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異世界からの漂流者

「レン、アースガルドに行くぞ。」


「・・・・・・」


ムスペルヘイムから帰ってきてまだ2日目だぞ?

これまでの経験から一週間くらいは大丈夫だと思っていたのに、俺は何か悪いことをしたか?


「レンよ、いくら妾でも背後から何の気配もなく撃たれれば危ういぞ。」


「悪い。

いつもの癖でな。」


本当に慣れは怖いな。

我ながら洗礼された動きだった。

しかも、無意識に。

日頃どれだけフリュネに対し鬱憤が溜まっているかわかるな。


「まずは用件を聞かせろ。」


「ほう、少しは成長したようじゃな。

前回は話すら聞かぬで拉致するしかなかったからのう。

今回もそうするつもりじゃったっが手間が省けて助かる。」


そうだろうよ。

俺もお前がそうするとわかってるから逃げ場がある家で話を聞こうとしてるんだよ。


「アースガルドでは行事の1つとして祭りがあるのじゃ。

知っての通りアースガルドは信仰の街、祭りの内容としては一般的な祭りと同じなのじゃが最後に選ばれた者が神に感謝の言葉を告げるというものがあってのう、その選ばれた者が問題なのじゃ。

選定の方法は清らかな者という条件さえ満たしていれば誰でも良いというものでな、毎回ランダムに召喚され、アースガルドの者が選ばれておるのじゃが今回はどうやら異世界から召喚されたようなのじゃ。」


とりあえずご愁傷様だな。

いきなりわけのわからない場所に、しかも異世界だ。

いや、魔法とかに憧れているならむしろ喜ぶべきところなのか?


「しかし、どうやって異世界から来たってわかったんだ?

もしかしたら、混乱して適当なことを言ってるだけかもしれないだろう。」


「それなのじゃが、召喚された者は黒髪に黒目だそうじゃ。

この世界にいないとは言わぬが、かなり珍しいのじゃ。

さらに、昔話というか童話じゃな。

黒髪に黒目をした者が天より遣わされ人々を脅かしていた魔王を倒し世界に平和をもたらしたというものじゃ。

ここまで言えばあとは分かるじゃろう。」


「つまり、そいつが勇者だとか魔王が現れるとか適当な噂が蔓延ってるってことか。」


そもそも魔王なんていたところでフリッグがいれば文字通り秒殺だ。

フリッグがいなくてもアリスやフリュネもいるしな。


「さらに言えば政治の道具として使われる可能性もあるのじゃ。

妾が言っていいことではないのじゃが信仰は個人によって捉え方など千差万別じゃ。

誰もが神を信じているというわけではないのじゃ。

特に政治を行う者にとって信仰とは1つの道具としてしか見てる者もおる。」


「大体の事情は分かった。

だが、どうしてフリュネがアースガルドに行く必要があるんだ?」


フリュネが手を掛けなくとも恩を売っておきたい奴も多いだろうから、お互いに牽制し合ってすぐに下手なことにはならないはずだ。


「それなのじゃが、召喚された者がかなり錯乱しておってのう。

押さえつけようにも歯が立たぬようなのじゃ。

そこで妾が呼ばれたというわけじゃ。

じゃが、妾が押さえつけようと何度も暴れられたはかなわぬ。

そこで、同じ黒髪、黒目のレンを安定剤として連れて行こうというわけじゃ。」


なるほど、それなら納得がいく。

どちらにせよ、祭りの日になればフリュネも戻る必要があるだろうし他の皆も呼ばれることになるだろうしな。


「分かった。

それくらいならやってやるよ。」


もちろん貸し1つだ。

断ったところで俺以外の奴は懐柔済みだろうしな。


「早速じゃが行くぞ。」


「俺とフリュネ以外で誰が行くんだ?」


「フリッグとアリスじゃ。

ミナとジンは仕事があるそうじゃからな。」


俺たちにも仕事はあるんだがな。

まぁ、いつも報酬をもらってるから別にいいんだが。


「そういうわけじゃ。

フッリグ、頼んだぞ。」


できればアースガルドにフリッグを連れて行きたくないんだが元の世界に帰るためにはフリッグがいないとどうしようもないから仕方がないか。


「はい。

それじゃあ行きますよ。」


これって俺がどう返事をしようと結果は決まっていたんじゃないのか?

