月の庭
気付けば1ヶ月も更新してませんでした・・・・
side フリッグ
『レヴォルト』
この規模と威力、おそらくこれが一番強いものでしょう。
視界を遮り何を仕掛けてくるか分かりませんし、少々卑怯ですが神力がなければ破ることのできない壁で防ぎ、戦意を削ぎましょう。
「これで終わりですよ、アリス。
いくら私以上の魔力を持っていたところで神力のないアリスにこの壁は破れません。」
「何事もやってみないと分からないよ。」
やはり、諦めてはくれませんか。
それならば、少し痛い目を見てもらうとしましょう。
「隙だらけだよお姉ちゃん。」
攻撃を防いだところに追撃を加えて終わりです!
side out
やばいな、正直動きが全く見えない。
基本的な能力が桁違いすぎる。
「どうするつもりだ、レン?」
「今の状態のアリスを説得するのは不可能に近い。
だが、このままフリッグに止めさせてもアリスはまた繰り返すはずだ。
だからこそ、俺の力で止める必要がある。
俺の力を示せばアリスも話を聞いてくれるはずだ。」
「けしかけた私が言うのもなんだけど本当に止められるの?
私なんて影さえ追えないわよ。」
「それは俺も似たようなものだ。
だが、フリッグと戦ってるんだ、消耗がないわけがない。」
「それでもだ、俺でも一瞬止まっているところを目で追うのがやっとのアリスに、消耗しているだけというアドバンテージで勝てるとは思えないぞ。」
今のアリスなら俺たちを戦闘不能に追いやることなんて簡単にやってのけるだろう。
だが
「俺に考えがある。
綱渡りの部分はいくつかあるが上手くいけばアリスを止められるはずだ。」
「それを最初に言い出さなかったってことは何か問題があるのね。」
「・・・・・ああ。」
命の危険はないにしても2人にはかなり危険な役をやってもらうことになる。
ほぼ確実に軽くはないけがを負うはず。
それを成功するかもわからない作戦に2人を巻き込むとなると二の足を踏んでしまう。
「ねぇ、レンにとって今の生活ってどうなの?」
「悪くはないな。
少なくとも俺が死ぬのを躊躇いたくなるほどにはな。」
フリッグとアリスと一緒に住んで、ミナとジン、親友と呼べる者がいて、頻繁に厄介事を運んでくるフリュネに何かと難癖をつけてくる天笠、アリスに変な事ばかり教えるフラン・・・・・
こんな俺が守りたいと思えるほどに大切な日常。
「だったら、何が何でも取り戻なさい。
私だって今の生活は気に入ってるの。
このまま、ばらばらになってレン達が来る前の退屈な日常に戻るなんて私はごめんよ。」
「・・・・そうだな。
時間がない、一度で覚えろよ。」
side フリッグ
・・・・・・・・・なっ!?
「アリスの勝ちだね、お姉ちゃん。」
「っ!!」
「おっと、やっぱりそれくらいじゃ倒れてくれないみたいだね。」
なぜ、アリスの攻撃が!?
あの剣に特別な力は感じませんし、神力を持たないアリスが世界の壁を破れるはずが・・・
「ねぇ、お姉ちゃん、神力がなければ世界の壁を破れないんなんて誰が決めたの?
それって、人の力を侮ってた神が勝手に決めたことなんじゃないの?」
「それは・・・・」
確かにそうですが、世界を構成する一部である魔力で世界の壁を破れるはずがありません。
しかし、実際にはアリスの剣は私を貫いて・・・・
「お姉ちゃんをそのままにしとくのも可哀想だしそろそろ教えてあげるね。
アリスは世界の壁を壊すことなんてできないよ。
でも、アリスは世界を塗りつぶすことができるんだよ。」
「そんなことが「できないと思う?」」
もし、そんなことができるとしたらアリスは私の天敵となり得る存在に
「ようこそ、お姉ちゃん。
ここがアリスの世界、名前は『月の庭』にしとこうかな。」
場所を移動したわけでも世界を移動したわけでもないというのに景色が!?
何もない一面の草原に、今にも落ちてきそうなほど大きな月、何よりこの異質な感じは・・・・
「どう、お姉ちゃん?
