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ムスペルヘイム その① 海といえば

「なぁ、ジン、明日って雨降らないよな?」


「雲を見る限り降ることはなさそうだがどうしたんだ?」


悲しい程の晴天、これで明日雨が降るっていうなら異常気象を疑う必要があるな。

しかし、この世界は基本的に魔力でエネルギーを補ってるから環境汚染は心配ないよな?

戦争も起こってないみたいだし異常気象が起きるとなると誰かが意図的に雨を降らせるということになる。

雨を降らせる魔法ってあるのか?

なにせファンタジーの世界だから俺がいた世界の常識は通用しない。

つまり明日雨が降る可能性は0じゃないはずだ!!

翌日



「まぁ、そんな都合のいい展開なんて待ってるわけないか・・・・」


天気は晴れ、もう悲しいくらい太陽がまぶしい。


「どうしたんだレン?

昨日から天気のことばかり気にしてるが。」


「海ってことは水着だろ?」


「ああ、そういうことか。」


そうなんだよ、水着なんだよ。

普段着は見慣れたから何とも思わないが水着だ。

水着になれば普段見れないところまで見えてしまう。

それがあの美少女の3人だ。

いや、フリュネにユーリアさんもいるから5人か。

あの2人は正直どうでもいいんだがあの3人が水着で迫ってきたら流石にまずい。


「ジン、悪いが俺は逃げる。」


「悪いがミナから逃げようとしたら引っ張って来いって言われてるんだ。」


なんだと・・・・・


「俺たちは親友だろ?

頼む見逃してくれ。」


「親友の頼みを聞いてやりたいのは山々なんだが妹の頼みは断れないんでな。」


まだシスコンは直ってなかったのか。


「まぁ、待て。

たまには男だけで遊ばないか?

ここ最近お互い忙しくて機会がなかっただろう?」


「レンからの誘いは嬉しいが俺もユーリアを待たせてるんでな。」


くっ、ジンは絶対に愛妻家になるな。

諦めてなるものか。


「ジン、ちょっと忘れ物をしたから取りに行ってもいいか?」


「俺もついてくぞ。」


それくらい予想済みだ。

外ならこの手は使えないが部屋の中なら別だ。


「悪いなジン。」


「っ、レン!!」


部屋の中なら煙が霧散せず留まる。

流石のジンでも目が使えなければ俺を捕えることはできないはず。


「無駄な抵抗は止めろレン。

出口は俺がいるんだぞ。」


それも対策済みだ。

ここは4階だが鎖をロープのように使えば降りれない高さじゃない。

久しぶりに武器創造の力を使った気がする。


「レン!!」


「ミナには後で俺が謝っておくから気にするな。」


あいつらの水着なんて見たら妹フィルターが壊れかねない。


「どうやって時間を潰すか。」


娯楽の街っていうくらいだから適当に見て回って退屈はしないだろ。


「それじゃあ行くか。」


「ほう、どこへ行くつもりじゃ?」


「そりゃ、海以外のどこ・・か・・に・・・」


気のせいか、後ろから今一番聞きたくない声が聞こえたんだが。

よし、ちょっと後ろを向いてみよう。


「・・・・・・はぁ、気のせいだったか。」


「残念じゃったな。

レンが逃げ出すことくらいお見通しじゃ。」


「っ!!」


いきなり目の前に!!

いちいち希望を持たせて落とすようなやりかたをしやがって!!


「フリュネ、俺はお前に貸しがあったはずだ。

だからここは見逃せ。」


「却下じゃ。

こんなおも・・・・フリッグたちが待っておるというのに同じ女として見過ごせぬ。」


わざとらしく言い直すな。

本音を隠すつもりなんてないくせに。


「ここで見逃せば補佐に付いてもいい。」


「それも却下じゃな。

妾はレンだけじゃなく他の者も部下に欲しいのじゃ。

この取引に応じてしまえば他の者が付いてこぬからの。」


ぐっ、何か逃げる方法は!!


「諦めよ。

妾から逃げられると思うておるのか?

例え視覚を潰されようが、聴覚を潰されようが妾は逃がさぬぞ。」


「はぁ、分かったよ。」


なんてな、更衣室は別々だ。

その隙に逃げてやる。

フリュネの最大補足範囲は確か5kmだったはず。

フリッグの強化が施されたこの体なら10分かからないはずだ。


「ふむ、分かればよいのじゃ。

ジンよ、次は逃がす出ないぞ。」


「まったく、手間をかけさせるな。」


・・・・・・終わった。


「頼む、ジン。

逃げさせてくれ。」


「諦めろ。」


来てしまった。

白い砂浜、青い海、雲ひとつない空。

俺だってこんな景色でこんな気分になりたくない。


「そもそも逃げたところでフリュネからは逃げられないだろう。」


くっ、あの我が儘姫めどこまでも俺の邪魔ばかりしやがって。


「それはレンが逃げるからじゃ。」


毎度毎度心を読んだような発言をし・・・・・


「どうじゃ?

妾も捨てたものではなかろう。」


いやいや、姫がそんな恰好していいのか?

確かに長い金髪にフリュネはスタイルが良いから黒い水着は似合うと思うが布面積少なすぎだろう。

大事なところしか隠せてない。


「一応信仰の街に住んで、おまけに姫ならもう少し控えろよ。」


「なんじゃその反応は?

