ルーフ・ベルファの逆襲
今回のあとがきは少し他の方の作品に影響されております。
しばらく自転車を操っているとベルファが横たわっていたのが確認できた。
泥まみれでボロボロになった服装に、こけた頬。この世界での生活の状況の最悪さの一端の情報の見識することができる。
「ご主人様、ひどい姿ですねぇ」
ベルファの姿を見てペンシルは直情的な感情を漏らす。
「ああ。まさにこいつの状況を短かめに言って『ひどい姿』だねえ。まあ、所謂当然の報いってやつかな」
俺とペンシルは見つめ合い、ベルファを見てあざ笑う。
すると、
「お、お前は、桜柳なのか?」
「ああ。お前の残念な姿をちょっと見てみたいと思ってね。よくもあの時はペンシルを……」
「あのときは、どうしようもなかったんだよ。変な世界に連れてこられて右も左もわからなくて」
ベルファはあの時の状況の言い訳をしている。実にみじめだ。しかし、ペンシルは今にも泣きだしそうな、おびえている表情をしている。
「お前のくだらない言い訳なんぞ聞きたくない。お前はこの世界で永遠に苦しめ。苦しみ続けろ!」
「そうか、お前はもう俺を人として見ていないのか」
ベルファは俺に向かって泣き言のようなことを言ってきた。
「ああ」
もちろん即答でこたえる。ベルファなどもう人として見ていない。これからもそれは変わることはないだろう。
「俺はなぁ。俺はなぁ。お前のことがす……」
ベルファはまた何か言おうとしたが、これ以上こいつに付き合うつもりはないので膝蹴りを一蹴したので、ベルファはひっくり返ったので静かになった。
するとしばらくして、ベルファは立ち上がり、ペンシルの肩をつかんだ。
「お前これ以上この世界に俺をとどめさせるのならこいつがどうなるかわからないぞ」
「ご、ご主人様ぁ」
興奮してわけのわからないことを言うベルファ。そしてペンシルの涙が涙ぐんでいた。
「お前、ペンシルに触っていいとでも思っているのか!」
怒りを抑えることができなかったので、ミツマタでピストルをつくった。
「ごっ、ご主人様!殺人はいけません。ご主人様の手がこんな奴にけがされるのは嫌ですよ」
ペンシルがこう言うのでピストルを射撃することはやめた。ペンシルが言うのだから仕方ない。
しかし、このままではペンシルが危ない。なので、ハワイで習った合気道の技をベルファにかけ、気絶させた。
「ご主人様ぁ。怖かったです」
ペンシルは俺に抱き着いた。そして、俺の服に目をゴシゴシと擦り付けた。
「怖い思いをさせてすまなかった」
「でもご主人様が殺人鬼にならなくてよかったです。私のあこがれのご主人様が殺人鬼になるのはいやですから」
「ありがとう」
ペンシルの思いを受け取った。
「それじゃあ、ベルファはここに固めておいて、帰るとしようか」
するとペンシルは、俺の袖をつかみ、
「あの……もう少しここにいませんか?」
「どうして?」
「ご主人様と二人っきりで過ごせたのは列車の時以来ですのでうれしくて」
こういうことなので、この世界でペンシルともうちょっと過ごすことにした。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「ご主人様、私思っていることがあるんです」
ペンシルは草原の目の先にある地平線を見てつぶやいた。
「どうしたんだい?」
「ご主人様と初めてお会いしたとき、私が言ったことって覚えています?」
機関車のドラフト音が響き渡る旧型客車でのことを思い出す。あの時のペンシルは鉄道会社でウエイトレスをしていた。小学生にも見えるほどのきゃしゃな体で重いワゴンを運んでいたペンシル。彼女の表情は今ほど豊かではなく、とてもつらそうに仕事をしているのを思い出した。
「ウエイトレスをしていて、俺がお金を払おうとしたときのことだよね。覚えているよ」
ペンシルはメイド服越しに胸をなでおろした。
「よかった……今のご主人様は、安定な生活、安定な生活基盤、安定な権力があります。初めてこちらの世界の住人の人になったときは、確かに無理がありましたが今のご主人様は、無敵です。ご主人様は、最強です。ご主人様は、無双です。ご主人様は、世界最強です。ご主人様は、最強の料理人でもあります。ご主人様は、最強スキルを持っています。ご主人様は、チートです。ご主人様は、私の救世主です。ご主人様は、賢者です。いいえ、ご主人様は、今までの小説の最強を表す言葉では表現できないほどのお方です。」
ペンシルは、必死になって、真剣に、話している。そしてペンシルは、数秒の間を開けて、
「ご主人様。いいえ、桜柳様。私は桜柳様なしでは生きていけません。桜柳様は、私の人生を変えてくれました。ウエイトレスとしてしか生きていけないような私に生きる理由を教えてくれました。ご主人様は、私の英雄です。こんなちっぽけな私ですが、もしよろしければあなたの、一生のパートナーに……」
バババババババババババーン!
突然爆薬が破裂するような音が聞こえてきた。すると目の前が真っ赤になった。すると、目の前で話していたペンシルが、ばたっと音を立てて俺のほうに倒れた。
「ご主人様!早く逃げて!私のことはここに捨てて……ルームと、ロイドのところに早く!」
ペンシルから流れる鮮血の生暖かさを感じる。でもペンシルを捨てることなどできない。ペンシルは俺に……。
「ペンシル、そんなことを言わないでくれ!俺は今まで何とかしてきただろう。お前を見捨てることなんて絶対にしない」
「ふっ、格好の割ることをいつまでもべらべらと話せるもんだな」
するとさっき蹴っ飛ばしたはずのルーフ・ベルファの姿があった。なぜか機関銃を持っている。
「お前がさっき一万円札をピストルにかえているのを見てわかったんだ。一万円札があれば何にでも変えられるってね」
ベルファは一万円札をひらひらさせながら話す。
「アルフレートさん。この人ですよね」
「ああ。こいつで間違えない。俺の屋敷を奪い、俺をこの地へぶち込んだやつはこいつだ」
あのときの王がなぜかベルファと一緒にいた。
「俺はお前がしたことの話を聞いて絶望したよ。絶望のがけっぷちに立たされた。まさかお前が異世界の王様になって権威を振り回しているとはな」
ベルファは蔑んだような表情で俺を見る。
「そういうやつは死んだほうがいいんだよ」
するとベルファは機関銃で俺の心臓を貫いた。
そして、草原の池の藻屑になった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
機関車のドラフト音が鳴り響く。
隣には、ペンシルがいる。どういうことだろうか。
「ペンシル、ペンシル、大丈夫か?」
「ご、ご主人様!よかった……。ここはどこです?」
「わからない。以前俺が乗っていた旧型客車によく似ているが」
「うそ……」
ペンシルの表情は青ざめた。
ロイド「ご主人様とペンシル、今何をしているんでしょうね」
ルーム「ペンシルに手を出したやつなんて許せませんよ」
ロイド「ご主人様なら、何とかしますよね」
ルーム「はい。ご主人様は最強です!」
ロイド「そうですよね、ご主人様のことですからまた、何事もなく帰ってきますよ」
ルーム「ご主人様?……ご主人様って誰でしたっけ?」




