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蒼が目を覚ました日  作者: 甘寧もえ
蒼が目を覚ます前
10/13

あなたは幸運



 女の子と別れる時、私はちょっぴり泣きそうになった。

 だが、相手がずっとにっこりと笑っているものだから、私だけ涙を流すともっと笑われそうな気がする。



 だから私は、この子の前では泣かないことにした。

 だが、堪らなく悲しくなって俯く。

 もう、この人とは二度と会えないだなんて……。



 突然の別れは寂しいものだけれど、わかっている別れは悲しすぎる。



「やっぱり嫌だよ……二度と会うことがないって、知っちゃったんだもん……」



 びしょぬれの体が、すでに蒼く光を受け始めていた。

 この子は、ずっと私のことを覚えていてくれるだろうか。

 一生に一度、たった一瞬時間を共有しただけの私なんかを、覚えてくれるのだろうか。



「大丈夫!」

 予想以上に明るい口調に、私は顔を上げた。

 女の子はにっこりして、私の心臓の上に優しく手を当てる。

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