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文化祭の準備―1

 さて、夏休みから一ヶ月。

 うちの高校では文化祭の季節となった。

 今日のホームルームでは、その文化祭での出し物を決めるらしい。


「お前らもう出し物の候補決めてるのか?」

「私は決めてるわよ」

「オレも一応は、ってとこだな」


 俺も決めてるので、取り敢えず全員決めてるわけか。

 そんでもって全員それで決まりそうにはない感じだな。

 ちなみに俺と薫と夏希はクラスは同じだ。

 とその時、教室のドアが開き、先生が入ると同時に始業のチャイムが鳴った。


「はい、じゃあホームルーム始めます。挨拶!」

「起立、気を付け、礼」

「「お願いします」」


 挨拶が終わり、今日のホームルームの説明を先生が始める。

 まず、くじ引きで代表を五個決める。

 次に、その五個で多数決をとり、それで決まったものを、俺達のクラスでやる、と言うルールだ。


「はい、じゃあ五分時間をとるので、自分のやりたい出し物を、今から配る紙に記入してください」


 先生から紙が渡される。

 皆が自分がやりたいと思ったことを書いていっている。

 ちなみに、俺が書いたのは、モザイクアートだ。

 簡単に言えば、色をつけたつまようじ等を使って、板に刺して絵を作ろう的なやつだ。


「時間になったので、後ろの人から集めて下さい」


 先生の合図で紙を集めて袋のなかに入れる。

 そのあと先生が五枚、紙を取った。


「えーっと、メイド喫茶、モザイクアート、バカッコイイ動画、……メイド喫茶、メイド……喫茶」


 えー……。

 男子、欲望に忠実すぎだろ。

 先生が絶句してるのなんか始めて見たぞ、俺。


「うん……、はい。じゃあメイド喫茶とモザイクアートとバカッコイイから多数決を取ります」


 これは……もしかしたらメイド喫茶で決定か?


 結果、うちのクラス男子二十二人、女子十八人のうち男子全員と女子の一部の賛成で、メイド喫茶に決定した。

 俺も誘惑に負けてしまった。


「えー、半数以上の賛成で、メイド喫茶に決定です。今日はもう授業が終わるので、次回までに運営方法等を考えておいてください」


 今日のホームルームはこれで終わり、そのまま続けて終礼をして、下校となった。


 ○


 今日は薫達は部活動なので、俺だけ一人で家に帰ることにした。

 たまに手伝いと言うか、雑用をしに顔は出すが、今日は気分じゃない。


「家に着いたはいいが、やることがないな……」


 ちょうど昨日掃除したばかりなので、掃除もやる気が出ない。

 やることもないので、最近の薫の変化を思い出してみることにしよう。

 最初はやっぱり、女性になったことだろう。

 これが、最初にして最大の変化だ。

 そのあと俺と薫でしばらく一緒に生活することになった。

 それで、斗賀野モールで色々あったし、風邪もひいたりしたな。

 他にも色々遊んだりもしていたので、退屈することは無かったな。

 そして、夏祭り。

 俺が薫のことを意識しだしたのは大体この辺りからだ。

 あのとき浴衣を着てきたのには驚いたが、薫の浴衣姿は綺麗だったな。

 夏休みが終わってから、薫がよく俺の家に泊まりに来るようになった。

 あいつはなんと言うか、とにかく無防備だと思う。

 うちの風呂を出たときに下着のまま脱衣室から出てくることがあり、いくら親友って言っても限度がある、と思った。


「取り敢えず、このぐらいか。……いや、まだあったな」


 これは本当に最近のことだが、薫は料理がかなり上手くなった。

 今では、弁当を自分で作って持ってきているいるらしい。

 それに、おしゃれをするようになり、スカートが少し苦手だと言っていたが、着るようになった。

 俺は気になって、理由を聞いてみたが、こう言われた。


『あー、それはほら、オレって女の子になっちゃっただろ?男として生きてくこともできるけど、オレはもう女性として生きてくって決めたからさ。しゃべり方なんかはまだ無理だけど、女の子らしくおしゃれしたり、料理したりってのはできるから、そういうとこから女の子らしくしようと思ったんだ』


 と言っていた。

 TS病になったことには、自分でうまいこと折り合いはつけているらしい。

 だから俺は薫のことはもう異性として考えて、それなりの対応をするようにしている。

 俺としては、薫にはもう少し恥じらいを持ってほしいがな。


「……まあ、こんなとこか。ん、結構良い時間になったな」


 ふむ、結構時間を潰すことが出来た。

 そろそろ飯にするとしよう。

 夕飯を食べて、ゆっくりしてから洗濯と食器の片付けをして、明日も学校なので俺は寝ることにした。

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