愛という暴力
最近増えてきたシリアスパートです。
GW期間は頑張って連続投稿を続けていますがそろそろ限界っぽい・・・・
それにしても西尾維新先生の本は最高です。
「それじゃあ俺は行ってくるけど本当に大丈夫か?」
「心配せずとも悪いようにはしないよ。」
そのセリフは悪党のセリフじゃないか?
激しく心配になってきた。
「だ、大丈夫ですよ。
だから、レンは楽しんできてください。
でも好きになったら駄目ですよ。」
空元気が痛々しい。
これ以上この状態が続くなら本気で考えないとな。
「分かった。
何かあったら連絡をくれ。」
side フリッグ
「それじゃあ私たちも行こうか。」
「はい。」
レンにはああ言ったもののやっぱり怖いです。
襲われても撃退できますけど助けてしまったのは私ですし手酷く扱うこともできません。
「そう言えば、風峰とはどうやって出会ったんだ?」
「それは、私が間違って殺してしまって転生させるために呼び寄せたときに初めて会いました。」
最初から寝ようとするレンにはびっくりしましたが、そのあと抱かせてくれと言われた時はもっとびっくりしましたね。
今なら二つ返事で了承していたんですが、抱いてくれるどころかキスもしてくれません。
まぁ、私がどんな返事をしても結局レンは私を抱くことなんてなかったと思いますけどね。
「本当に君は風峰のことが好きなんだな。」
これはついに私のことを諦めてくれたんでしょうか!!
でも、それでレンの方に行ってしまうのは困ります。
「あの、リンネはレンのことどう思ってるんですか?」
「そうだな・・・・・・哀れかな。
私には風峰がなぜ生きていられるのか不思議でしょうがない。
少なくとも私ならとっくに発狂しているな。」
「そ、それは私が、私たちがどうにかします。」
レンだって少しずつ変わってきてくれています。
最初のころと違って大切なものを持とうと、守ろうとしています。
「ああ、勘違いをしないでくれ。
私が言っているのは風峰が死にたがりだからということを言っているんじゃない。
私が言いたいのは君、いや、君たちのことだ。」
私達?
「それは誰のことを指してるんですか?」
「自覚がないということほど恐ろしいものはないな。
いや、自覚がないからこそあそこまで風峰に対して残酷であれるんだろうが。」
何を言っているんですか?
少なくとも私はレンのことを好きで、レンの為になろうとしているだけです。
それがレンに対して残酷?
いくら何でも言っていいことと悪いことがあります。
「煙に巻くような言い方をしないではっきり言ってください!!」
「そうか、それじゃあ教えてあげよう。」
「きゃっ!!」
な、なにを!!
「ここなら人目はつかないだろう。
知っての通り私は君とことが好きだ。
君が風峰を好きなように君を私の物にしたい。」
「そ、それは分かりますけど私はこんな乱暴にはしません!!」
それはたまに暴走しちゃうときもありますけど結局はレンに宥められちゃいますし。
「そう、君は風峰に愛してもらうことで風峰を君の物にしようとしている。
もちろん、私もその方法で君を手に入れようとしているが、何もそれだけが方法じゃない。」
怖い。
何を言ってるんですか?
何を言いたいんですか?
「君は今私に対して恐怖を感じているだろう?
それはそうだ、誰もいないところで壁に押し付けられ、風峰の言葉で心理的にブレーキがかかる。
今の君はか弱い女の子と同然だ。
つまり、私は君のことを犯そうと思えばいつでも犯せる。
そして、君はそのことを風峰に知られたくはないはずだ。
私はそれを人質にとってこれからも君を犯し続ける。
そうなれば君はいつまで正気を保っていられるかな?」
「ひっ!!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!
誰か、誰か助けて!!
「そんな顔をしないでくれ。
本当に犯したくなってしまうだろう。」
「い・・・や、助けて・・・・」
「この通り、私は君を暴力で手に入れるわけだ。
それは君も同じだ、圧倒的な力を持つ君ならば風峰を力ずくでものにするくらい簡単だろう?
