ミズガルズ その④ 調査
総合評価2000p突破。
読んでくれてる皆様に感謝を
side ミナ
・・・・・やっちゃった。
少し頭が冷えたおかげで自分がどれだけまずいことをやってしまったか理解できた。
他の街の問題にこの街の学生でもない私が関わってい事じゃないし、私の立場上でもいいことなんてない。
「落ち着いたなら戻りましょう。」
常識的に考えたら今すぐ話を断って、レンに謝るんだろうけどあんな啖呵切った手前顔を合わせずらい。
「謝ればレンだって許してくれますよ。
だから戻りましょう。」
それは分かってる。
レンは絶対に許してくれる。
だからこそ、決意が鈍る。
自分の発言に責任を持てず、レンに頼りっぱなしのお荷物になりたくない。
「ごめん、フリッグ、ちょっとの間私に付き合ってくれない?
それなら、レンも安心できるでしょうから。」
「意地っ張りですね、ミナは。
分かりました、でも、後できちんと謝るんですよ。」
「分かってるわよ。」
上手く立ち回って、事が済んだら謝ろう。
side out
「どうだった?」
「何人かに聞いてみたけど学費なんかが上がるのは本当みたいだよ。」
「こっちも同じだ。
そのことについての不満もあるようだな。」
とりあえず裏はとれたが、やはりあれが気になる。
それに、確証はないがクルスは嘘をついてる。
あくまで俺の勘で裏付けるものは何もないがあの発言で信憑性は皆無というわけじゃなさそうだ。
「聞き込みで得られる情報はこんなものか。」
「それにしても賑やかだよね。
こんなに人が多いところは初めてだよ。」
「ミズガルズは学費以外での収入は難しいだろうからな。
今こそ稼ぎ時ってやつなんだろう。
それに、研究機関なんかもあるらしいし金なんていくらあっても足りないんじゃないか?」
「・・・・・お兄ちゃん、もう分かったの?」
「証拠もなにもないただの仮説だけどな。
どうして、分かった?」
「お兄ちゃんのことなら何でも分かるよ。
それに、アリスのことを誘導するように情報を与えてたみたいだから。」
「それじゃあ、アリスは分かったか?」
「それは、これだけヒントを貰ったら分かるよ。
後は裏付けだね。
これは、姫様かな?」
「あいつの手は借りたくないんだが、可愛い妹の為だ、仕方ない。
まぁ、世話が焼ける分そこが可愛いんだがな。」
押し付けられたばかりだから、たまにはこっちが利用しないとな。
とはいえ、あまり使いすぎたらその分こき使われるだろうから本当は使いたくないんだよな・・・・・
「ねぇ、お兄ちゃん・・・・」
・・・・・やけに空気が重いな、それに気温が一気に下がったような気がする。
「アリスと2人の時に他の人、それもお兄ちゃんに好意を寄せてる女の子のことを褒めるのはちょっとデリカシーがないんじゃない?」
「わ、わるかった。
だから、落ち着こうな。」
「お兄ちゃんは鋭いくせに、こういうことには疎いんだから。
いままでは、いい子にしてたけどお兄ちゃんが我慢しなくていいって言ったんだから次は許さないからね。」
次に同じことを繰り返した時にはどんな目に合うことやら・・・・
「アリスは噴水が見たいなぁ。
お兄ちゃんの喉を裂いて吹き出る血を浴びながらお兄ちゃんの血を飲んでみたいなぁ。」
本気で気を付けよう。
死なないからこそ、延々と痛い目を見続けることになる。
しかし、やることがフリッグ以上にやばい。
さすがにちょっと引くわ。
「アリス、もうちょっとかわいい趣味は持てないのか?」
「お兄ちゃんを想ってこそのことなのに。
でも、お兄ちゃんがそう言うなら考えてみるね。」
もうちょっと、年相応の趣味は持てないのか。
たとえば、本だったり、料理だったり、今のアリスは90度くらい方向性を間違ってる。
流石に、人形を使って遊ぶって年じゃないんだろうが、それはかなり癒されるだろうな。
「とりあえず連絡入れるか。」
忙しいらしいからつながるかはわからないが
『ん、なんじゃ?』
滅茶苦茶不機嫌そうな声。
どうやらタイミングは最悪のようだな。
「少し聞きたいことがあるんだが、今いいか?」
『手短にな。』
「それじゃあ・・・・・」
・
・
・
・
・
・
・
「やっぱりか。」
『今、まさにその問題で悩まされておる真っ最中じゃ。
ミズガルズはその煽りもあって厳しいじゃろうな。』
これで俺の仮説の信憑性は上がった。
だが、これはまた面倒な事に巻き込まれたな・・・・・
『まったく、無能なら無能らしく黙っていればいいものの、さらに上への報告なしにやっていたようじゃから救いようがないわ。』
「そいつの処分は?」
『上手く逃れられるじゃろう。
流石にしばらくは満足に動けぬじゃろうがな。』
「分かった。
もしかしたら、そっちの問題も解決できるかもしれない。」
『本当か!!』
「まぁ、決めるのはミナだけどな。」
『そんなものレンが言えば済む話じゃろう。』
「どうして、俺がそこまでする必要があるんだ。
俺はあくまでミナを助けるために動くだけだ。」
『このシスコンめ・・・・・
まぁ、よい。
期待はしておるぞ。』
可能性はどちらかといえば低い。
なんだかんだで、ミナもある程度は俺のことを気にしてくれるだろうから目立つ行動はとらない可能性が高いからな。
「どうだったの?」
「予想通りだ。
とはいっても、問題の根本的解決はできそうにないな。」
「それはそうだよ。
お姉ちゃんにだって無理だと思うよ。」
フリッグは正直何でもありだから、裏ワザを使えばどうとでもできると思うが。
「結局はミナ次第か・・・・・
フリッグが戻ってきないから大丈夫だろう。」
最悪、フリッグがいなくてもミナにはフリッグお手製のお守りがあるし、空間転移で逃げようと思えば逃げることもできるだろう。
「ねぇ、お兄ちゃん、どうやってミナお姉ちゃんを追いこむつもりなのかな?」
「いくつか手を打ってるだろう。
その一つがこれだな。」
さっきから尾行されてるし、もし計画が失敗した場合には力づくってわけか。
俺たちとミナが分かれたのは嬉しい誤算だろうから、今のうちに俺たちを人質にでもしておこうという算段だろう。
「まぁ、一番の決め手はミナをこの件に関わっていると言い逃れできないようにすることだと思うがな。」
「それって、もうアウトじゃないの?」
「このまま何もしなかったらな。
とりあえず俺たちは見張りを捕まえて吐かせるか。
アリス、俺には3人しか見つけられなかったが何人いる?」
「6人だよ。
お兄ちゃんもまだまだだね。」
そりゃあ、スペックの差がありすぎるから仕方ないだろう。
「それじゃあ、半分は頼む。」
「半分でいいの?
アリスがやった方が早く終わるよ。」
「たまには恰好つけさせてくれ。」
戦闘面では全く役に立ててないからな。
たまには、対人戦もやっとかないといざという時に慣れてませんでしたじゃ通用しない。
「それって、アリスにアピールしてるってこと?
そんなことしないでもアリスはいつでも準備はできてるのに。」
何の準備だ、とは聞けないな。
聞いたら泥沼にはまりそうだ。
「俺の経験値稼ぎの為にも半分で我慢してくれ。」
「は~い。」
それじゃあ行くか。