殺意
ついにこの日が来た。
太陽がぎらぎらとひかり、俺の皮膚を焼き焦がす勢いが熱い。
今日は異世界からの列車が到着する日だ。
そう、ついに待ち望んでいた日が訪れたのだ。
永遠の天敵。「ルーフ・ベルファ」がこっちの世界に尋れてくるのだ。
奴に殺されて、過去の世界に戻った俺はルーフ・ベルファが初めてこちらの世界に訪れるよりも前の時間に来たことになっている。だから、ルーフ・ベルファは、本日この世界に初めて訪れるということになるのだ。
ペンシルに辱めを受けさせて、俺とペンシルを殺害した。奴は許される余地など微塵たりとも存在しないのだ。
「ご主人様、ルーフ・ベルファの件。どうします?」
ペンシルは真剣なまなざしをした目で俺に尋ねる。
ルーフ・ベルファ、忌々しさの象徴のような人には、屈辱感のシンボル的な苦しみを味合わせていただきたい。
「よし、こうしよう」
ホワイトボードとマーカーを用意して、ペンシルとルームあとロイドに作戦を伝える。
まず、列車が到着してすぐに、ロイドの必殺技、「シュバルツ・ダークマター」を発動させる。ちなみに、シュバルツ・ダークマターとは、周りの時空を止めることで、攻撃対象以外の動きと時間を止めることができる、ご都合主義的な結界のようなものだ。
さて、「シュバルツ・ダークマター」を発動させたのちは、ベルファをこん睡させる。
そして、この要塞に連れ込み、3Dプロジェクターを使い、列車の中を再現する。
そして、ペンシルを再現したものを用意する。
当然ルーフ・ベルファは欲望に駆られてペンシルに手を出すだろう。
そこで俺が、ベルファにとどめを刺す。
完璧だ。
ということを、三人に伝えた。
すると三人は、
「「「すごいです!ご主人様。この計画でしたら完璧にルーフ・ベルファを消し去ることが可能ですね」」」
三人は驚いたものを見たような表情で俺を見て驚いた。
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計画を伝えることができたので、4人でルーフ・ベルファが到着する駅へ向かった。
相変わらず、駅前には死んだような空気が漂っているので、人々の希望に満たされない表情は何度見ても心のどこかに息苦しい感情を覚える。
「ご主人様、やっぱりご主人様が王にならないとこの世界はダメなままですよ」
ルームは上目遣いの目で俺を見た。
後を続けてロイドが、
「ご主人様、ルーフ・ベルファを始末し終わったら王になりましょうね。ぜったいなんですからね」
「ああ、絶対そうしてやる」
俺の将来の身分は王になりたいと心から決心したのであった。
そうこうしているうちに、プラットフォームに列車が到着した。
車掌が扉を開けてすぐに、ロイドはシュバルツ・ダークマターを発動させた。
「よくやったロイド!」
そういって彼女の頭をなでると、なぜだか彼女の顔が赤くなった。
さて、周りの時間を止めたので、驚きふためいているルーフ・ベルファが列車からあほみたいな面をして出てきた。
「ここの世界はどうなっているんだ?」
相変わらずの、あほみたいな日本語不自由でいうルーフ・ベルファ。
寸分の隙間もないほど短時間の間に、ロイドはルーフ・ベルファを気絶させた。
そして、ルーフ・ベルファを屋敷にもっていった。
作戦通り列車の車内を再現する。
「起きろベルファ。いつまで寝ているんだ」
ベルファに声をかけると、ベルファは飛び起きた。
「?????!ここはどうなっているんだ。てか、お前は咲蘭か?」
「ああ」
俺は冷たく答える。
「桜柳、俺を列車でここまで連れてきて何をするつもりなんだ?個人的に旧型客車に乗れたことはうれしかったんだけどさ。まあ、こんな宇宙の果てに来ちまったよ。やれやれ、お前は何を考えているのかさっぱりわからん」
ベルファはよくわからないことを言っている。やはり頭がくるっている奴だ。
狂っている奴には、この状況を説明しなければならない。