それをしないのは君の良心があるからだ。
だが、あれほど疑り深く、この世の何も信じようとしない風峰がそれを信じていられると思うか?」
それは・・・・・・
「行き過ぎた愛は暴力と変わらない。
君達の愛は暴力と言っていい。
これが風峰でなければ深刻な問題にはならないだろう。」
「で、でもレンはそんな素振りは・・・・」
いつも通りで、何も・・・・
「それは風峰が痛みに鈍感、いや耐性があるからか。
皮肉だな、風峰でなければ君たちの愛は愛のままであれたというのに。
しかし、逆に風峰でなければ君達の暴力に耐えられることはなかっただろう。」
私たちがレンを苦しめていた・・・・・・
「君のように私に対し恐怖だけならまだ救いはあった。
単純に拒絶すればいいだけなのだから。
あれほどの切れ者だ、君たちを諦めさせようとすればいつでもできただろう。
だが、風峰は君たちを家族と認めてしまった。
これがどれほどのことか分かるか?
守るべきものを疑い、恐怖しなければならない苦痛が。」
「・・・・・なぜ、それを私に言うんですか?」
「それは単純明快だ、私が君のことを愛しているから、それ以上の理由はない。
いずれ遠くない未来、風峰は壊れる。
それは必ず君を傷つけることになるだろう。
愛すべき人が傷つくことがわかっていて止めないわけがないだろう。」
これがいつも私がレンに向けてきたもの・・・・・
レンはこんな、これ以上の暴力に耐えてきたんですね。
「今ならまだ間に合う、風峰を諦めて私の物になれ。
私は君のすべてを受け止めよう。」
「・・・・・必要だって言ってくれたんです。」
「なに?」
「レンは私のことを必要だって言ってくれたんです。
一緒に変わっていこうって、お互いに支えあおうって言ってくれたんです。」
「それは君に迫られ誤魔化そうとしただけじゃないのかい?
事実、風峰は姫との関係が一番楽なはずだ。
ギブ&テイク、貸し借りだけの関係、それが一番の距離感だからね。」
「私はレンを信じます。
きっとレンは私を信じてくれる。
何よりレンはそんなことで潰れるような弱い人ではありません。」
「それは君が思い込んでいるだけだ。
人とは君が思っている以上に脆く壊れやすいものだよ。」
「私の音如きが私の大切な人を侮辱するな。」
もう私はリンネに音になんか怖がってあげません。
レンが私たちの想いをすべて受け入れているように私だって自分の音くらい制御します。
「ふぅ、参ったよ。
私の予想ではもっと子供だと思っていたのだけれど、どうやら見込みが甘かったらしい。
これは君が成長した証拠かな?
ちなみに私が言ったことはすべて出鱈目だよ。
たった数日でそこまで分かるわけないからね。」
私は少しは成長したんでしょうか?
でも、まだ私はレンの隣は立てない気がします。
もっと強くなりましょう。
「さ、行きますよリンネ。」
「分かったよ。」
頑張りましょう。
私は絶対にレンを手に入れるんですから。
side out
「ただいま。」
「あ。おかえりなさい。
ご飯にしますかお風呂にしますか「いい加減飽きろ。」相変わらず冷たい反応ですね。」
どうやら問題ないようだな。
本当に一時はどうなるかと思った。
「それにしても意外と過保護だな、風峰。
デートを監視するとはシスコンもほどほどにしておかないと犯罪だぞ。」
やっぱり気づいてやっがたか。
「いや、私も気づいたのは最後の方だよ。
流石はアリスだ、少しでも動けば感知できるんだが空間移動で移動しているとは盲点だった。」
「どうやって気づいた?」
「風峰がシスコンだということは姫から聞いていたからな。
何もないと逆におかしいと思ったんだよ。
だから、物理的振動ではなく魔力振動を追って突き止めたというわけだ。
それも、ごく微細だから見つけるのに苦労したがな。」
「抜け目がないというか可愛くない奴だな。」
「別に風峰に可愛いなどと思ったらう必要ない。
私はフリッグさえよければそれでいいのだから。」
面倒くさい奴だな。
「それにしても、私が言ったことは的外れというわけではないはずだ。
苦しくはないのか?」
「そんなもの可愛い妹たちの為なら耐えられる。」
もう開き直ろう、俺はシスコンだ。
妹たちが可愛くて仕方がない。
ジンもこんな気持ちだったんだなぁ。
「ふっ、これはフリッグを落としてからも大変そうだ。」
「そう簡単に妹は渡さないからな。」