王の隠れ家
「ご主人様、これから先私たちはどうしたらいいでしょう」
ルームは不安げな表情で言った。
「そうだねえ。とりあえずルーフ・ベルファを何とかしようと思うんだけど、あいつはいつごろこっちの世界に来るのだろうか」
「えぇーっと、ペンシルがベルファのところへ行ったのがご主人様と私が出会って半年くらいのときのことですよね」
物覚えの良いルームは答えた。とても頼りになる存在だ。
「じゃあこの半年間で基礎固めをしなければいけないな」
ベルファを破壊するための準備期間はおよそ半年。その間にできることを考えなければならない。やれやれ、ベルファを殺ることくらい簡単なことだとは思うが準備に躊躇せず木端微塵にぶっ飛ばして、微粒子レベルで存在を消し去らなければいけない。
前回は王の立場を奪い取ったのであるがなんだかルーフは王と異世界で仲良くしまったので、俺が殺されたことになっていたので、王になることは控えることにしたので、新しく俺とペンシルとルーム、あとロイドのすみかをつくらなければならない。あ、ロイドをつくるのを忘れていたのでミツマタで記憶とロイドを作成した。
「ご、ご主人様―。まさかこんなことになってしまったとは。やはりあの時私はベルファを殺害しておくべきでした」
ルームはあの時のことを後悔していたらしい。しかし、俺が屋敷に連れてこいといったので殺さなかったのも無理ない。ロイドは全く無罪放免の濡れ衣なのだ。
「いや、君の手をベルファになんかに穢されるわけにはいかないよ」
「ご、ご主人様……」
ロイドは俺の腕に纏わりついた。
「ご主人様、早く住処をつくりましょう」
車を20分ほど走らせてみると、前回と同じように、草原、森、砂漠が広がっている。王都に住むのも考えたのだが、王の周りにいるのは危ないと思ったので森に住むことにした。
「なあペンシル、この森にある山だけどその山の地質ってどうなってるんだ?」
「そうですねえ、この辺は石が採れる山ですからとても硬くなっていますね」
石が採れる山。つまり地下壕をつくりやすい山だということだ。
「昔ここは王都で使う石を採掘するための山だったんですよ。でも今はあまり需要がなくなってしまって廃墟と一人か二人くらいの住民しか住んでいません」
そういえばベルファがここに来た時にここの住民を一人殺害していた気がする。なんてやつだベルファは!鍛えてやる!
「「「ご主人様、ここに私たちの家をつくりましょう」」」
ロイドとペンシルとルームは寸分狂わず一度に言った。
切通から山の中の採石場に入ることができたので、三人で入ることにしたが中は真っ暗闇であったので懐中電灯をつくり手元を明るくした。
「ご主人様の発想はやはりすごいです!火を使わずに明るさを作り出すなんて!」
ルームは目を輝かせていった。
懐中電灯もこちらの世界では珍しいものであった。まあこの世界では電気を使っているところを見たことがなかった。屋敷でも自分で発電機をつくってガソリンで電気をつくっていたくらいだ。やれやれ、なんでい世界って思い描いたように文明が遅れているのであろうか。
「ご主人様―寒いです……」
肌の露出度が多いメイド服をきたペンシルはとても寒そうにしていた。メイド服ではない服をつくることを提案したが、なぜか三人は頑なに拒否し続けた。
「このメイド服はご主人様との思い出がたくさん詰まっていますし、その……」
ペンシルは「その……」といったものの顔を赤くしてそこから先を言ってくれやしなかった。
「そうだ、採石場を涼しくするためにジェットストーブを置くか!」
ミツマタでジェットストーブをつくり採石場内を快適な環境にした。
「すごいです!やっぱりご主人様は最強です」
ルームは目をキラキラさせながら俺を見つめるのであった。
採石場の中は薄暗く、王の隠れ家のような雰囲気があった。もともと王であった俺とそのメイドが住むのにふさわしいような場所だ。もっとふさわしくするようにカーペットを敷いたり、装飾品を飾ったり、明かりをつくったりして、非常に快適な空間だ。ぽつぽつと流れる水の音もなかなか聞いていて心地の良いものだ。
「ただの採石場をこんな素敵な空間にするなんて!ご主人様はやっぱり最強ですね」
ルームもペンシルと同じような目で言うのであった。最初のころのロイドと違い感情が豊かになっていくのが常々と感じていくものだ。
そうして、採石場での新しい生活が始まった。
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自室で休んでいるとロイドがやってきた。
「ご主人様、ここ三日三晩ずっと我慢していたのですが……」
ロイドとの約束を果たせないでいたことを思い出した。