「思い出とは無価値なモノ、しかし、その在り方ははいかようにも変化する。ここは君の精神世界。故に明白。君はいないはずの『彼女』をカンパネルラに当て嵌めている。これは君の思考、そうありたいと思った一つの理想。まあ、『彼女』の生存に関して、君の理想とズレはあるかもしれないがね。」
今の状況を説明した。しかし、そのまま自分の姿でいうのは少しつまらないと思ったので、こいつの数学の教師にだんだんと姿を変えていった。
「お前は数学のじいさん……」
「まあ君にはそう見えるのだろうな」
「まあ忘れるはずはないさ、お前の特徴的な髪形は忘れられない。そんなことはさておき間もなく終点って言ってからなんで15分以上も走り続けているんだ?」
「相変わらず口のきき方がなっていないな、君は。言ったはずだろう、ここは君の精神世界だと。まあこれ以上君にヒントを与えるつもりはない。せいぜい頑張りたまえ」
「なるほど」
ルーフ・ベルファは、俺のほうをみて納得したような表情をしている。まんまと罠に引っかかっているのが実に面白い。
「どうやら理解したようだな。さすが、私の見込んだ男だ」
「……つまりはこういうことだろ―――」
そう言いかけたベルファに俺は隠し持っていた麻酔銃をベルファに打ち込んだ。
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そして、3Dプロジェクターの設定を、俺とベルファでよく訪れていた公園へ設定した。
そして、睡眠薬の効果が切れたのでベルファは目が覚めた。
この公園の風景を見て彼は、
「懐かしいな……。なあ、いるんだろう。咲蘭」
と、寝ぼけたことを言っている。
そこで、作戦通りペンシルを登場させる。
「なあ、咲蘭」
ペンシルは、迫真に迫る名演技でベルファに話しかける。
その姿の迫力は、ぶったまげるものであった。
動揺したベルファは、
「ちょっとまって、ちょっとまって、俺は桜柳でも咲蘭でもないぞ。中学のころから小説を書くことを趣味としていて、LINEグループで小説を投稿しあったりしていてかつ、数学もできる天才ルーフ・ベルファだぞ。なんだって俺が桜蘭なんて呼ばれないといけないんだ。もう俺は頭がおかしくなってしまう。簡単じゃねえよ。平常心を保つの」
と、わけのわからないことを言っている。すると、ベルファは続けて、何かを理解したような口調で言った。
「ああ、なんだよ、そういう事かよこんな事にも気がつかなかったのかよ俺はよ!ああ、分かっているさ。数学のじいさんは言っていた。思い出は無価値でも、精神世界ならその在り方は変化する。ならこの少女は無視すべきだ。今、この瞬間、俺が向き合うべき相手は―――っ!!」
中二病患者のような意味不明なことを発言しているのでペンシルは、
「あのー無視しないでいただきたいのですが」
と、キスでもできそうな距離まで近づいて言った。
そして続けて、
「何ボーッとしてるんですか、こんなところにいたら流れ弾が当たりますよ。ここは、自衛隊も警察も何にもない危険なところなんですから。ボケーっとしていたら危ないです」
ベルファを惑わす甘い声で演技をするペンシル。すると、ベルファは、ホイホイと食いついてきた。
「俺に流れ弾が当たることを心配してくれてるのかい?ただ、俺にはその優しさを受け取る資格はないんだ……なぜならね……」
と、変なところで発言を止めたのち、
「俺は、桜柳がすきだから。」
などと、常軌が狂った発言をした。
……のであったが、
「べ、べつに、一人じゃなくてもいいよなぁ。うんそうだとも。好きな人は何人いたっていいじゃないか。そうだよそうだよ。」
などといった。
前回は、このタイミングでペンシルに手を出したので、ペンシルにはここでベルファをぶんなぐっていただく。
するとベルファは気絶した。
なので、俺はこいつを始末することにするので、3Dプロジェクターの部屋へ侵入する。
ここまでは計画通りだった。そう、ここまでは。
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