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本当の想い

エルフやドワーフなどあらゆる種族の総称を人

レンのような生粋の人を人間と表現しています。

side フリッグ


「お前は本当に俺のことが好きなのか?」


「どういうことですか。」


私はレンが好き。

近くにいるだけで心臓が高鳴って、安心できる。

この気持ちは嘘じゃない。


「さっきの話の続きになるが、喪失の恐怖に気付かなければ幸せが続くと新しい幸せを求めたくなる。

つまり、永遠の幸せなんてものよりその刹那の幸せを求めてるってことだろう?

お前は刹那の幸せを感じたくて俺のことを好きだと勘違いしているだけじゃないのか?」」


「違います!!

この気持ちは勘違いじゃありません!!」


違う、この気持ちだけは勘違いなわけがない。

こんなにも好きって思えるのにこれが勘違いだなんてあるはずがない。


「自分で言ってて恥ずかしいがお前は確かに俺のことが好きだという感情があるとしよう。

それは恋に恋していないと言い切れるか?

お前がどう生きてきたか知らんが勝手に転生や魂の改竄をできるくらいだ。

神のルールなんてものは分からないがそんなことをできるってことは、それなりに高い地位にいるか大きな力を持っているかどちらかだ。

それにお前は1万年しか生きていないと言った、それを考慮に入れて前者なら媚びへつらう輩しか周りにいないし、後者ならくだらないプライドを刺激される輩からの嫉妬やよくても羨望の対象にしかならない。

つまり、お前には今まで対等に接してきたやつがいなかったんじゃないのか?

そこで、なにも知らない俺が対等に接してきたことが嬉しくてその気持ちを好きだと勘違いしているんじゃないのか?」


「た、たしかに私は神の中でトップレベルの力を所持しています。

レンの言うとおりくだらない嫌がらせを受けたり、羨望のまなざしを向けられました。

でも、私がレンを好きって気持ちは・・・・・・」


気持ちは・・・・・

この気持ちはレンの言うとおり勘違いなのでしょうか。

レンの言うとおり私には友達といえる者はいませんでした。

この気持ちはレンの言うとおりなのでしょうか・・・・


side out



かなり揺らいでいるな。

別にここまで言う必要はなかったんだが後になって傷つくより傷が浅いうちに自覚したほうが治りも早いだろう。

それに、これで俺のことを諦められたら俺と居ずらくなるはずだ。

そうなれば後百年も生きなくて済む。

少し可哀相な気もするがこれも一つの経験だ。

こいつはかなり優秀なんだろうが、感覚に任せっぱなしなところがあるからな、これで少しは考えるということの大切さが理解できただろう。


「気持ちは、なんだ?

そこで詰まるってことはそういうことだ。

お前は恋に恋していただけで、言い方は悪いが対等に接してくれる奴なら誰だって良いってことだ。

それが理解できたらもう俺とは居ずらいだろう?

別にいますぐ殺されても恨みはしない。

俺を殺して、神の世界で他にいい男を見つけろ。」


やっぱり、追い詰めるってのは良い気分じゃないな。

だが、これでもう大丈夫だろう。

こいつは罪滅ぼしの為に俺を殺すだろう。

もうすぐ、もうすぐだ。



side フリッグ



レンの一言一言が胸に突き刺さります。

私は恋に恋しているだけなんでしょうか?

この温かな気持ちは偽りで、ただ幸せでいたいという私の勘違いなんでしょうか?

