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現代的黙示録

作者: 新染 因循

黄金を取り尽くし、黒ずんだ銀は過ぎ、

幾星霜をめくりめくりて鈍色の時は来り。

摩天楼に弱視の巫女(シビュラ)たちは居座り、

おのおのがわめき、艶艶とした髪を振り乱し、

「尊きは個人の命」「いいえ、社会という総体」


時に黒々とした驟雨となり、

理性は薄氷(うすらい)、奔流たる野生。

命の樹形図をくだる淀み、

葉脈の一端にまでも及び、

歴史を刻み、刻まれる嗜虐性。


近親相姦は荒野で横行し、

循環する種子、欠落を孕み。

有色を嘲笑う純白を傍目に、

いまかいまかと、鉈を研ぎすまし、

貧困窟(タウンシップ)に潜んでいる神話の悲劇。


濛々と炭を喰らう列車が野獣の幼児を曳き、

天より降りそそぐ岩々を止める術はない。

瓦礫より孫生えのごとく芽吹くは尻軽な神々、

歴史の再生に空気を求めて喘ぐ巫女たちと舞う埃、

銀行員たちが目をぎらつかせて集める紙切れ、紙幣。


森羅万象を支配せんとする数式。

人類は放尿の瞬間に全能感を追憶し、

安息地と未発見を取り持つ両向きの矢印。

神に至らんとタキオンは手淫から研究となり、

それを嗤い、見下し、定速に甘んじ、

すべてを俯瞰してなお、冷徹に無関心な光。


あらゆる悲鳴はその軌跡を捉ええない。

いかなる時間も光の刹那であり、

定員の超過した終電列車は停止間近。

四つん這いの枯木に腰かける何十億の家畜、

蒙昧にも微睡み、神は欠伸を制帽でかくし、

なお鳴りやまない混色の赤ん坊の夜泣き。

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― 新着の感想 ―
[一言] ZA.文学研究会からまいりました。 御作に感じたことを書かせてください。 理想を裏切られた時のような、絶望というには浅く、退廃というには整然とした、不思議な空間を想像しました。宙に浮いたよ…
[一言] ジャンル 詩 読んだ感じ 一致 寸評 では3編まとめた寸評を 己の世界に酔いしれている。たまには馬鹿な詩も見てみたい。 文章 ◎ 表現 現代詩としては中途半端。北京か? 東京か? ラスベ…
2017/03/19 17:33 退会済み
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