カオスの先にあるもの
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「桜柳、俺を列車でここまで連れてきて何をするつもりなんだ?個人的に旧型客車に乗れたことはうれしかったんだけどさ。まあ、こんな宇宙の果てに来ちまったよ。やれやれ、お前は何を考えているのかさっぱりわからん」
俺は思考をもはや諦めかけていた。俺の親友が実は『彼女』で、おじさんで、ここは俺の精神世界だとか宣ったり、本当に訳が分からない。
「一体これからどうすればいいんだよ」
呟いた独り言に答える声はない。静寂に包まれてしばらくしたのち、足音が聞こえてきたので、足音のほうに歩いてみた。
「思い出とは無価値なモノ、しかし、その在り方ははいかようにも変化する。ここは君の精神世界。故に明白。君はいないはずの『彼女』をカンパネルラに当て嵌めている。これは君の思考、そうありたいと思った一つの理想。まあ、『彼女』の生存に関して、君の理想とズレはあるかもしれないがね。」
向かった先にいたのは、いつの日か見た初老の男性。
「お前は数学のじいさん……」
「まあ君にはそう見えるのだろうな」
「まあ忘れるはずはないさ、お前の特徴的な髪形は忘れられない。そんなことはさておき間もなく終点って言ってからなんで15分以上も走り続けているんだ?」
「相変わらず口のきき方がなっていないな、君は。言ったはずだろう、ここは君の精神世界だと。まあこれ以上君にヒントを与えるつもりはない。せいぜい頑張りたまえ」
「なるほど」
俺は頷き納得してじいさんをみて考える。つまりはそういうことか。
機関車のドラフト音は次第に大きさを増していった。
「どうやら理解したようだな。さすが、私の見込んだ男だ」
「……つまりはこういうことだろ―――」
そう言おうとした瞬間視界が真っ白になり、意識が飛ぶ。意識をなくす直前に見えたのは、少し笑みを浮かべてこちらを見る老人の笑顔が見えた。
★
ブレーキで列車が停車すると同時に俺は意識が戻ったが、車窓を見てみるとそこには桜柳がよく訪れていた公園の目の前であった。
「懐かしいな……。なあ、いるんだろう。咲蘭」
不意に後方から聴いた事がない声が唐突に耳に侵入してくる
「「「「「「なあ、咲蘭」」」」」」」
「ちょっとまって、ちょっとまって、俺は桜柳でも咲蘭でもないぞ。中学のころから小説を書くことを趣味としていて、LINEグループで小説を投稿しあったりしていてかつ、数学もできる天才ルーフ・ベルファだぞ。なんだって俺が桜蘭なんて呼ばれないといけないんだ。もう俺は頭がおかしくなってしまう。簡単じゃねえよ。平常心を保つの」
しかし、簡単でないことを成し遂げるのがこの俺、ルーフ・ベルファだ。
「ああ、なんだよ、そういう事かよこんな事にも気がつかなかったのかよ俺はよ」
懐に入っている銃を取り出す。銃を取り出した瞬間、一人の少女が声をかけてきた。
「ああ、分かっているさ。数学のじいさんは言っていた。思い出は無価値でも、精神世界ならその在り方は変化する。ならこの少女は無視すべきだ。今、この瞬間、俺が向き合うべき相手は―――っ!!」
「あのー無視しないでいただきたいのですが」
気が付くと彼女はキスでもできそうな距離にまで来ていて、俺は一歩後ずさりして顔を赤くする。
「何ボーッとしてるんですか、こんなところにいたら流れ弾が当たりますよ」
「俺に流れ弾が当たることを心配してくれてるのかい?ただ、俺にはその優しさを受け取る資格はないんだ……なぜならね……」
―――俺は、桜柳がすきだから。
そう、俺は桜蘭に告白するためにずっと桜柳を捜索し続けていたのだ。
だが、もうわかっている。
「べ、べつに、一人じゃなくてもいいよなぁ。うんそうだとも。好きな人は何人いたっていいじゃないか。そうだよそうだよ。」
咲蘭はずっと俺の中にいたんだ、もはや俺と咲蘭は二人で一人なのだ、だったら……これは浮気にならない!!!!!!
だから俺はこの少女の舌にキスをした。
だがこの女は俺のキスを拒んでさらに頰を殴ってきた。
「なにやってるんですか。あなたは鏡を見たことがあるんですか?そもそもそんな顔で生きていて聡ずかしくないんですか?」
彼女の視線は冷たく、公園の空気が凍りついていくのがよくわかった。
「この世界は俺の妄想なんだよ!!!!!!!!!!!!!!だから何をやっても捕まらない!!!!!!!!!!!!!!!!ヒャッハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
そうして俺は俺の思いつく限りの欲望と羨望を行使して、思いっきり気持ちよくなった。
その行為を目にした女は俺に向かって殴りかかってくるが俺はその拳を避けて受け流して後ろに回った。
そうして世界は廻っていく。
「ルーフ・ベルファ。そうか、つまり君はそういう奴だったんだな。お前は俺を愛していると思ったのだがやはり、あのような性格の女が好みだったんだな。最初なぜ俺があのようなキャラクターになったのかをわかっていなかったというのが残念でならないよ。」
「小学生は……最高だったぜ……(完)」
実のところこのお話を最終話にする予定だったのですが、なんの因果かまだまだ続きを書いています。