綺麗な場所だと思わない?」
「そうですね、こんな状況じゃなければゆっくり景色を楽しみたいところです。」
この感じは以前フリュネの神力を封じたものですね。
ここまで来ると、流石に何ともないというわけにはいきませんか。
何より、先ほどの一撃が予想以上にまずいですね・・・・・
「予想はしてたけど、これくらいじゃお姉ちゃんを封じることは無理みたいだね。
ここはアリスの力を最大限に引き上げる場所でもあるけど、もともと、この世界は対神用に作ったものなんだよ。
でも、まだ改良の必要があるみたい。」
「いえ、ここまでの規模と力なら、高位の神格を持つ神でなければかなり行動を制限されますよ。」
少なくともシェヴン程度では立つことさえ不可能でしょう。
あれから半年、たったそれだけの期間でこれほどの成長を遂げるなんて、私をも超える才能ですね・・・・
「それじゃあ、意味ないんだよ。
アリスはたとえお姉ちゃんであっても倒せる力を持ないと駄目なんだもん。
お兄ちゃんはいずれ神すらも関わる事件に巻き込まれる。
その時、神だからって理由だけで負けるわけにはいかない。」
「だからと言って私も負けるわけにはいきません。
レンを支えるためにも私は最強であり続ける必要があるんです。」
まさか、神でもない相手にこれを抜く時が来るとは思いませんでした。
「それがお姉ちゃんの神器かぁ。
凄いよ、世界が震えるてる。
流石はお姉ちゃんが愛用してる武器だね。」
グラムとダーインスレイブ、ただの人であるなら抜いた瞬間に命を奪いかねない物なのですが眼前の敵に手加減は必要ありません。
思い出しなさい、あの戦場の感覚を、敵は今までで最強の存在と言っても過言ではありません。
冷静に冷徹に思考を研ぎ澄ませ、眼前の敵を倒す!
「っ、ちょ、ちょっとくらい驚いてもいいんじゃない?」
「今更一撃を受け止めたくらいでは驚きませんよ。」
あの神船『フリングホルニ』すら沈める一撃を受け止めるなんて、本来なら驚嘆を通り越して呆れるところですが、私の想像を遥かに超えているアリスがそれをやってもやはり程度にしか思いません。
「流石にこれじゃ、役不足みたいだね。
一応、最高級の物を使ってたんだけど神器相手じゃあと数合打ち合ったら折れちゃう。
お姉ちゃんも、神器を出したんだしアリスも見せてあげる。」
「それは・・・・」
見た目はただの鎌ですが、あの刀身は
「やっぱり、わかるんだね。
そうだよ、これは刀身お兄ちゃんの血を混ぜてるものだよ。
普通なら、自分の体の一部を使うんだけどアリスとお兄ちゃんの相性はばっちりだから自分の体の一部を使うより魔力伝導は良いし、効力も良い。
羨ましいでしょ?」
わ、私だ最近は熟年の夫婦のように目を合わせるだけやって欲しいことがだいたいわかるんですよ。
だから羨ましくなんて・・・・
「お兄ちゃんって頭いいから半年も一緒に過ごしてればある程度行動が読まれちゃうんだよね。
だから、夜這いを掛けようと思っても何かしら対策打たれてて、本当にガード固いと思わない?」
「・・・・・・そうですね!!」
ちょっとくらい夢を見せてくれもいいじゃないですか!
レンは本当に私のこと妹扱いなんですよ?
美少女がこんなに尽くしてるのに見向きもしない、レンが悪いんです!!
「っく!?」
「う~ん、おしいな~」
私としたことが戦闘中に集中を乱すなんて・・・・・
まぁ、レンのことだから仕方ないにしても、それすらも利用してくるアリスは本当に容赦ないですね。
「ちぇ、もう落ち着いちゃったんだ。
もうちょっと集中乱してば楽だったのに。」
「それで勝てる相手なら良いんですが、油断していたら首をおとされるかも知れませんからね。」
「やだなぁ、アリスは神じゃないんだよ?
お姉ちゃんを殺せるわけないでしょ。」
「今更神であろうとなかろう関係ありません。
それに、いくら手負いとは言え私とここまで戦えるものなど神ですら数えるほどしかいませんよ。」
「・・・・・そっか~
そろそろお兄ちゃんを迎えにもいきたいし、そろそろ決めるね。」
「望むところです。」
待っていてくださいね、レン。
必ずアリスを止めて戻ります。
フリッグVsアリス、次回決着
・・・・早く日常パートに戻りたい