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近状報告

「あの~、アリス?

私が悪かったです。

なんでもしますので、機嫌を直してくれませんか?」


「じゃあ、今日お兄ちゃんと一緒に寝る。」


「そこで俺を巻き込むのか?」


彼女を落ち着かせた後、アリスがいないことに気づいてフリッグに聞いたら置いてきたそうなんだが、ただおいてきただけならアリスも空間移動が使えるから普通に追ってくればいい。

だが、間の悪いことに食事中にいきなりフリッグが消え、お金もフリッグが持ってる。

なのでアリスはフリッグが戻ってくるまでそこに居続けるしかできなかったというわけだ。


「うぅ~、できればレン絡みのことは止めてほしいんですけど。」


「アリスが大変な時にお兄ちゃんと抱き合ってる。」


やはりアリスの鼻は誤魔化せないらしい。

どうでもいいが抱き合ってるではなくて抱きついてきたにして欲しい。


「うっ、わ、分かりました・・・・」


フリッグもアリスに嫌われることは避けたいらしいな。

最近、小悪魔化してきたとはいえアリスが可愛い妹だということは俺にとっても変わらない。


「ところでアリスがいない間何があったの?

お兄ちゃんからは血の匂いもするけど。」


「そういえばまだ説明してもらってませんね。」


「簡単に説明すると、異世界から召喚された奴が錯乱して暴れていたから落ち着かせた。

そして、落ち着かせるために俺を殺したと見せかけたんだ。」


「どうして、そんなことしたんですか?」


「それが一番手っ取り早いし、人を殺せる力だと認識させる必要があったからだ。

俺だからよかったがあれを一般人にやると簡単に殺せる。」


人殺しはやったことがあるかないかでかなり違ってくるからな。

一度殺してしまったら二度目は一度目より簡単にその結論にたどり着いてしまう。


「納得はしておきますけどあんまり心配させないでくださいね。

レンは私のすべてなんですから。」


「その考えは頑張って変えろ。」


「無理です。

そもそもレンが悪いんですよ。

要所要所で私の心を奪うようなこと言うんですから。」


もう何も言うまい。


「この話はもう終わりだ。

あとは彼女がどんな選択をするかにかかってる。

もう、俺たちができることはない。」


「そうですね。

家族水入らずで観光しましょう。

もちろん私はレンのお嫁さんです。」


「それはアリスの役だよ。」


「お前たちは2人とも妹だ。

あんまり時間があるわけじゃないんだから行くぞ。」


一仕事終わったことだし俺もゆっくり観光するか。

前来た時はストーカー王子に絡まれるわ、フリュネに捕まるわでそれどころじゃなかったしな。


「そういえば、新しい職は決まったんですか?」


「いや、なかなかこれといったものが思いつかなくてな。」


元の世界の技術をこっちの世界に流用できればいいんだが、そんな専門的な知識をただの高校生が持ってるはずない。

武器を創造して売るっていう手段はあるんだが俺がまともに作れるのは銃くらいだし、下手にばらまけば子供でも人を殺せる力を持つことになってしまうから簡単には売れないんだよな。


「そうですか。

私に協力できることなら何でもやりますから相談してくださいね。」


「最初に言っておくが手伝ったからって変なことを要求するなよ。」


「変な事とは失礼ですね。

私は純粋にレンに愛してもらいたいだけです。」


それが変な事だっていうんだよ。

泣き虫なの変わらないのに遠慮はなくなってきたな。


「ふぁ、お兄ちゃん、眠たくなってきちゃった。」


「ほら、おぶってやるからこい。」


「うん。」


もう寝たのか。

よっぽど眠かったらしいな。


「レン、これってもう夫婦ですよね。

いい加減に認めませんか?」


「残念だが百年後に別れるんだ。

俺は妻を置いて逝けるほど薄情にはなれないんでな。」


「はぁ~、本当にレンは頑固ですね。

まぁ、そんなところも大好きなんです。」


「いってろ。」


本当に平和だ。


「あ、おかえりなさい。」


いや、今更来るなとは言わない。

だが、確かに戸締りはしたつもりだったんだがどうやって入ったんだ?


「家にいると兄さんとユーリアさんがいちゃついてるから居づらくてね。

あ、ご飯は作ってるから食べましょう。」


そういえばミナも空間転移が使えるんだった。

しかし、ジンよ、夫婦円満なのはいいことだがせめて周りを気にしてほしい。


「で、仕事はどうだったの?」


「とりあえず俺が頼まれたことはやった。」


下手に彼女のことを伝えて藪をつつく必要なんてない。

適当に濁してまおう。


「ふ~ん、何か隠したいことがあるみたいね。」


「何のことだ?」


なぜ、ばれた?

