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蒼が目を覚ました日  作者: 甘寧もえ
蒼が眠っている時(上)
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名前をなくした女の子

 しかし、その先の言葉が出てこない。

 一体、どうしたというのだろう。



 テンプレート的な自己紹介の中で、自分の名前だけが黒く塗りつぶされている。

 鼓動が、ドクドクと早まる。



 ――私は、誰なんだろう。



 そう、自分に問いかけるが、途端に頭がガンガンと鳴りだした。

 ノイズ混じりに私の声が、脳の中で跳ね返って行く。



『私は誰なの? わたしはだれなの? わタしハだれナノ? わたしは……』

 ブルブルと首を振った。寒気がする。



 慌ただしい喧騒。

 鳴り響くクラクション。

 心臓が握りつぶされるような、圧迫感。

 永遠を重ねたような、一瞬の衝撃。

 口を塞ぐ、電子的な音の塊。



 思い出したくない。嫌だ。

 違う、違う。そうじゃない。私はまだ――。

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