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いつもの

「レン、仕事じゃ。」


「フリッグ、今日は何か作ってみたいものあるか?

暇だから教えてやるぞ。」


「すみません。

今日はミナのところに行くんです。」


「レン、仕事じゃ。」


「ミナ、この前は悪かった。

何か言ってくれれば聞くぞ。」


「ふんっ!!」


「レン、仕事じゃ。」


「天笠、この世界の常識を知ってて損はないだろう?

暇だから教えてやるぞ。」


「それなら、フリッグに教えてもらうから心配しなくていい。」


「レン、仕事じゃ。」


「アリス、この前のお願いことは決まったか?

今なら何でも聞いてやるぞ。」


「アリスはすぐにでも抱いて欲しいんだけど、フランお姉ちゃんがまだ駄目って。

だから、まだ決まってないよ。

もうちょっと待っててね。」


「レン、仕事じゃ。」


「ジン、何か手伝うことないか?

暇だから手伝わせてくれ。」


「悪い、今日からユーリアと旅行に行くんだ。」


「レン、仕事じゃ。」


「そういえば、新しい仕事を探してるんだった。

悪いがちょっと出かけてくる。」


「レン、仕事じゃ。」


「・・・・・・・話を聞こう。」


フリッグがミナのところに行くってことはもうすぐ旅行ってことか。

この前のこと根に持ちすぎだぞミナ。

いい加減諦めろ天笠。

あのギルドの人、フランって名前だったんだなぁ、純粋だったアリスを返せ。

相変わらずの愛妻家だなジン。

そして、当然のように仕事を持ってくるなフリュネ。


「仕事の内容じゃが、妾に言いよってくる虫ども追い払うための恋人の役割じゃ。」


頭が真っ白になる。

これが悟りを開くってことか?

それとも無我の境地ってやつなのか?


「フリュネ・・・・・」


「妾の美貌に地位と権力を合わせれば男が放っておかないのは分からぬことではないのじゃが鬱陶しくてかなわぬ。

少々古典的ではあるがレンの存在をちらつかせれば数は減るじゃろう。」


何かが切れそうだ。

俺の死因は血管破裂による出血死になるんじゃないだろうか。


「もちろん、それだけでなくなるとは思っておらぬ。

容姿も平凡で地位も権力も金も持っておらぬレンを表に出したところで納得せぬ者もおるじゃろうがそこはレンに任せる。」


どうして、毎回毎回厄介事を押し付けられて、今回も押し付けられているのに貶されてるんだ?


「公表は2日後じゃ。

心配せずとも父上には説明済みじゃ。

レンの国ではどうかは知らぬがこの国では王であろうとも恋愛結婚は可能じゃからな。

法に触れることはない。」


OK


「てめぇは!! どうして!! 厄介事ばっかり運んでくるんだよ!!

少しは俺の事情を気にしやがれ!!

しかも、毎回言うのが遅いんだよ!!

それに、そんなことしてみろ、俺の記憶がリセットされるわ!!」


「レンは妾の部下じゃから仕事を押し付けるのは当然じゃ。

レンの事情など妾が知ったことではない。

遅かろうとそれでもどうにかするのがレンの役目じゃ。

それに、フリッグたちにはすでに許可を取っておる。」


そんなわけが・・・・


「フリュネはレンに手を出さないって分かってますから。」


「ふんっ!!」


「私が拒否するわけないだろう。

むしろ、姫を選んでくれれば傷心のフリッグを癒して落とせるかもしれない。」


「アリスもお兄ちゃんを苛めたい。」


「頑張れ。」


なんてあっさり・・・・・・

フリッグはともかくとして。

頼むから加減機嫌を直してくれミナ。

絶対にフリッグは渡さないからな天笠。

あったばかりの純粋で真っ白なアリスはもう帰ってこないのか・・・・・

本当に親友だよなジン?


「頼んだぞ。」


「・・・・・・・・いつか絶対に泣かせてやる。」

「で、詳しい話を聞かせろ。」


「うむ、概要は先ほど説明した通りなのじゃが厄介なものが数名おる。

そのほとんどが王位継承権を持つものばかりでの、妾に勝てぬとわかったのか手のひらを返したというわけじゃ。」


妥当な判断だな。

いまさら、下位の奴がどう頑張ったところでフリュネに勝てるわけがない。

それなら、フリュネのもとに下った方が甘い汁が吸える。

それに、王女となったフリュネの夫となるのなら形だけとはいえ必然的に王にもなれるしな。


「しかし、いいのか?

