開花:4
遅くなりました。
年末にむけて仕事が大変です。
更新が不定期になりますが、よろしくお願いします。
「メイ。この人誰?」
入って来た女性はカウンターの前に来るとメイリアに話掛けて横にいるハヤトに指を指しながらそう言った。
「……居候で店の手伝い」
「ふ〜ん。お父さんが雇ったんならいいんじゃない。私はフィリア。フィリア・ラタークよ。メイの姉よ。ハンターやってるから家を空ける事が多いけどよろしくね。えっと〜」
「ハヤトです。ハヤト・ソガっていいます」
フィリアと名のった女性は、金髪を後ろで縛っており、俗に言うポニーテールだ。
そして、赤い鎧を上半身に着ており、下は黒のミニスカートとハイソックスだ。膝からは上半身とお揃いの赤い鎧を履いている。
なにより目立つのは、背負っている身の丈以上あるハルバート。カルシアが大剣を使っていたこともあり、力持ちの家系なのかと思ったハヤトだった。
一通り挨拶も終わり、家の中に入って行くフィリア。店に残ったハヤトとメイリアは引き続き仕事をする。
そのあとは、ちらほらと客が来た。ハンターがほとんどなのだが、全て新米と呼べるレベルのハンターばかりで、買うのは万人受けする剣やナイフで、ハルバートや大剣を買うハンターはいなかった。
夕方になり閉店の札をドアに掛けて、戸締まりをして、二人で家に入った。
リビングではゴウとカルシアがフィリアと楽しそうに話をしていた。入ってきた二人に気が付いたカルシアは二人に顔を向けた。
「あっ、二人ともおつかれさま。今からごはんにするわね」
そう言うとカルシアは立ち上がり、キッチンに向かって行った。
それから食事をしながらフィリアの話を聞いた。歳は19でハヤトと同じだった。ちなみにメイリアは15歳であと少しで16歳になり、この国では16歳から大人と見なされるらしく、結婚や、ハンターになる事が出来るようになるらしい。
話は戻り、今回フィリアは仲間の三人と一緒にゴリアンスと呼ばれる、体長2mほどの筋肉ムキムキのゴリラのような獣を討伐したと言う。ハンターの依頼にしてはまだ下位で、フィリア達は駆け出しを卒業して、一般ハンターと呼ばれるレベルのハンターで、今回の依頼ならばあまり苦も無く達成出来るらしい。
食後もフィリアの話は続き、2〜3日は休むとの事だ。ほとんどハンターは一つ依頼を済ますと防具などの手入れの為、2〜3日休むのが普通らしい。
次の依頼はまだ考えてないらしいが、次はもう少し町から近いのにする予定だと言った。ちなみに今回は4日間で依頼を完了したらしく、片道1日で討伐に2日も掛かってしまったと反省していた。
そんな話をしながら夜はふけていった。
クルクルクルクル
クナイの輪に指を入れて回すスノウ。
あれからスノウは護身術の訓練を強制的に受ける事になり、体はヘトヘトで現在ベッドに横になりながらクナイを回しながら例の人物を思い出していた。
襲われそうなスノウを突然現れて助けてくれた。そして名乗らず去って行った人物。
どんな人なのかな?
そんな言葉が口からこぼれる。
また会えるよね。そう自らに言い聞かせながらクナイを見詰める。
なぜ会いたいのか、なぜこんなに思い出すのか、まだスノウは自らの気持ちには気が付いていなかった。
その気持ちが何なのかを。
まだ忍として動かないハヤト君。
とりあえずラターク家揃いました。