でも、それでも私はレンが好きって気持ちは消えてくれません。

私が泣きそうになったら不器用に慰めてくれたレン。


「レンは私のことが嫌いですか?」


私がレンに望む答えは・・・・・


side out



別にこいつのことは嫌いでも何でもないが突き放したほうがこいつも楽だろう。

俺を殺すことに罪悪感を覚えるだろうが少しでも軽減するために言いたくないが


「嫌いだ。

そもそも俺の望みを知りながら、潰した奴のことをどうやったら好きになれるんだ?」


これでやっと解放される。


「私はレンのことが好きです。」



side フリッグ



やっぱり私はレンのことが好きです。

レンが私のことを本当に嫌いなら”嫌い”の一言だけで済ませるはずです。

レンは私が罪悪感を感じることを分かっていたから少しでも感じないで済むようにあえて後の言葉をつけたしてくれたんですよね。


「だからその気持ちは勘違いだ。

お前は恋に恋しているだけなんだよ。」


レンはからかいはしても傷つけることはしないはずです。

この言葉も私を突き放して嫌ってもらえるように言っているだけですよね。


「確かに私は恋に恋していたのかもしれません。

でも、過去はどうであれ私はレンのことが好きです。」


side out



正直予想外だ、まさかあれだけ揺らいでいた気持ちが固まっている。

俺の負けか。

はぁ、ままならないなぁ。


「お前は俺のどこが好きなんだ?」


最後の悪あがき、今更こいつの気持ちはそう簡単には変わらないだろうがやらないよりましだろ。


「レンの優しいところが好きです。

さっきまでの言葉は私を諦めさせるつもりで言ったんだと思います。

でも、言葉の隅々に私を気遣って言ってる言葉がありますよね。

私はそんな不器用な優しさがとても愛おしいです。」


余計なことを言わなければよかった。

まぁ、反省したところで結局こんな場面になったら同じことを繰り返すんだろうな。

この甘さはどうにかしないとな。


「レンは信じることが怖いんですか?」


「当然だ。

この世に永遠なんてものは存在しない。

俺から言わせてもらえばそんなものを信じている連中の気がしれない。」


どんなものだって時間がたてば風化する。

それは物であろうが気持ちだろうが同じだ。

だからこそ風化する前に綺麗なままの幸せを抱いたまま死にたい。


「それなら私はレンに永遠を信じさせてあげます。」


「なに?」


「永遠に続くものあるんだって、信じるからこそ得られるものがあるんだってこの百年の間に教えてあげます。」


はぁ、これは百年間は死ねないな。

それにうかうかしているとこいつに染められそうだ。

外見だと思ったが中身もなかなか良い物持ってるみたいだしな。


「精々頑張れ。

そろそろ帰るぞ、この化物と戦ったせいで結構時間が取られたからな。」


「はい♪

私百年で絶対にレンのこと振り向かせて見せます。」


くそ、やっぱりこいつ可愛い。

今はそうでもないが本当に惚れさせられそうだ。



side フリッグ



やっぱりこの気持ちは偽りなんかじゃありません。

レンの近くにいるだけでこんなに幸せなんです。

絶対にレンにもこの幸せを感じさせてあげます。

そしてこの気持ちは信じても良いんだって、永遠に続くものだって教えてあげます。

これから百年、覚悟してくださいねレン。


side out



さて、とりあえず野草を納品して仕事は終わりだな。

今回はなんとかなったが、次もこう上手くいくとは思えないし手札を増やすか持っている手札を磨くかとりあえず自分を磨く必要があるな。

忘れてた。

最初の時よりも視線が突き刺さる。

特に俺が倒した奴の視線なんてマジの殺気がこもってる。

これから毎日この視線を浴びせられるってのか?

最悪変装する必要があるな。


「ご苦労様です。

これは報酬の金貨三枚です。」


ちなみに金貨一枚で1万円くらいだ。

その下に銀貨、銅貨、鉄貨と続き、それぞれ千円、百円、十円だ。

1日で三万円稼げるって割よすぎだろう。

まぁ、その分危険が付きまとうっていう点を考えれば妥当なところか。

怪我しても自己責任、下手すれば治療費だけでお金がとんでいく可能性があるのに、普通なら武器の整備なんかも必要だからな。


「帰るか。」


「また明日頑張りましょう。」


さて、食材買って適当に作るか。

自慢じゃないがそこそこ料理はできる。

養ってくれてた親戚は仕事が忙しくて家事は俺と義理の妹担当だったからな。

その妹は料理が壊滅だから必然的に俺の役目になったからそれなりにできるようになった。

この世界の食物は知らんがなんとかなるだろう。


「ちょっと待て。」


ん?

また絡まれるのか?


「なん・・・・」


振り向いた時には既に刃が振り下ろされていた。

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