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カウンセリング

「何やら疲れておるようじゃが何かあったのか?」


「ミナに昨日のことを全部しゃべらされた。」


「もうよい、大体分かった。」


まさか、朝から来るとは思ってなかった。

いや、いつも朝食は食べに来てるから可能性はあったわけだが忙しいだろうからその場くらいは誤魔化せると思っていたんだよ。

まさか、出勤時間をずらしてくるまでするとは思ってなかった。

はぁ~、いったい何を要求されるのか・・・・

フリッグをからかうと本当にろくなことにならない。


「で、俺に何をさせるつもりだ?」


「リンネが話をしたいと言ってきてのう、こちらとしてもリンネには祭りの最後の締めくくりをやってもらいたいからのう、できるだけ要望をかなえて貸しを作っておきたいのじゃ。」


リンネって名前なのか。

見た目は日本人みたいだったが他の世界に日本に似たところがあっても不思議じゃないから俺と同じ世界から来たとは限らないか。


「それにしても俺に話ってもう答えが出たのか?」


「そんなことは本人に聞くがよい。

妾はレンと話がしたいとしか聞いておらぬ。」


ある程度落ち着いたとはいえ不安は残ってるからか?

まぁ、万が一力が暴走した時に俺だったら死なないからそういう意味では安心だが・・・


「分かっておると思うが、気を引くようなまねはせぬことじゃ。」


「当たり前だ。

俺だってこれ以上あいつらを怒らせたくない。」


だが、つり橋効果で一時的に勘違いする可能性は捨てきれない。

そこは時間が解決してくれるだろう。


「妾は空けていた分の報告と仕事がある故、一緒には行けぬ。

アリスかフリッグを連れてきた方が良かったのではないか?」


「俺たちにも生活はあるんだぞ。

フリッグとアリスは仕事に行ってもらってる。」


まぁ、あの2人ならどんなものでもすぐに終わらせそうだがな。

俺としてはアリスだけじゃなくフリッグにも余計なことを吹き込まれないかが心配だ。

前にちょっと話をしたんだが全く反省の色はないどころかアリスに庇われたおかげで結局何も変わらなかったしな。


「苦労しておるのう。」


「そう思うなら度々厄介事を運んでくるな。」


今のところフリュネ絡みの厄介事が一番多いんだよ。

金にはなるんだがその分、仕事後もきっちりしておかないとあとあと響くようなものばかりだ。


「何を言っておる。

レンは妾の部下じゃぞ。

部下に仕事をさせるのは上司として当然のことじゃ。」


「俺はいつフリュネの下につくと言った?」


「既にフリッグたちからの許可は取っておる。」


こいつは俺のことをなんだと思ってやがる。

俺はフッリグたちの物ってわけじゃないんだぞ。

これは一発くらい殴ってもいいよな?

