詐欺師
初レビューを書いてもらい作者のモチベーションが一気に上がりました。
頑張って2日に1回は更新したいと思います。
ワタナベヨウリョウ様、レビューありがとうございます。
「ここだ。」
まさか、犯罪組織の人に案内されることになるとは人生いろいろあるものだ。
「ところで、なぜここだと分かった?」
「怪しい男が入って行くのを見たそうだ。」
明らかに罠だろ・・・
まぁ、罠でもフリッグがいる限り意味なんてないし、情報を集める為に入ってみるか。
「2人とも、私の傍から離れないでくださいね。」
「ミナの近くにいれば大丈夫じゃないのか?」
むしろフリッグの近くにいたらフリッグの邪魔になるだろうし、ミナの近くならフルオートで障壁が展開するしな。
「そんなにミナの近くにいたいんですか?」
そいうことか・・・・
こんな時にまでそんなことを気にするなよ。
「フリッグ、頼むぞ。」
「はい!!」
まぁ、下手に突っ込もうものならヤンデレのスイッチを押してしまうかもしれないから口が裂けても余計なことは言わないがな。
「緊張感ないわねぇ。」
フリッグに罠なんて仕掛けても意味ないから警戒なんてしても無駄に精神をすり減らすだけ。
それなら、気を楽にしていざという時に備えていた方が効率的だ。
「それにしても罠らしきものがないな。」
「案外本当にここにあったりするんじゃない?」
そんなご都合主義な人生は送ってない。
そもそも見間違いって言う線もあるしな。
「どうやら、当たりみたいですよ。」
は?
「ようこそ。
なにもないところだけど歓迎するよ。」
まさか本当にいるとは・・・
「大人しく捕まる気にでもなったか?」
「なぜ、私が捕まえられなければならないんだい?
私は私の住処に無断で踏み込んできた愚か者たちを処罰していただけだというのに。」
確かに推測ではこいつが人を集めているということになってるが、所詮は推測だ。
偶然と言ってしまえばそれまでなんだが・・・・・
「それなら何故俺たちの時は逃げたんだ?」
「信じられないかもしれないけど、私は成功への未来が視えるんだ。
それがそこの彼女には勝てる未来が見えなくてね。
自己保身のために1度逃げたんだけど、どうやら君たちは話が分かるようだからこうやって改めて挨拶に出てきたという訳だよ。」
筋は通ってる。
だが、こいつこの言葉を鵜呑みににするにはあの噂が引っ掛かる。
それに『害をなす魔法の杖』と名乗った理由も分からないままだ。
「『妖精の導』っていう物を知ってるか?
この近くにあるっていう噂なんだが?」
「ああ、あれは私が持ってるものだよ。
どこから漏れたのかそれを求めて私の住処を荒らす愚か者が増えて困ってるんだ。」
「それを使うには大量の魔力が必要だと聞いたんだが?」
「それはあの男から聞いたのだろう?
犯罪者の言葉をそうそう信じていいものなのかい?」
やりにくい相手だな。
ここであの時の会話を聞いていたと言っても適当にかわされるだろう。
それとも、本当に俺の考えすぎなのか・・・・
「『害をなす魔法の杖』と名乗ったみたいだがそれはどういうことだ?」
「世界を滅ぼすため・・・・・とでも言うと思ったかい?
いくら成功への未来が見えると言っても私1人の力では世界なんて滅ぼせない。」
「その為の『妖精の導』じゃないのか?」
「どうやらどうしても私を世界を滅ぼす魔王にでもしたいようだね。」
『スルト』って組織名乗ってるんなら魔王も同然だろう。
「ふむ、どうやったら信じてもらえるのかな?」
「『妖精の導』を見せてくれたら信じてやってもいいぞ。」
「いいでしょう。
こっちですよ。」
やけにあっさり答えたな。
「レン、今ここで捕まえた方が早くない?」
「まだあいつが黒だとは決まっていない。
まんまと口車に乗せられてる感じだがな。」
この思考さえもあいつの作った未来の内なのか?
疑心暗鬼に囚われそうになるな。
『レン!! あの男が現れおったぞ!!』
「ちょっと待って、今俺たちの目の前に・・・・」
まさかこいつは偽物!?