フリッグとアリス、もう行く準備万端じゃねぇか。

「それじゃあ、私とアリスは街に行ってきますね。」


「無駄遣いはするなよ。」


早速か・・・・

いざという時には来てくれるだろうからいいか。


「俺たちは仕事と行くか。

案内してくれ。」


「うむ、こっちじゃ。」


せっかくアースガルドまで来たんだ。

俺もいろいろ見て回りたいしさっさとおわればいんだが


「この部屋の中にいるそうじゃ。

入ったら、気を抜くでないぞ。」


「分かってる。」


何とか対話に持っていければ平和的解決ができるんだが


「誰だ?」


「妾はこの国の姫であるフリュネ・セシリアじゃ。

どうやら少しは落ち着いたようじゃの。」


「おい、俺は女だとは聞いてないぞ。」


しかも、これまた美少女ときてる。

つい先日、フリッグにあんなことを言ったばかりなんだ。

下手な刺激を与えたくないってのに・・・・


「聞かれなかったからのう。

それに、レンに惚れるフリッグたちが特殊なのじゃ。

特段美形でもないレンに特別な感情など抱くはずなかろう。」


・・・・・そう言われればそうかもしれない。

あんな美少女が俺に惚れるなんてことあるはずないか。


「用がないなら消えろ。」


どうやら落ち着いてはいるようだが今の状況が理解できず苛ついる感じか。

これなら無駄な戦闘は避けられそうだな。


「では、単刀直入に聞こう、お主の望みはなんじゃ?」


「元の世界に戻ることだ。

これ以上城を壊されたくなかったら早く方法を見つけろ。」


武器らしいものは持っていないようだが素手で壊したのか?

それとも魔法か?

俺には異世界補正なんて付かなかったのになんだこの差は。


「いいじゃろう。

レン、フリッグを呼べ。」


いや、当然のように言われてもあいつは通信機なんて持ってないんだぞ。

俺にどうしろと?


「フリッグならレンが呼べば駆けつけるはずじゃ。」


「いくらフリッグでもそんなこと「呼びましたか?」・・・・・」


どうしてここにいるとか、まだ呼んですらいないとか、どうやって俺のいる場所が分かったとか突っ込みどころが満載すぎる。


「レンを想う私の気持ちに私に不可能はありません。」


どうしてだろうな、お前が言うと本気で怖い。


「まぁいい、あいつを元の世界に返せるか?」


「・・・レン、もちろん手を出そうなんて考えはありませんよね。」


「ない。」


確かに、美少女だがこれ以上厄介事を抱え込むつもりはない。

そもそも、手を出したところであの様子じゃ無理だろう。


「それなら問題ありませんね。

少し待ってください。

元の世界を特定しますので。」


最近忘れそうになってるが流石は神。

世界間の移動なんて朝飯前ってとこか。


「もうちょっと待ってくれ。

すぐにこいつが「私を名前で呼ばないと止めますよ。」フリッグがどうにかしてくれる。」


まさか、第三者に紹介する際でも名前で呼ばなければならないとは。

別にそれくらいならいいんだがその内、さらにいろいろな条件が加わるかもしれないな。

本当に外見だけなら最高なのに・・・・・


「・・・・・すまない。

いきなり異世界だといわれて気が立っていた。」


「気にするな。

それが普通の反応だ。」


「・・・・黒髪に黒目、お前も異世界から来たんだろう?

どうしてそんなに落ち着いていられるんだ?」


「俺はこっちに来てもう半年だからいい加減に慣れた。

それに、こっちに来るときに一度死んでるらしい。

だから元の世界に戻ったところで面倒になりそうだからな。」


「そうか、だが、私には帰らなければならない理由があるんだ。

だから、本当に助かる。」


どうやら悪い奴ではなさそうだな。

それに、力はあるようだが戦闘に関しては素人だ。

これならもし暴れられてもフリュネなら問題ないだろう。


「・・・・・あの、レン、ちょっといいですか。」


「どうした?」


「彼女のいた世界は特定できたんですけど時間の流れがこの世界とはかなり違っていて今すぐ帰ったとして一年くらい進んだ状態になると思います。」


一年か、今頃行方不明ってことで処理が済まされていることだろう。

親がいれば今も探してくれてるかもしれないが一年は長すぎる。


「元の時間に戻すことはできないだな?」


「私が創った世界ならできるんですが既に存在してる世界には誰も時に干渉することはできないんです。」


彼女が妥協してくれれば問題なく帰してやることができるが、見た目から俺とそんなに歳は離れていないようだから学生だろう。

それでなくとも帰る理由に期限がついているのかもしれない。

どちらにしてもショックを受けるだろう。

結局こうなるのか・・・・・

新しいレギュラーキャラにしようと思っていますがヒロインにするか迷ってます。


意見・感想待ってます。


ちなみにフリュネはヒロインにはなりません。

フリュネはあの立ち位置が一番書きやすいし一人くらいはあの立場がいないと物語が成立しないからです。

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