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賑やかな朝

「皆、次の旅先が決まったわよ。」


次の厄介事も確定だな。

今度はフリュネ絡みじゃなければいいが。


「次は、学問の街、ミズガルズです。

出発はいつも通り一週間後ですので準備しておいてください。」


ミズガルズ、説明の通り学問の街として有名でこの国で一番大きな学校や図書館がある街だ。

普通の常識を教えるような普通の学校もあれば、それぞれの専門的なことを学ぶ学校もあるから国中からいろいろな身分や種族が集まる街。

それこそ平民から王族までだ。

俺としては王族の名前が出た時点で碌な予感がしない。


「参加できないっていう人いる?」


これって任意で選べるものだったのか?

なら、俺は留守番でも・・・・


「もちろん、レンは強制参加よ。」


まぁ、こうなるだろうとは分かっていた。


「妾は今回は少々忙しいので辞退させてもらおう。」


フリュネが来ないってことは嬉しい限りなんだがこいつの忙しいが俺に降りかかってこないか不安だな。


「兄さんは旅行から帰ってこないから今回は無理ね。

それ以外は全員参加ってことね。」


ジンが来ないと軟派が面倒なんだよな。

戦えば勝てるんだがどうしても見た目が頼りなさそうに見える俺じゃあ虫除けにならないらしい。

別にそんなことしないでも追い払われるけどな。


「何度も旅に行ってるのか?」


「そういえばリンネは初めてでしたね。

最初は、ミナが世界を見て回りたいということでその護衛として私たちも一緒に付いて行ってたんです。

今はそんなこと関係なく友達と旅行に行ってる感じです。」


「なるほど。

旅先では全員で行動するのか?」


「基本的にはそうですけど、私もレンとデートするということで2人で行動したこともありますから絶対というわけはありませんよ。

それに、必ずと言っていい程何か起こって最終日以外観光なんてほとんどできませんから。」


「ああ、なんとなく理解できるな」


俺を見て頷くな。

厄介事を運んでくるのはフリュネかミナだぞ。


「それでは、私とデートしよう。」


「嫌です。」


「反応が淡白になったものだね。

会ったころはあんなに狼狽えてくれたというのに。」


「もう、リンネに脅かされることなんてありませんよ。」


「ほう・・・・」


天笠が凶悪な笑みを浮かべてる。

止めてもいいんだが、あとで復讐が怖いからここは様子見だな。


「それは残念だな。

初めて会ったときにキスされたフリッグの可愛らしい顔をもう一度見たかったのに。」


「変な事言わないでください!!」


ああ、これはもう天笠のペースだな。

俺が天笠の立場でも同じことをするだろうし、やっぱり天笠もSだな。


「キスされてことに気付かずにきょとんとした顔から、一瞬で真っ赤になり瞳には涙を浮かべ風峰の後ろに隠れていたフリッグの可愛い顔を見たいという私の願望の何が変な事なのかな?」


態々、詳細に説明して煽る。

単純なフリッグにはかなり効果的だな。

もう、真っ赤になってる。


「前にも言いましたが私はレンが好きなんです!!

だから、リンネとは付き合えません!!」


「こちらこそ前にも言ったはずだ。

私は障害多ければその分燃えるんだ。

それにしても、恥ずかしがっているフリッグはそそる。

今すぐにでもその綺麗な顔を快楽で歪ませたい。」


こいつ俺より酷くないか?

恍惚とした表情をしてやがる。


「そんな脅しはもう無駄ですよ。

私はもうそんな言葉に負けません。」


おお、本当に成長しているらしいが1枚どころか2枚も3枚も天笠が上手なんだよな。


「私は脅しているつもりはないよ。

そんなことをすれば怖いお兄さんから殺されてしまうからね。

これは純粋に口説いているだけだよ。」


どんな口説き方だ。

とまぁ、それは置いておいて、今、俺の中で2つの矛盾した気持ちがせめぎ合っている。

1つは、フリッグを助けてやりたい。

まぁ、これは当然と言えば当然だ。

もう1つは、天笠にフリッグを口説き落としてほしい。

俺がいなくなるまでにフリッグには俺の代わりとなる人を見つけてほしい。

だから、天笠が俺の代わりになってくれるというのなら俺は見守るしかない。

とはいっても、天笠が言った通り脅すような真似をすれば俺の持てる力のすべてで破滅させるがな。


「とにかく、私はリンネとは付き合えません!!