男ならこういう露出度が高い物が好きじゃないのか?」


それは好みによるだろうが俺としてはあんまり好きではないし、なによりフリュネ相手に今更興奮しろなんて無理だ。


「ジン、待った?」


「いや、それより似合ってるぞ。」


ユーリアさんは紺色のビキニ。

穏やかな雰囲気にあって俺も似合ってると思うが早速いちゃいちゃし始めてる2人は放っておこう。


「む、本命のお出ましじゃぞ。」


ついにこの時が来たか・・・・・・


「どうお兄ちゃん、似合う?」


「ああ、似合ってるぞ。」


白のワンピースの水着。

年相応で、元の素材が良いから危うくロリコンに目覚めるとこだった。


「ふふっ、お兄ちゃんお腹すいたから血貰っていい?」


「こんな人の多いとこで駄目に決まってるだろ。」


「理由はそれだけ?」


本当にアリスに妙なことを教えた受付の人恨むぞ。


「それ以外になにかあるのか?」


「う~ん、例えばアリスに抱きつかられたらまずいとかかな。」


「そんなことないぞ。

そもそも、毎日血を吸う時に抱きつくくらいしてるだろう。」


実際はかなりやばい。

いくら露出が少ないとはいえいつもより薄着であることには変わりない。


「ふふっ、じゃあそういうことにしておいてあげる。」


・・・・・なんだか負けた気分だ。


「レ、レン・・・・」


次はミナか・・・

もう、俺の理性は結構やばいってのに。


「その、似合ってる?」


・・・・・・・・・・やばい。

この前のあれでも分かってたがミナは外見もだが中身も可愛すぎる。

赤のビキニパンツはもちろん似合ってる。

それに加え、恥ずかしそうに顔赤らめてそわそわしてる。


「ね、ねぇ、どうなの?」


「あ、ああ、似合ってるぞ。」


「あっ・・・・・・嬉しい。」


本当になんなんだこの生き物は!!

いつもの勝気で凛とした態度からこれは反則だろう。

やっぱりもう駄目だ。

ちょっと休憩を入れないと


「どこへ行くつもりじゃ?

まだ、フリッグが残っておるぞ。」


「待て。

今は本当にやばい。

ちょっと休憩を「レン!!」」


遅かったか・・・・・


「どうですか?」


・・・・・・・・・可愛い


「あ、あのレン?」


見惚れてるって分かってても目を逸らせない。

少し幼い顔立ちに肩くらいまである銀髪、それに合わせるような水色のビキニスカート。

露出は少ないがその分だけ清楚さを際立出せてる。


「本当にどうしたんですか?」


声が出ない。

顔が赤くなってる分かるくらい顔が熱い。


「そ、そんなにじっと見つめられると恥ずかしいんですけど・・・」


「わ、悪い。」


覚悟はしてたつもりだったが甘かった。

本気でこの3人はやばい。

フィルターなんて一発で壊れそうになる。


「それで、似合ってますか?」


「ああ、似合ってるよ。」


「本当ですか!!

やっぱり、フリュネは頼りになります。」


この・・・・


「そう睨むでない。

最初はフリッグの水着だけ見てやるつもりだったんじゃが偶然他の2人とも遭遇したのでな、ついでに選んでやったのじゃ。」


つまり、最初に現れたフリュネは後に出てくる3人の為の囮か。

フリュネの水着姿を見ても何とも思わなかったから警戒が緩ませられたか。


「くっくっ、レンも結局は男じゃのう。

皆、上着を羽織ってやるがよい。

そうでもせぬと直視も出来ぬようじゃからな。」


ぐっ、確かにこのまま見続けてると本気で惚れてしまいそうになる。

フリュネに助けてもらうというのは癪だが仕方ない。


「頼む。」


「くっくっ、これを見れただけでも来たかいがあったというものじゃ。」


こいつだけはいつか絶対に泣かせてやる。


「そろそろお昼にしましょうか。」


「そうね、いいお店があるみたいだからそこに行きましょうか。」


「悪い先に行っててくれ。

ちょっとトイレに行ってくる。」


ふぅ、上着を着てるとはいえ刺激が強すぎる。

少し落ち着いてから合流するか。


「・・・・・・止めてって言ってるでしょう!!」


ん?

あれはユーリアさんか?


「いいじゃん、俺らと遊ぼうよ。」


「だから、一緒に来てる人がいるって言ってるでしょう!!」


はぁ、ただの軟派か。

まぁ、ユーリアさんも相当な美人だから分からないわけじゃないがな。


「おい、お前等そこの人は俺の連れだ。」


「あっ、レンさん。」


「おいおい、適当なこと言って横取りしようとしてんじゃねえよ。」


両方とも名前で呼んでるってのに適当も何もないだろう。

そもそも俺が来なかったら今頃ジンに殺されてるぞ。


「はぁ、行きましょう。」


「勝手に行こうとしてんじゃねえよ!!」


本当にただのチンピラだな。

流石に半年も戦い続けてるとこの程度の連中に後れは取らない。


「ぐはっ!!」


「てめぇ、調子に乗ってんじゃねぞ!!」


相手にするのは面倒くさいがユーリアさんがいる以上逃げるわけにもいかないしな。


「おとなしくしろ!!」


この街の警備団か?

ようやく面倒事から解放されるな。


「全員、連行させてもらう。」


は?


「抵抗するなよ。」


「ちょっと待て、俺は絡まれたんだぞ!!」


「話は後で聞いてやる。

全員捕まえたな。

連行するぞ。」


はああぁあ!?


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