運命の文化祭!―1
今日は文化祭だ。
学校には着いて、開会式も終わったけど、オレの気分はかなりブルーだったりする。
オレは正直なところ、メイド喫茶ってのは嫌だった。
ただ、なってしまったものはどうしようも無い。
嫌な理由は色々あるが一番はあれだ。
「ああ、オレがあの服を着るときが来てしまった……」
そう、メイド服を着なければならない。
岳に見せる分にはまだいい。
ただ、他の人たちに見せるのは流石に恥ずかしい。
そして、そのメイド服は今、オレの目の前にある。
「……うーん、着なきゃいけないのか?これ」
「岳に見せるためってだけでも、良いんじゃ無いの?」
夏希がそう言う。
「うん、いや……まあ、そうなんだけどなー。いざ着るとなると急に緊張してきてさ……」
「なにそれ、私が無理矢理着せてあげようか?」
「はあ!?いやいや、いいよわかったよ着るから!」
誰かに着せられるとか嫌すぎる。
着せられるぐらいなら自分で着る方がいい。
「ほんと、私だってこんなの着るの嫌なんだから我慢しなさいよ……」
「あー、やっぱり夏希も嫌なのか」
「当然でしょ?私がこんな服着るの想像できる?」
まあ、確かに夏希はメイド服なんか着そうにないな。
夏希も着てるのに俺が着ないのはダメだな。
「よし、早く着替えて準備するか!」
ちゃんと着替えて準備の方を手伝うことにした。
○
現在、文化祭が始まって三時間程経った。
午前中はあまり人が来ないと思っていたけど、結構うわさが広まっていたらしく、いきなりちょっとした行列になった。
「お……おかえりなさいませ、ご主人様!」
そのせいで、ひたすら恥ずかしいセリフを言ったりしている。
なんか、ちょっと精神的に来るものがある。
まあ、結構面白いやりとりが聞けたりするから、面白くない訳ではない。
「おかえりなさいませって言ってよー」
「はあ?なんで私があんたにそんなこと言わなきゃいけないのよ!」
とか言ってる仲良さげな男女とか、ほかにも女友達にメイド服をからかわれてる人とかがいたりする。
ちなみに、からかわれているのは夏希だ。
「あー、やっと昼休みだー!」
「三時間ぐらいが、かなり長く感じたな」
「でも、まだ午後があるのよね……」
そういうことは言わないでほしかったなー。
○
結局午後からもかなり繁盛しずっとピークのまま一日目の文化祭は終了した。
今日の分の料理の材料も全て使いきった。
「まさか、あんなに客が来るとはな……」
「オレもあんなに来るとは思わなかったな……」
「はー。私、なんか凄く精神的に疲れたわ……」
オレも岳も夏希も、完全に疲れきっている。
「まー、暇になるよりはいいだろ」
「それはそうなんだけどね……」
そのあとも全員が別れるまで今日の文化祭の話をしながらオレ達はそれぞれの家に帰った。