あの眼は確信してる時の眼だ。

まさか、フリッグがまた余計なことを・・・・


「誰からも聞いてないわよ。

レンは嘘をつくとき自然すぎて逆に不自然なのよ。

それに、ばれた時には誤魔化そうとして『何のことだ?』って口癖になってるしね。」


くっ、自然すぎて不自然ってどういうことだよ。

このままでは、ミナに隠し事ができなくなってしまう。


「別に隠すことじゃないんですし言っちゃってもいいんじゃないですか?」


お前は構わないんだろうが俺が構うんだよ。

ミナはフリッグほどじゃないがそれでも俺の周りにこれ以上女が増えることに不満を持つはずだからな。


「召喚された奴を落ち着かせるために少し無茶をしてな、別に何ともないがあまり心配をかけたくなかったんだ。」


嘘じゃない。

ただ、真実を言ってないだけだ。


「まったく、本当にレンは甘いんだから。」


「悪かったな。

フリッグは前もって言っておいたがそれでも切れかけてたからあまり刺激を与えたくなかったんだ。」


何とかなったか?


「本当にレンは甘いわね。

私をその程度で誤魔化せると思ってるの?」


本日2度目だな。

笑顔が怖い。



「ふ~ん、事情は分かったわ。」


結局根掘り葉掘り、あったこと全部しゃべらされてしまった。

これは早急に何か対策を考える必要がある。


「で、その娘はレンの好みだったの?」


ここでミナの方がいいと言えれば直接的な言葉に弱いミナに反撃できるんだがそれを言ってしまうと間違いなくフリッグにも言わなければならなくなる。

そうなると次はフリッグとミナを比べることになりかねない。

その質問はどっちに転んでも面倒くさいことにしかならないから絶対に避けたい。


「ぱっと見ただけなら相当な美少女だったからな。

好みと言われればそうかもしれない。

そういう意味じゃあミナのこともかなり好きだ。」


「そ、そう・・・・」


俺にできることはこれくらいか。

それでも、あの顔を見る限り効果は十分みたいだな。


「レン、私はどうですか?」


「もちろん、フリッグもだ。」


アリスが寝ててよかった。

止めた後のことを聞かれたらミナも何か要求してくるだろうしな。


「今更だが、ミナって料理できたんだな。」


しかも、普通に美味い。

フリッグと比べても遜色ないくらいに。


「まぁね、家事はなんでも一通りできるわよ。

最近はフリッグに任せっぱなしで腕が鈍ってないか不安だったんだけど心配はいらなかったみたいね。」


本当にハイスペックだな。

10人中9人は振り向きそうな美少女に加え、魔法のエキスパート、権力も金も持っていて、さらに家事もできるとは。

これで男を見る目と幼児退行がなければ完璧なんだがな。


「それで、明日も行くの?」


「ああ、約束したしな。

流石に1日2日で出せる答えじゃないと思うからしばらくは通うことになりそうだ。」


「そう、私も行きたいところだけどちょっと立て込んでるから行けそうにないのよね。」


「近々何かあるのか?」


「来月は建国記念日の日に全部の街の代表が集まって会議があるのよ。

流石に私は参加しないけど資料作りを手伝ってるの。」


ミナの立場ともなると何もしなくていいってわけでもないか。

毎月、旅行に行ってるからそのあたりは適当だと思ってたが真面目にやってるらしい。


「そんなわけだから、一段落するまで旅行には行けそうにないわ。」


旅行に行くたびに厄介事に巻き込まれるから本気で助かる。

とはいっても、最近はフリュネが厄介事を運んでくるんだがな。

まぁ、しばらくは祭りやら会議やらでフリュネも忙しいだろうから何事もないと思うが。


「ん、ここどこ・・・」


「起きたか、もう家だぞ。」


「お兄ちゃん、早く寝よう。」


・・・・しまった。


「どういうことか説明してくれるわよね?」


「ふぁ~、お兄ちゃんのベッドだよ。

起きたときいないとおこ・・・るから・・・ね・・・」


最悪の爆弾を落として寝るのか・・・・


「フリッグが何も言わないってことは何かあったのよね?

早く白状しなさい。」


だから、笑顔が怖い。


「・・・・明日でいいか?

アリスをこののままにしてたら可哀想だ。」


「・・・・絶対に説明してもらうよ。」


はぁ~、明日が憂鬱だ・・・・


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