フリュネは女だがこいつだけは殴っても許されるはずだ。


「死ね!!」


「甘いわ!!」


「ぐはっ・・」


「妾を殴ろうなど100年早い・・・・・月並みなセリフじゃな。

ならば、フリッグがレンを嫌いになるくらい無理じゃ。」


くそ、相変わらずのチートスペックめ。

それに、それを言われたら本当に無理な気がしてくる


「俺にはお前を殴る権利があるはずだ。

だから、殴らせろ。」


「却下じゃ。

妾も暇ではないのじゃぞ。

さっさと行け。」


絶対にいつか殴ってやる。



「入っていいか?」


「ああ。」


流石、首都の城だ。

客室一つでも俺の家とは比べ物にならないくらい広いし煌びやかだ。

とはいってもこんな所に住みたいとは思わいがな。


「態々来てもらってすまない。

一人で考えているとどうにも悪い方向にいってしまう。

少し付き合ってくれ。」


「それは構わないが俺でよかったのか?」


同じ性別のフリッグがいいと思うんだが


「なんというか彼女と話してると君のことばかり話しそうだったから。

あの姫から君に負担をかけるなとは言われたが私を利用しようとしてる人に気を許せない。」


そういえば遠くの音でも聞こえるのか。

しかも、任意で制御できるってのはいいな。

巻き込まれる前に気づくこともできるし、巻き込まれてからも情報取集が簡単になる。

フリッグもできるだろうが、ちょっと頼りないしな。

それにしてもフリュネが俺を気遣うとは、槍の雨が降らなければいいが・・・・・


「そうか、それじゃあまずは自己紹介からだな。

俺は、レン・カザミネだ。」


「私は天笠鈴音。

ファーストネームがリンネでファミリーネームがアマガサだ。」


ますます日本人っぽいな。


「聞いてる通り俺もほかの世界から来ててな、そこでは俺もその名乗り方だった。

もしかして、日本人か?」


「いや、そんな名称は聞いたことがないな。

異世界があるくらいなら似たような世界があっても不思議じゃないんだろう。」


男っぽいしゃべり方。

だが、それにあまり違和感を感じない凛とした感じだ。


「風峰は一度死んでこの世界に来たとも死にたがりとも言っていたな。

ならなぜ今生きていられるんだ?」


なるほど、自分に似た境遇を持つ俺のことを知りたいってわけか。

俺のことが参考になるとは思えないがな・・・


「それは簡単な話だ。

あんたも一度俺を殺しかけただろう。

だが、俺は生きている。

そういうことだ。」


「つまり、死ねないということか。」


どうやら頭は悪くないらしい。

俺が試したこともばれてるみたいだ。


「それなら、なぜ彼女を恨まずにいられる。

私と違って夢を奪った相手がわかっているのに。」


「俺が死ねないといっても期間限定だ。

そりゃあ、最初は恨みはしたがあいつが殺さなくても結局元の世界でだらだら生きていただけだからな。

いくら死にたがりだからと言って俺が自殺してそれで終わりにはならない。

俺に関わってきた人たち、具体的に言えば家族や、俺が通っていた学校、俺の身勝手で迷惑をかけるわけにもいかないしな。」


それに今は今で放っておけない妹たちがいる。


「・・・そうか。」


「参考にならなくて悪かったな。」


「気付いてたのか?」


「まぁな。」


ある程度考えを読めるようにならないと騙されそうになる奴らがいるからな。

特にあの詐欺師には本気で騙されるところだった。


「聞かないのか、私のことを。」


「あの時そう言ったのは挑発のためだ。

落ち着かせるためには俺を攻撃してもらう必要があったからな。

だから、俺からは聞きはしない。

聞いて欲しいなら聞いてやるが。」


「・・・・止めておこう。

私が話して楽になれるがそれを聞いてしまったら風峰は何とかしようとしてしまうだろう?

今でさえ話し相手になってくれているんだ。

これ以上迷惑をかけるつもりはない。」


驚いたな、フリュネから話を聞いていたとはいえ、それだけで俺の性格を把握するとは。

どうやら予想以上に切れるやつらしい。


「そうか。

天笠がそう言うなら俺がどうこう言うことじゃないな。

まぁ、話したくなったらいつでも言ってくれ。

俺にできそうなら可能な限り手は貸す。」


「あの姫のように私に貸しを作ろうとするならばそれもいいんだが、風峰の場合は見返りを求めないんだろう?

一方的に貸しを作るのは好きじゃない。」


フリュネの意図も聞かれていたのか、推測してたどり着いたのか、どちらにせよかなり有能だ。

案外勇者云々も間違いじゃないのか?


「買いかぶりすぎだ。

俺だってタダ働きは勘弁だからな。」


「そういうことしておこう。」


これはまたやりにくい相手だ。

どうして俺の周りには頭が切れるやつしかいないんだ。

言葉一つでも選ばないとすぐに付け込まれそうだ。


「今日は来てくれてありがとう。

おかげで少しは気がまぎれそうだ。」


「それは態々来たかいがあった。

また用があったら呼んでくれ。

暇だったら来てやる。」


本当はあんまり来たいわけじゃないんだが、俺以外では疑ってかかるだろうしな。

逆にストレスをため込むだけだ。

しかし、なぜ俺はカウンセラーの真似事なんてしてるんだろ・・・・・


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