確かに虫は払えるだろうが天変地異が起こっても俺はフリュネなんかと結婚なんてしない。

つまり、最終的には別れ話も公表することになるってことだ。

それはちょっとまずくないか?」


フリュネだっていつかは後継者として子を儲ける必要がある。

その相手が俺でない以上、最終的には他の男が必要になる。

それがいい評判を生むとは思えない。


「それについては心配いらぬ。

最終的にはフリッグに記憶を操作してもらうつもりじゃ。

それはあと5年は先のことになるじゃろうし、その頃には熱も冷めて皆の記憶にはあまり留まってはおらぬじゃろう。」


確かにそれなら大げさなことをしなければ矛盾は生まないだろう。

俺としてはあまりその方法は使ってほしくないんだがフリッグがやると言っているなら俺が口をはさむことじゃないか。


「となると問題はやっぱり俺か。」


「そうじゃな。

妾の部下としてかなりの功績を立ててるとはいえ貴族でもない者を紹介するとなればそれなりに波紋もあるじゃろう。」


「ちなみに、歴代の王の中で一般市民と結婚したって話はあるのか?」


「否、レンも知っての通り、この国は9つの街で成り立っておる。

その1つ1つが大きな力を有しておるからのう。

ほとんどが友好を深めるための政略結婚というものばかりじゃ。」


それもそうか。

この国の王といっても結局はアースガルド周辺を治めているだけで、他の街の周辺はそれぞれの街の長が治めているようなものだ。

お飾りとまでは言わないが王といってもそこまでの力を持っているというわけじゃない。


「厄介な問題だな。

フリュネの風当たりはどの位なんだ?」


「前ほど酷くはないのう。

逆に、媚び諂うものが増えておる。」


「あの偉そうな奴はまだ諦めてないよな。」


「そうじゃな。

ここぞとばかり悪評をばらまこうとするじゃろう。」


それが一番厄介なんだよな。

俺のことを知ってるってことは俺の周りのことも知ってるってことだ。

悪意ある眼で見なくても、俺の評価は複数の女を誑かしてる軽い男だろう。

フリッグとアリスは妹となってるがこの国で親族だからという理由はあまり効果もないだろうしな。


「思ったんだが、フリュネが鬱陶しいのを我慢すれば何の問題もないんじゃないのか?」


「ほう、ならば妾を狙っている者たちがこの街に来てもいいというのか?」


「っち、そういうことか。」


ミナの家はフリュネを泊めている以上、他の王子や姫どもを泊めないというわけにはいかないだろうしな。

それどころか、最悪俺の家にまで押し寄せてくるだろう。

本当にどこまでも厄介な問題だ。


「表立った問題は2つだな。

1つめは、フリュネによってくる虫を追い払うこと。

2つめは、フリュネの恋人役として俺を周囲に納得させること。」


「ふむ、方法はレンに任せる。

必要なことがあれば妾に言うのじゃ。」


簡単に言ってくれるがかなり難しい。

両方の共通した問題点は俺がフリュネと釣り合わないということだ。

逆にこれがどうにかできればあとは簡単なんだが・・・・・


「もう公表は取り消せないのか?」


「できないことはないと思うがいい方法でも思いついたのか?」


「自分より強い奴と結婚するって言えば諦めてくれるんじゃないか?」


「いかにもその場逃れの言葉など誰も取り合ってはくれぬ。」


だよなぁ。

一応俺の設定はアリスの従者ってことになってるから親交を深める為って言えば身を挺して真祖の吸血鬼を抑えているとできなくもないが、アリスを政治の道具として使いたくないからこれは最後の手段だな。

いっそのこと、ここでフリュネと手を切るか?

アルフヘイムから追い出してしまえばこの街に来ることもないだろうし、俺に厄介事が降ってこなくなる。


「先に言っておくが妾を追い出そうとしても無駄じゃぞ。

フリッグだけでなく他の物にも借りを作っておるからのう。」


ときどき思うんだが、こいつは俺の心を読んでるんじゃないか?

ポーカーフェイスは得意だから表情には出してないはずなんなんだが。


「とりあえず今日考えてみる。

一応、方法はあるがそれは最後の手段にしたいからな。」


「うむ、任せたぞ。」



・・・・・解決策が思いつかない。

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