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俺と彼女の二人の日常

 さて、突然だが俺、鈴井 岳には好きな人がいる。

 今まで好きな人など居たことが無かった俺が、彼女のことが好きだと自覚したのはつい最近のことだ。

 ぶっちゃけると俺の好きな人ってのは、俺の親友の薫だ。

 俺は彼女のことが好きだし、彼女が俺のことを好いているのは知っている。

 薫は俺の抱く感情は分かっていないようだが、俺はラノベの主人公では無い。

 と言うか、俺から見れば薫の変化はあからさまだしいやでも気付く。

 それでも、俺から告白してないのは、俺に覚悟が出来ていないからだ。


「俺の考え方も変えるべきか……」


 正直なところ俺は、できれば恋人の関係になりたいと思ってはいるが、同時に親友と言う関係のままでありたいとも思っている。

 俺のなかで恋人と親友は同時に成立してない。

 きっと、俺のこの考えを変えなければ俺はいつまでも覚悟を決められないままだろうとも思うが、自分の昔からの考えはそうそう変えられるものじゃないのだ。


「あっちが告白してくるのを待つのもひとつだけどな……」


 だが、俺がふわふわしたままで付き合うってのは、なんか違う気がする。

 それに、薫がそれで嬉しいと思うだろうか。


「うーん、どうしたらいいんだ……」


 と悩み続けているうちに夏休みも終わり、もうすぐ一ヶ月となるが、俺は独り暮らしもどきをしている。

 独り暮らしを始めたのは、つい最近のことだ。

 父さんが仕事柄転勤が多く、いつもなら割とすぐ帰ってくるのだが、今回はかなり遠い所にいったらしく、俺が卒業するくらいまで帰れないらしい。

 どこまで行ったらそんなに長くなるのか……。


「……部屋片付けるか」


 今日は土曜日だが、俺は普段から朝七時に起きるようにしている。

 昔は本当に朝が苦手で、それを少しでも直そうと思って早起きの習慣をつけようとしたら、そのまま完璧に習慣付いた。

 それに今日は、昼から薫が来るからゲームやら漫画やらの散らばった部屋の掃除をしたいからな。


「あれ、これの一巻どこやったけか……」


 ああ、そういえば薫に貸してた気がする。

 初めて薫が家に来たとき、片付ける損ねたラノベやら漫画を見られて、俺のオタクっぽい趣味がばれてしまった。

 だが、薫もこっち側の人だったようで、それ以来俺達はお互いに持ってない本などを交換しあっている。

 今日薫が来るのも、返却と交換をするためだ。


「よし……。取り敢えず全部片付いたな」


 丁度昼前。

 昼飯はうちで振る舞うことになっているから、そろそろ来る頃だ。

 と言ったところで我が家のインターホンが鳴った。

 どうやら薫が来たらしい。


「岳ー。はいるぞー」

「おーう」

「今日はなに作ってくれるんだ?」

「今日は新作だ。楽しみにしとけ」


 薫には適当な所に座ってもらい、俺は昼飯の用意をする。


 ○


 昼飯も食べ終わり、いつものように雑談とゲームをする。

 ちなみに今やってるのはファースト・パーソン・シューティング、俗にFPSと呼ばれているオンラインゲームだ。


「ええ!?裏取りかよぉ……」

「ふっ、残念だったな」


 ちなみに俺が得意なのはアサルトライフル系、薫が得意なのはスナイパーライフルだ。

 自分で言うのもあれだが、俺達は結構上手い方だろう。


「え、そんなとこにいたのか……」

「ふっふーん、スナイパーなめんなよ!」


 こいつ、本当に勝つと嬉しそうだな。


「まさか同点とは思ってなかったなー」

「俺のが勝ってるとおもってたがな……」


 結果、同点一位。

 喜べば良いのか、悔しがれば良いのかわからないな、これは。


「どうする、なんか別のゲームやる?オレは何でもいいぞ」

「あー、そういえば最近CMでやってる新作買ったんだよ。それやるか」

「おー、あの会社のやつかー。いいな、それやろうぜ」


 有名な会社のFPSシリーズの新作、俺達は早速やることにした。

 俺達の休日の楽しみ方は大体こんな感じだ。

 外に出ることもあまりせず、ゲームと雑談をひたすら楽しむ、高校生らしいかと聞かれたら微妙だが、これが俺達だ。

 やっぱり……、この気兼ね無く居られるこの関係のままでいたいと思ってしまうものだな……。

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