「どうかしたんですか?」
もしこいつが本物なら・・・・
「あああああああ!! 腕がああぁ!!」
「ちょっとどうしたのレン!!」
「こいつは偽物だ。
どうやら俺たちは時間稼ぎのためにおびき寄せられたみたいだな。」
もしこいつが本物なら銃弾くらいなら簡単にかわせるはず、簡単に当たってことは偽物確定だな。
さっきまでの会話もあらかじめ仕込まれてたってことか。
こんな単純な手にひっかるなんてな。
「フリッグ、そいつの傷を塞いだらフリュネの所まで転移してくれ。」
「分かりました。」
まずいな、今この辺りには『ニーズヘッグ』の構成員がいる。
まんまと生贄を呼び出されたってことだ。
「行きますよ。」
間にあうか・・・・・
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「フリュネ、状況は!!」
「見ての通りじゃ、かなりの人数がやられておる。
妾達が駆け付けた時には既に逃げられておった。」
「フリッグ、奪われた魔力をたどれないか?」
あの男自身の魔力なら誤魔化されるかもしれないが奪われた魔力までは誤魔化しきれないはずだ。
「捕えました。
すぐに転移しますか?」
「ああ、フリュネはアビスの監視を続行してくれ。」
「うむ、そっちは頼むぞ。」
これもあいつが作った未来の上なのか?
それならば気付かれることは承知のはず。
気付かれてなお成功させる手段があるとでも?
今から転移するところには『妖精の導』があるだろう。
そこならたとえあの男が逃げようと『妖精の導』を破壊すれば俺たちの勝ちだ。
つまり、破壊させないつもりか、それとも他になにかあるのか・・・・
「行きます。」
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「やはり、来ましたか。」
この余裕、やはり何かこの状況をひっくり返すことができるジョーカーを持ってるのか?
「悪いがおしゃべりをするつもりはない。
問答無用だ破壊させてもらう。」
「君に人の願いを踏みにじることができるのかい?」
「っ!!」
「確かに君は守るべきものと秤にかければできるだろう。
だが、今の私は君たちに危害はまったく加えてもいなしこれからも加えるつもりはない。」
落ち着け、落ち着いて論理を展開させろ。
何故、俺の性格を知っている?
それすらもこいつの未来予知の力?
フリッグの時もそうだ。
まるで、フリッグが来ることを知っていたかのような罠だった。
こいつがやっていることは『妖精の導』を発動させる未来を視ることのはず。
それならば噂を広め人を集める手段が見えるはずなのに、その過程で発生した俺たちという問題にまで対応できてる。
「私は成功への未来が見えるが成功した後どうなるかまでは見えないんだ。
例え話をしよう、ある男とある女がいるとしよう。
私はその2人を結婚させる為の未来が見える。
だが、その後のことまで分からない。
私はその後を見たいんだよ。
自ら作った設定の上で紡がれる物語を読みたい。
私は作者であり読者だ。」
考えろ、何故俺たちが来ることを知ることができた?
「なら『妖精の導』を使ってどんな物語を作るつもりだ?
そもそも、『妖精の導』とはなんだ?」
こいつはフリッグと初めて対峙した時、勝てる未来が視えないと言った。
それはおかしい。
すでにフリッグに対する対策を立てておきながら何故その場で未来を視ようとする必要がある?
「『妖精の導』とは未来予知を行える者の為の演算装置。
さらに遠くの未来を確実に視通すことができ、さらに精密な未来を視ることができる。
それがあれば、多くの者が望みながら今もなお成すことができない世界平和を成すことができる。」
さらに言えば、この計画が始まるころは俺たちはまだこの世界にいなかった。
そんな無名の俺たちに対して対策を立ててる。
まるで、俺たちが来ることもフリッグの強さも知っているかのように。
「どうだろう、もしよければ君たちも協力してくれないか?
君たちと私が手を組めば世界平和も私1人で取り組むより、早く実現できる。」
「それもお前が作っている未来なのか?」
「騙されているように感じるだろうが、世界平和は誰にとってもいいものだろう?
私は世界平和を成した世界がどんな物語を紡ぐか見てみたい。
争いのない世界がどんな道をたどるかを。」
・・・・・知っていたかのように?
「フリッグ、1つ目の未来予知は視ただけで情報を読み取ることがでいるって言ってたよな?
それなら災害が来ることを予知なんてなぜ出来るんだ?」
「それは世界から情報を読み取ってるんです。
何故今そんなこと聞くんですか?」
なるほど、どういうことか。
「まったく、とんだ詐欺師だな。
危うく騙されるところだった。」