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新たな面倒事

危なかった。

言っておくが俺に背後から突然攻撃されてとっさに対処できるような超人的な力は持っていない。


「なんのつもりですか?」


俺の眼前で刃は止まっていた。

冷静に考えればこいつがいる限り俺に怪我することはないんだよな。

女に守られる男って、情けない限りだがこいつは神だし例外だろう。


「もう一度聞きます、なんのつもりですか?」


もしかしてこいつ切れてる?

さっきから震えが止まらない。

これが神の力ってやつか。



side フリッグ



おかしいですね、口だけは動くはずなんですが答えてくれませんね。

私のレンに手を出すなんて、いますぐにでも存在を消し去ってあげたいんですがそれをやっちゃうとレンが良い思いをしないですからやりませんけど。

しかし、突然切りかかってきた理由くらいは聞いておかないとまた襲われたら面倒ですからね。

ふざけた理由だったら記憶をすべて破壊するか精神を壊してあげましょう。

もちろんレンの許可を取ってからになりますけど。


「もう一度聞きます、なんのつもりですか?」


side out



side ???



参った、体がピクリとも動かない。

男の方は改めてみても完全な素人だがあの女は別格だな。

これでも腕に自信はあったんだが、勝てるイメージが湧かない。

それに俺だけじゃなくホームギルドにいる全員を動かないようにしている。

動くのは俺の口だけ、どうやらあの女にとって男は逆鱗だったようだな。

下手に答えれば最悪ここにいる全員を殺されかねない。

だが、ミナだけは何としても生き残らせたい。

さて、どうするか・・・・・・


side out



「悪かった。

実際に当てるつもりはなかったんだ。

ただその男の実力を確かめたかっただけで本気で殺そうと思っていたわけじゃない。」


たぶんこの言葉に嘘はないだろう。

この世界でどうかは知らないが人殺しは地球のどの文化でも禁忌とされてきたことだ。

おそらくだがこの世界でも禁忌とされているだろう。

それなのにこんな公共の場で堂々と人殺しをしようとするはずがないからな。

それにしても俺の実力を確かめたいか、見ただけで実力が分かるような能力なんて持ってないが外見を見ると俺の百倍は強そうだ。

そんな奴がわざわざ俺みたいな素人の実力を探る意味が分からない。

とりあえず


「もう良いから落ち着け。」


「こればっかりはレンのいうことでも聞けません。

どういうつもりなのかもう少し詳しく説明してもらって、場合によっては記憶を破壊するか精神を破壊して二度とレンの前に立てないようにします。」


駄目か。

こいつ意外と頑固なところがあるからな。

仕方ない奥の手を使うとしよう。



side フリッグ



私はそんな言葉に騙されません。

話すつもりがないのなら記憶を読ませて貰いましょう。


「だから落ち着け。」


えっ?

もしかして私後ろからレンに抱きしめられてるんですか?


「レ、レンですか?」


「俺以外誰がこの場で動けるんだよ。」


そういえばここにいるレン以外全員の動きを止めているんでした・・・・・・

ぇて、えええええええ!!!!!!!

レンが、レンが抱きしめてくれてます!!

レンの心臓の音が伝わってきます!!

高鳴っていないのは少し残念ですがもうあの男のことなんてどうでもよくなってきました。


「落ち着いたか?」


「ふ、ふぁい。」


今私の顔が真っ赤になっているって分かるくらい顔が熱いです。

頭がぼーっとしてなにも考えられません。

レンの体温が、匂いが私の思考を溶かしていきます。

はぁ、ため息が出るほど幸せな気分です。



side out



どうやら落ち着いたみたいだな。

しかし、止まると分かっていたが抱きしめるだけでここまで効果があるとは・・・・・

これ以上好感度を上げたくないからあんまりやろうとは思わないし、そもそもこれ以上好感度が上がるか疑問だが。


「で、いったいどういうつもりだ?

俺の実力なんて確かめる必要すらないはずだろう?

そこのところ答えてもらおうか。

もちろんの前に拒否権なんてものはない。

断ればこいつがお前の記憶を読めば済むだけの話で、そうなればお前の記憶が正常のまま保たれるか俺にも分からないぞ。」


最後のはブラフだが効果は絶大だろう。

最初にあれだけの力を見せられたら俺の言葉を疑おうとも思わないだろうし、もし疑ったとしても実際にやれるだけの力はあるし、もしかしたらと思えば不安で黙りこむことはできないはずだ。


「後十秒待ってやる。」


さて、どうでるか・・・


side ???


