼女が持っているのがダンジョンを管理するボードで、魔物の数やダンジョンに挑戦しているヒトの情報をチェックすることができるらしい。


 俺たちに降伏してきた時には既に、俺たちの素性を把握していたらしく、白亜は俺の名前を知っていた。


 レベルも分かるらしいが、白亜は俺がレベル1であることには触れないでくれていた。


 ルークやリューシンたちにはまだレベル1だってこと言ってないから、ありがたい。



 数分後──


 どうやら、魔物の殲滅が完了したようだ。

 ルナとリュカの身体の点滅も終わっている。


 さすがに九層目以降は魔物も強く、騎士たちも何体かやられたようだ。それでもまだ戦える騎士は八十体くらい残っていた。


「ふたりともレベルは?」


「きゅ、92になりました」

「私はレベル95です!」


 ふたりとも無事にレベル90を突破できたようだ。


「ウソ……私、抜かれちゃった」


 リファがちょっと悲しそうな顔をする。


 無理もない。リファは王族が保有するダンジョンで効率よくレベル上げできたとはいえ、ほとんど自力でレベリングしてきたのだから。


 まぁ、安心してくれ。


 俺の目標は家族全員三次職──つまり、レベル150オーバーだから。


 もちろん、リファのレベル上げも手伝うから。



「そ、そんナ。八層目以降の魔物がぜ、全滅……ほ、本当に一体も残らないなんテ」


 管理ボードを見て白亜が愕然としていた。


 悪いな。ありがたく経験値として頂きました。


 とりあえず、このダンジョンに来た目的のひとつであった仲間のレベル上げは完了した。



 もうひとつの目的、ティナの記憶に関する情報を手に入れるのはこれからだ。たぶん、最終層になにか手がかりがある。


「ダンジョンってクリアすると、最終層の石碑に名前が残るんだろ?」


「そうだヨ」


 ダンジョンには、最終層のボスを倒した者の名が記される石碑がある──昔読んだ本にそう書いてあった。


 ティナは昔一緒に冒険した勇者の名前に関する記憶を失っているが、このダンジョンの石碑には勇者の名前が記されているはずだ。


 その勇者の名を知る必要があった。自分でもなんでかよく分からない。けど、それがティナの記憶を取り戻すきっかけになる──そんな予感がしたから、俺はここまできたのだ。


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