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高速レベリング

 

 この世界ではパーティーを組むと、レベルの高い者がより多くの経験値をもらえるようなっている。


 俺はレベル1で、ルナはレベル53、リュカはレベル65だった。この三人でパーティーを組んで魔物を倒すと、ふたりは経験値を俺のおよそ五十~七十倍もらえる。


 今回の場合、ルナよりリュカの方がレベルが高いため、リュカの方に多くの経験値が入ることになるが──まぁ、そのぐらいはいいだろう。


 俺とのレベル差を考慮すると誤差範囲だ。

 なんにせよ、とりあえずやってみよう。


「いいからいいから、これ持ってて」


 少し強引に、ルナとリュカにパーティー石を持たせた。


 パーティー石は複数持っていても効果を発揮しない。また一度、()()させたパーティー石を持っていないと、経験値の分配できない。


 俺がふたりに渡したパーティー石は同期済みで、同じ周期で光を発していた。ちなみに、パーティー石で経験値を分配できるのは四人までだ。


 そのためこの世界では、四人で一組のパーティーとなることが多い。


 なかばしぶしぶという感じで、リュカはリューシンとのパーティー石を彼に渡した。


 これで俺とルナ、リュカがパーティーを組んだことになる。


 今、俺たちはダンジョン八層目にある広めの部屋にいる。七層目の転移石に触れたらこの部屋に飛ばされたのだ。


 ここは広くてちょうどいい。



「アイスランス! ウインドランス!!」


 俺はその部屋を埋め尽くすほどの、多数の氷と風の騎士を作り出した。


 合わせて百体くらいはいるだろう。


 ここは地下のダンジョンなので、炎の騎士を出すと酸欠になる可能性がある。そのため、今回は氷と風の魔法にしておいた。



 さて、準備完了だ。


「殲滅しろ」


 俺の命令に従い、魔法の騎士たちがダンジョンの中に駆けていった。


「相変わらず、凄い魔法だな……」

「あれだけの数を数秒で生み出してしまうハルトさん……スゴすぎです」


 ルークとリファが褒めてくれた。


「なんで今回は、炎の騎士ではないのじゃ?」


「炎の騎士は周りの空気を使って燃えてるんだ。そんで、空気を使いすぎちゃうと、俺たちが呼吸できなくなっちゃうからな」


 ヨウコに聞かれたのでなるべく簡単に答えてやる。この世界では、酸欠とかはあまり知られていない。


 そもそも、地下のダンジョンといっても、多少の火属性魔法を使ったところで酸欠になるようなことは滅多にない。


 だけど、俺の炎の騎士はかなりの火力で燃えているので、消費する酸素の量が多かった。それを百体も出せば、いくら広いダンジョンとはいえ空気が薄くなってしまう。


 逆に()()を利用することで、地下に進むタイプのダンジョンであれば、中に入らず魔物を殲滅することも可能だ。


 ダンジョンの入り口から炎の騎士を複数体送り込んで、待機させておくだけでいい。


 しばらく待てばダンジョン内が酸欠状態になり、魔物は全滅するのだから。


 ただ、それには欠点もある。


 まず、呼吸を必要としないゴーストや不死タイプの魔物には効果がない。


 そして、酸欠で魔物を倒しても経験値が手に入らないのだ。



 そんなことを説明してやっているうちにルナとリュカに異変が起きた。


「えっ!? こ、これって──」

「そんな……まさか」


 ルナとリュカの体が青白く光り出した。

 レベルが上がった時に起きる現象だ。


 その後も十数秒くらいに一回、ふたりの身体は光り続けた。


 とんでもない速度で、ふたりのレベルが上昇しているのだ。


 どうやら俺の作り出した騎士たちが、ダンジョン内の魔物を殲滅し始めたらしい。


 通常、レベルを上げるのには同レベル帯の魔物を数十体倒す必要がある。自分より魔物のレベルが低ければ、さらに多くの魔物を狩る必要があるのだ。


「な、なんで?」


 リュカが俺を見ながら驚いていた。


 多分、俺のレベルをティナ以上だと思っているのだろう。レベル250を超えてる奴と組んでもそこまで経験値がもらえない──そう考えていたに違いない。


 だが実際、俺はレベル1だ。だからルナやリュカには大量の経験値が入る。


 そして俺がいくら魔物を倒しても、俺のレベルは上がることはない。


 パーティーメンバーとのレベル差が広がると、同じ魔物を倒しても俺に入る経験値がどんどん減っていくが、そもそも俺は経験値なんて必要ない。


 ──つまり俺は、この世界において最高効率で仲間のレベリングができる賢者なのだ。


 レベル上げ屋とかやってもいいかもしれない。



 しばらくすると、ルナとリュカの身体が光らなくなってきた。


 ダンジョン内部の魔物が減ってきたのだろう。


「そろそろ次の層に進もうか」


 氷と風の騎士たちは魔法なので、ボス部屋の扉を開けることはできない。


 あれはヒトが来た時のみ開くようになっているからだ。


 俺の魔法たちなら、その扉も壊せちゃうかもしれないけど……。


 とにかく、この八層目に魔物が少なくなってきたので、次の層に移動する必要があった。


「ちなみに、どれくらいレベル上がった?」


「す、凄いです。レベル63になりました」

「私は7上がって、レベル72です」


 ルナはレベル53から10も上昇したようだ。対して、リュカは7だけ。リュカの方が経験値は多く貰えてるはずだが、レベルが上がると必要になる経験値も増えるため、レベルの上昇率が落ちるのだ。


 次の層はここより強い魔物がいるはずなので、得られる経験値も増えるだろう。これを十層目まで繰り返していけば、このダンジョンをクリアするまでにふたりをレベル90くらいまで引き上げられるはずだ。


 レベル90とは、一流冒険者と呼ばれるBランクの者たちに匹敵する。普通の魔物にはまず引けを取らない。


 でも欲を言えば、防御力や素早さが低いルナにはレベル100を超えていてほしい……。


 まぁ、それはまた今度、エルノール家全体の戦力強化のため、まだレベル100に到達していないメルディとリファ、ルナとパーティーを組んでダンジョン攻略に来ることにしよう。


 最終的にはみんな三次職になってくれたら嬉しい。家族全員がティナ級の強さになってくれれば、少しは安心できる。


 そんなことを考えながら、俺はみんなを連れて魔物が全く出てこないダンジョンを進んでいった。


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