どうする、このままでは記憶を奪われてミナのことが知られてしまう。

そうなればミナの身もただで済むとは思えない。

動けるうちに逃げるか?

無理だな、あの女から逃げ切れると思えないし、調べられればミナが俺の妹なんてことはすぐにばれる。


「後十秒待ってやる。」


まずい、良い考えが浮かばない。

このままではミナが!!


「私がお願いしたの。」


side out


「私がお願いしたの。」


「誰だお前は?」


「私はミナ。

ジンの妹よ。」


なるほど妹をかばってのことか。

そういうやつは嫌いじゃないがまた襲われたらかなわないからなきっちり突き詰めるとしよう。


「その妹がなぜ兄に俺を襲わせた?」


「あなたたちの実力が知りたいってことは本当よ。

あなたは見た目は素人だったけどその手際の良さは申し分ないし、そっちの女の人はまったく実力が見えなかったから、あなたに危害を加えようとすれば実力が分かるかと思ってね。」


「質問の答えになってないな。

俺はなぜ実力を試すために兄を仕向けたかを聞いているんだ。

答える必要ないが、正直に答えた方が長生きできるぞ。」


「ふふっ、あなたってやっぱり面白そうね。

使えるものは何でも使うけど、根が甘い。」


っち、見抜かれたか。

まぁ、最後のセリフはいらないな。

正直に答えれば、つまりあいつの言葉に嘘がなさそうなら記憶を読まないと言っているようなものだ。

俺みたいに甘い奴じゃなかったら問答無用で記憶を読もうとするだろう。


「甘いのは自覚してる。

だから俺が甘いうちにしゃべってくれると助かるんだが。」


「私はあなたたちが気に入ったわ。

私たちの仲間になりなさい。」


また面倒くさいのに絡まれたな・・・


「断る。

お前らが何をやってるか知らないし、知る必要もない。

それにお前らが何をしようとこいつには絶対に勝てないからな。

俺たちはここで働いてのんびり過ごすつもりなんだ。

邪魔をするつもりなら消すぞ。」


「そんな退屈なことつまんないでしょう。

あなたたちと私たちが組めばきっと面白くなる。」


「知るか、それに俺はこの退屈で変わらない日常が好きなんだ。

それなのに誰が好きこのんで厄介事に首を突っ込もうとするんだ。」


せっかく安定した収入源を手に入れたというのに手放してたまるか。

俺はこの退屈な日常で生きて死ぬんだ。


「そう。

ところでその娘はあなたの彼女?」


今度はこいつの方から攻めるつもりか。

これだから頭が切れるやつは面倒くさいんだ。


「答える必要はないな。」


「妹さんでしょ?

戸籍にはそう記載されてたよ。」


森に行くまで感じてたっていうやつはこいつだったか。


「人のことを無断で調べるなんて趣味が悪いぞ。」


「それはごめんなさい。

でも、それじゃあ彼女はいないんでしょう?

仲間になってくれたら私が付き合ってあげても良いわよ。」


「ストーカーに欲情するほど堕ちてないんでな。」


「こんな美少女を前にストーカー呼ばわりって、あなたそっちの人?

それなら兄を差し出すけど?」


「もういいか?

これ以上くだらない話に付き合っている程暇じゃないんだ。」


これから買い出しに行ったり部屋の整理をしたりいろいろと忙しいんだよ。


「冗談よ。

本当に仲間になるつもりはない?

お金なら融通するけど?」


「興味はない。

金ならここの仕事で間に合ってる。」


これ以上付き合うのも面倒だな。


「帰るぞ。」


「ふぁい。」


こいついつまでこうしてるつもりだ。



side ミナ



なかなか手強いわね。

根は甘いけど、頭は回るし、妹さんを出されたら私たちが負けるのは目に見えてる。


「どうするんだミナ?

あれだけ断られてるんだから素直に諦めたらどうだ?」


それは私の選択肢の中に入っていない。

あの2人さえ手に入れれば私がやりたいことに手が届く。


「兄さん、あの2人の住所わかる?」


「調べたらわかると思うが一応犯罪だぞ。」


「権力と金は使う時に使うものよ。

いますぐ調べて、何としても口説き落とすから。」


待ってなさい・・・・

そういえばあの2人の名前って聞いてなかったわね。



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