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約束された勝利

「いつでもきていいよ。

初手は譲ってあげる。」


「いいのか?

油断してると痛い目を見るぞ?」


「別に油断してるってわけじゃないんだよ。

ただ、お兄ちゃんの力を見てみたい。

アリスとお姉ちゃん以上の差をどうやって埋めるてくるかをね。」


余裕を持っているが油断をしてるってわけじゃないか。

まったく、楽しそうな顔しやがって・・・


「ふふっ、ぞくぞくするよ、この緊張感。

お兄ちゃんの一挙一動、一語一句、そのすべてからお兄ちゃんの策を読み取ろうとしてる。

ここまで集中できることなんて、お姉ちゃんと闘っている時ですらない。

お兄ちゃんがいればアリスは何処までも強くなれる!!」


「随分期待されてるみたいだが、あまり饒舌すぎるとそこから人物像を読み取られる。

読み取ることに関しては上手くなってるが、隠すことに関してはまだまだだな。」


とは言ったものの、今日までフリッグにすら本当に力を隠し通せていたぐらいだ。

本来なら、こんなミスはしないだろう。

そして、こんなミスをしてしまうほど昂揚してるってことか。


「その余裕も、減らず口も今の内だよ。

そろそろ、来ない?

興奮しすぎて襲い掛かっちゃいそうだよ。」


「ああ、言われずともそろそろ行くぞ!!」


初手は俺の能力で作れる手榴弾の中で最も火力が高い物をジンと両側から投擲。

もちろん、こんなものでアリスを倒しきれるとは思ってない。

だが、アリスは死なずとも、ジンなら死ぬ威力の爆弾。

アリスは俺を屈服させるために誰も死なせずに勝利しようとするはずだ。

故に、アリスは手榴弾を処理しながら、両側から襲ってくる俺とジンを対処しなければならなくなる。

手榴弾が爆発するまで3秒。

俺たちを死なせないでくれよ、アリス。




side アリス


あれが爆発するまで3秒。

アリスが知っていると分かっていてこれを使ってきてるね。

でも、アリスの読み通りだよ



3秒


手榴弾の数は両側から2つづつ。

適当に投げたからか位置はばらばらだけど視認できれば、空間転移で上空に飛ばせる。

全快だったら力づくで即発動できるけど、今の状況じゃそれは望めない。

空間転移発動まで1秒、前方後方ごとにやってたら間に合わない。

だから、まずはお兄ちゃんを


「がっ!?」


ジンに投げつける。



2秒


そしてこの位置なら、4つの手榴弾が一度に視認できる。

ジンはお兄ちゃんが邪魔で、アリスの妨害はできない。



1秒


空間転移発動

次は2人を戦闘不能に追い込む


「よくも好き放題街を壊してくれたわね!!

『イグニッションブラスト』」


side out


アリスなら手榴弾を処理しながら俺たちを対処できることくらいやってのける。

だが、いくらアリスでも余裕とはいかないはず。

そこに、ミナの全力の古代魔法。

範囲にジンが入ってる以上アリスに避けるという選択肢はないが


「悪くないけど、ちょっと火力が足りないよ。」


「って、冗談でしょ!?」


ミナには悪いがこの攻撃には期待はしてない・・・・

だが、これで完全に余裕は消えたはず。

そこに、俺たちが用意した切り札


「この借りは高くつくぞ、レン。」


ここに来るまでに、ミナにフリュネを運んでもらっていた。

ここまで余裕と余力を削られ、アリスには及ばずとも高い戦闘能力を持つフリュネ


「っく!?」


「悪く思う出ないぞ。

恨むならレンを恨むことじゃ。」


「なんてね♪」


「なっ!?」


フリュネの足元が爆発した!?

いつの間にあんな罠を・・・・


「アリスが本当にただで初手を譲ると思った?

お兄ちゃんとしゃべってる間にアリスが何もしないとでも?

アリスに致命的な一撃を与えるにはお姫様を連れてくるしかない。

それがわかっていれば、お兄ちゃんの策に乗せられた振りをして、お姫様に罠を仕掛けておけばいいだけだよね。」


ああ、そうだろうな。

少し考えればフリュネを決め手に使うってことくらい分かる。

だが、フリュネに対応できることも俺の読みの内。


「まさか、本当にこれを使うことになるとはのう。

末恐ろしい限りじゃ。」


戦いが終わった思っている時こそが最も隙ができやすい。

このチャンスを生かすため、フリュネには罠にかかったふりをしてもらった。

そして、アリスの罠からフリュネを守るために、以前フリッグがミナに渡したお守りを渡しておいた。


「これで終わりじゃ!!」


「うん、これで終わりだよ♪」


side アリス


ミナお姉ちゃんが持っていたお守りは、世界の壁を作る『レヴォルト』が発動する物。

『月の庭』の展開は流石に厳しいけど『レヴォルト』を抜ける程度なら問題ない。


「アリスもこの時を待ってたんだよ。

今のアリスがお姫様とまともにやりあえば負けはしないけど、かなり消耗させられる。

だから、勝ったと思って油断させるためにわざとここまでお兄ちゃんの策に乗せられたふりをしてたんだよ。」


これでお兄ちゃんにはアリスを倒す術がなくなった。

そして、これで詰みだね。


「これでアリスの勝ちだよ。

まだ諦めないのはお兄ちゃんの勝手だけど、あんまり諦めが悪いとミナお姉ちゃんがどんどん傷ついていくからね。

確かに、アリスはミナお姉ちゃんを殺しはしないけど、痛みつけることならいくらでもできるよ。」


誰かを傷つけることが嫌いなお兄ちゃんはこれで何もできない。

勝った、アリスは読み切った!!