何度でもいいますが私はレンが好きなんです!!」


ちょっと前の俺なら嘆き悲しむところだが、シスコンに目覚めてしまったからか素直に嬉しく思える。

フリッグが恋愛感情じゃなく家族愛で言ってくれているのなら抱きしめたいくらいだ。


「ふむ、それならどうやったらデートしてくれるんだ?」


しつこいな。

ここにはアリスもいるんだし教育上控えてほしいんだが。


「どうやってもデートなんてしません。」


「仕方ないか、風峰、先日手を貸してやったな。

その代償として私とフリッグを2人にさせろ。」


「あれはあくまでフリュネの部下として依頼したんだ。

報酬はフリュネに要求するのが筋だろ。」


「っち、このシスコンが。」


最初に会った時とキャラが変わってないか?

もっとおとなしい奴だと思っていたがフリッグが絡むとここまで変わるのか。


「仕方がない、今回はフリッグの狼狽えた顔を見れたということで我慢しよう。」


「もう諦めてください。」


ようやく終わったか。

朝から賑やかなことだ。


「あっ、お兄ちゃん、ミズガルズでデートするからね。」


どうやらまだ終わらせてくれないらしい。

それにしても狙ったようなタイミングだな。


「ちなみに、さっきのタイミングで言ったのはちょっと気が緩んだところで言った方がインパクトがるかと思ったからだよ。」


なぜ、インパクトをつける必要があるんだ?


「最近アリスの影が薄いような気がしてるからちょっとでも気を引こうかなって。」


どうして口に出していないのに会話が成立してるんだ?


「大好きなお兄ちゃんのことなら目を合わせるだけで言いたいことがわかるよ。」


ああ、やばいくらい可愛い

ちょっと頬を赤くしているところが一段と可愛い。


「それにしてもデートって言っても何をするんだ?」


「もう正気に戻ったの?

もう少し、あのままでよかったのに。」


「悪戯はほどほどにな。」


「はぁ~い。

デートのことなんだけど、アリスもミズガルズに行ったことないから2人で歩き回るだけだから心配しなくていいよ。」


あんまりアリスに任せっぱなしってのもあれだから少しは調べておくか。


「レン、最近随分アリスと仲良くないですか?」


・・・・・スイッチはいった?


「気のせいだろ。

俺とアリスはいつもこんなものだぞ。」


「目を合わせただけで会話できるほど仲がいい状態がいつも通りですか・・・・・」


くっ、成長して少しは大人になったかと思ったが油断した。

こいつのヤンデレはいまだ健在だな。


「デートだったらフリッグも何度かやっただろう?

ちょっと前はミナともやったし、いまだにやっていないのはアリスだけだぞ。」


「話を逸らさないでください。

今はデートの話ではなく、日常的にどうしてそんなに仲がいいのかを聞きたいんです。

これ以上誤魔化すようであれば私が何をするか分かってますよね。」


やばい、前ならこれで誤魔化せたはずなのに、成長したのは心だけじゃないのか。


「とりあえず監禁してゆっくり調教だよね、お姉ちゃん。」


「アリス?」


「大好きなのはお姉ちゃんも一緒だよ。

だから、目を合わせればお姉ちゃんが言いたいことわかるよ。」


「そうですか。

私もアリスのこと大好きですよ。」


どうにかなったのか?


「あと、ミナお姉ちゃんのことも分かるよ。

他の人はちょっとわからないけど。」


「レン、アリスを引き取りたいんだけど。」


「駄目だ。」


まさか、アリスに助けられるとは思わなかったが本当に助かった。

それにしてもアリスの笑顔の威力はすさまじいな。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん、そろそろ仕事に行こう。」


「そうですね。

今日も頑張りましょう。」


「それじゃあ、私も仕事に行ってくる。」


「妾も行くとするか。」


「私も仕事先を見つけたんでそっちに行ってくる。」


天笠の奴、最近何かやってると思ったら仕事見つけたのか。

俺も探さないとなぁ。


「上手くいってよかったね。」


「本当に助かった。

それにしても読心術でも使えるのか?」


「うん、フランお姉ちゃんから教えてもらったんだ。

それに、人心掌握術もちょっとだけ。」


あの人はアリスをどうしたいんだ?

その内、催眠術でも使えるようになりそうだ。


「それは魔眼を使えば簡単な事ならできるよ。」


「頼むから心を読まないでくれ。」


「お兄ちゃんがそう言うならそうする。

でも、アリスの読心術は表面上だけだからお姉ちゃんと違ってあんまり深いところまでは読めないんだよ。」


それでも十分凄い。

アリスがますます小悪魔化していく。

それすらも可愛いと思える俺は重傷だな・・・・

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