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蒼が目を覚ました日  作者: 甘寧もえ
蒼が目を覚ます前
12/13

届いた音



「忘れないよ、私。あなたと会えたことも。一生に一度だけのことだけど、一生に一度しかないことだもの! 絶対忘れない」



 私は最後に、心の奥底の正直な気持ちを叫んだ。

 しかし、あの子に届いたかはわからない。沫となって散る私の声は、言葉にさえならなかったかもしれない。



 音が遠ざかって行く。

 優しい波音も、爽やかな風も。



 淡く、夢を離れていく。

 元いた場所、元いた世界。

 私があるべき場所へ。



「――――!」



 最後に、言葉にならないような、そんな儚い音を聴いたような気がした。

 しかし、それは私の身体をすり抜けて彼方へ消えてしまったので、とうとう私の中に届くことはなかった。

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