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くじ引き転生  作者: ブラックシュミット
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「はっ!?なんだ夢か…………」

俺は身を起こしつつ、安堵の息を吐いた。

何か70億分の1のくじ引きで選ばれて、無理矢理異世界に転生させられる夢を見たが、気のせいだったみたいだな。

何か周りが見慣れた俺の部屋じゃなく、薄暗い森に見えるけどまだ寝惚けてるからだよな。

はっはっはっ、いやあ俺の妄想力も大したもんだ。

「…………現実逃避しないでください」

聞き覚えのある声が聞こえ、俺は恐る恐る声がした方へ視線を向ける。

そこには、純白の髪をした妖精のように可愛らしい女の子が………!

「ぎゃああああああ!!

出たああああああ!?」

「人の顔を見て、幽霊にあった時のような反応をするなんて失礼です!」

「夢なら醒めろ、夢なら醒めろ夢なら醒めろ夢なら醒めろ夢なら………」

「現実を認めてください。

これは夢ではありません」

「嫌だああああ!!

こんな現実認めたくないい………!!」

俺は目を閉じ、耳を塞いでその場に寝転がった。

「ちょ…………今はこんなことをしている場合じゃないんですよ!?」

「あーあー!何も聞こえなーい!!」

「起きてください!

ほらもう目の前に…………!」

クレアがあまりにも焦った声を出すので、気になって顔を上げる。

すぐに後悔した。

「グルルルルルル………」

目の前にいたのは、小屋ぐらいの大きさの犬……のようなモノだった。

それが涎を垂らしながら血走った目でこちらを見ている。

「……………神だったら何とかできるよな?」

「残念ながら、レンテ様が私の力の大半を封印して転生させたみたいでして…………何もできません」

「この役立たず―――!?」

「なっ!?役立たずとはなんですか!

それを言ったらあなただって、男のくせに女の私を守る気はないのですか!?」

「残念ながら、俺はただのオタクだ!

そんな真似はできない!!」

「情けないことを堂々と!?」

「グオオオオオオ!!」

「「ひいっ!?」」

犬の化け物が吠えたのにビビり、二人して抱き合う。

美少女と抱き合っているが、ドキドキ感は一切なく、恐怖が体を満たしていた。

「く、喰うならこいつを喰え!

昔から化け物は、美少女を喰うもんだろう!?」

「ここは喰うなら俺一人にしろ!と言うものでは!?」

「そんな幻想はぶち壊す!」

「危ないからやめてくださいその台詞!」

俺とクレアがやり取りしている間にも、犬の化け物はゆっくりと近づいてきている。

その目は明らかに『二人とも逃がさね』と語っている。

迫りくる死に俺は意識が遠くなっているのを感じる。

「きゅう………………」

ちなみにクレアはすでに気絶していた。

ちくしょう………俺より先に気絶しやがって………でも気絶したら痛みは感じないかなぁ………。

と、考えていたその時だった。

「動かないで!」

という声が聞こえたのは。

「はっ?」

予想だにしない声に思わず振り向くと

「ウインドカッター!」

そんな声が聞こえ、目の前に風の刃が迫ってきていた!

「うおおっ!?危ねっ!!」

咄嗟に身を屈め、風の刃をかわす。

風の刃は俺の髪を数本切り裂き、犬の化け物に向かい

ズパアンッ!!と真っ二つにした。

おいおい…………これR15にしなくて大丈夫か?とメタ的な心配をするが、犬の化け物から血は出てないし、死体も残らずに煙のように消えてしまった。

なるほど、こういう仕様か…………って俺は何の心配をしてるんだ?

「ふう…………危機一髪だったわね」

声が思ったより近くで聞こえたので、驚いて振り向くとそこにいたのは

「………………子供?」

「(ぴきっ)」

12歳ぐらいの女の子がいたのでそう呟くと、女の子が顔を引きつらせた。

「…………あなたの目は節穴かしら?

よく見てから発言した方が身のためよ」

ヤバい、何か殺気を放ち始めている。

命の恩人から、命を脅かす脅威となりつつある女の子の言葉通り、もう一度まじまじと見つめる。

…………うお、可愛い。

背に気を取られて気づかなかったが、女の子はかなりの美少女だった。

腰まで伸ばした金色の髪はサラサラしていて、顔立ちも町中を歩いてたら道行く男が全員振り返りそうだ。

目は勝ち気そうに少しつり上がってるが、それがまた女の子の可愛さを引き立てている。

しかし、身長はどう見ても、小学生か良くて

「やっぱり子供じゃん。

君、何歳?

12?」

「(ぴきぴきぴき)」

女の子は俺の言葉にふるふると肩を震わせ始めた。

あ、何か嫌な予感。

「…………しは」

「な、なんだって?」

「私は!17よ!」

「…………嘘だ!?」

「嘘じゃないわよ!」

やべ、声に出てた!?

女の子から放たれる強烈な殺気に二歩三歩と、足が下がる。

「助けてもらった恩人にこの言い草…………!

もう頭に来たわ!

少し痛い目にあってもらうわよ!」

女の子はそう言うと、杖を取り出した。

異世界で杖ってのは、まさか

「食らいなさい!ファイアボール!!」

女の子が言葉と共に杖を振ると、なんと火の玉が一つ俺に向かって飛んできた!

やっぱり魔法!?

と、ととととにかく避けねえとってうわあ!?もう目の前にいいぃ!!

ボンッ!!と音を立てて、火の玉は俺の顔に直撃した。

「ぎゃあああああ!!

あつうううううう!?」

俺は顔を押さえて、地面をゴロゴロと転がる。

何か少し芳ばしい匂いがするがこれ、顔焼けてないよな!?

慌てて顔を確認するが、特にダメージはないようだ。

良かった、本当に。

「っていきなり何すんだよ!?

下手したら死んじまうだろ!!」

「ふん、C級魔法で死ぬわけないでしょ」

C級魔法?言葉から察するに、さっきの魔法を指してるようだ。

ラノベとかでもよくあるが、C級ってのがランクなのか、種類なのかまでは分からない。

「そんなことより、さっきの言葉を取り消しなさい。

じゃないと、もう一発撃つわよ」

女の子がまた杖を構えたので、慌てて手を上げる。

「分かった分かった。

さっきの発言は取り消す。

だからアレはマジでやめてくれ」

俺がそう言うと女の子は満足気な顔をして頷いた。

「そうそう、最初から素直にそう言っておけば―――」

いきなり女の子の言葉が途切れた。

ある一点で視線が止まっている。

女の子の視線を追っていくと―――気絶したままのクレアがいた。

…………待て待て待て、落ち着け、客観的に今の状況を分析しよう。

・薄暗い森で、男と気絶した美少女がいる。

これを人に見られたら――――

「この…………変態――――――!!」

女の子が杖を振り、さっきの火の玉を複数出した。

ああ、成る程………こういう反応をす

そこまで考えた所で俺の意識は途切れた。

――――END――――

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