「そうだなぁ、負けを認めるんだったらキスしてもらうかな。」


「レン、諦めちゃだめよ!!

まだ、なにか・・・・くっ!?」


「せっかくいいところなんだから黙っててね。

それに、ミナお姉ちゃんを盾にしてる以上お兄ちゃんは何もできない。

たとえ、お姫様が動けたとしてもアリスは負けない。」


お姉ちゃんが動けるというのなら話は別だけど、お兄ちゃんは嘘はついても約束は破らないからお姉ちゃんを使いはしない。


「さぁ、終わりにしよう、お兄ちゃん。」


「アリス、こんなこと間違ってると思わないのか?」


「思わないよ。

お兄ちゃんが変われないなら、お兄ちゃんを救えるのはアリスのやり方しかない。

それは、誰よりお兄ちゃんが分っていることでしょ?」


「ああ、本当に情けない限りだ。

俺が弱いばっかりにこんなことになってしまった。

お前たちを守ると言ったのに、結局は守られてる。」


「それでいいんだよ。

お兄ちゃんは十分苦しんで頑張った。

もう、休んでいいんだよ。」


「だから、俺はいい加減乗り越えないといけない。

これからも、お前たちを守っていくために。

死への逃避から、信じることへの恐怖から。」


まだ、目が死んでない。

この状況を覆す策がある?

ミナお姉ちゃんを人質に取って、アリスにダメージを与えられるお姫様は気絶させてる。

どうやったって、覆せるはずがない。

けど、相手はあのお兄ちゃんなら・・・・


「無駄口はそれまでだよ。

これ以上無駄な時間を稼ぐつもりなら、まず、爪をはがす。

次は指を、耳を、アリスはいくらでも傷つけることできるんだよ。」


「止めろ、今いく。」


ジンじゃ、アリスに致命的なダメージは与えられない。

あの刀にも特別な処置を施している様子はなかった。

お兄ちゃんが創る武器もアリスの脅威じゃない。

ミナお姉ちゃんが何かやろうとしても、瞬時に止められる。

アリスの勝ちは揺るがないはずなのに・・・・


「レン、やりなさい!!」


「ああ!!」


・・・・・ありえない!?

お兄ちゃんがお姉ちゃんを撃つなんて!!


side out


side ミナ


~~~~~っ!?

流石に痛いわね。


「ミナ!!」


「分かってる。」


レンが私を撃つ。

これはレンが変われないと思ってるアリスにとって最も予想外なこと。

それこそ、人質の私から気を離してしまうほどに。

そして、その隙に私とレンは空間転移で脱出。


「いまだ、フリュネ!!」


「任せよ!!

『イノセント・ジャッチメント』」


そして、アリスがお守りを抜けてくると予想していたフリュネはあの一撃で気絶せずに守りを固めていた。

全ては、この時の為に!!


「くっ!?

まだ、まだアリスは負けない!!」


レンもこの一撃で倒せるとは思っていなかった。

だからこそ、ここで最後の切り札を用意した。


「ごめんなさい、アリスちゃん。

嫌われても仕方ないけど、ここは止めさせてもらうわよ。」


「フランお姉ちゃん・・・・・」


そして、ここまでくれば私たちの勝ちだ。


side out



「・・・・・よく、私がお姫様と同等の力を隠してる分かりましたね。」


「ありは確かに天才だ。

だが、それだけでフリッグ相手にあそこまで善戦できるとは思えない。

なら、誰かが指南をしているはず。

そして、アリスにいろいろな事を吹き込んでいるあんたなら、アリスに教えることができると踏んでな。

正直、来てくれるか微妙な賭けだったよ。」


そして、あいつが俺に手を貸してくれることもだけどな。


「はぁ、はぁ、もう終わってるつもりなのはいいけど・・・・アリスはまだ・・・・はぁ、まけてないよ・・・・」


「アリスちゃん・・・・」


「心配しなくても、はぁ、はぁ、アリスはフランお姉ちゃんのこと嫌いになんてならないよ。

だって、お兄ちゃんは詐欺師だもん。

騙されたも仕方ないよ。」


そんなボロボロになってまで、まだ立つのか・・・・


「くっ、流石にミナお姉ちゃんごとアリスを撃つなんて予想外だったよ。

でも、アリスはまだ負けない!!」


アリスはどんなことしても立ち上がるだろう。

なら、ここからは俺の役割だ。



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