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勝率0%の勝負

流石に世界云々の話しになってくると沈黙が重い。


「どうするつもりじゃ、レン?」


「逆にこっちが聞きたい。

どうするんだ?」


フリッグの予想が正しければこの計画は確実に成功する。

いや、フリッグがこの辺りを一掃すれば計画も何もないと思うが。


「妾は奴を追うぞ。

妾は次期王じゃ、民の危機をこのまま放っておくことは出来ぬ。」


「個人でどうにかできると思ってるのか?」


いくらフリュネでもこればかりは無理だ。

望む未来を作ることができるあの男相手に勝とうとするなら勝てる方法がない状態に持ち込まなければ勝つことはできないし、その状況を作らせてくれるとも思えない。


「無理じゃろうな。

じゃが、レン、御主が協力してくれるというのならば話は別じゃ。」


「それは過大評価しすぎだ。

そもそも何の情報もなしに俺が役に立てる場はない。」


「ならば、情報さえあればどうにかできるということじゃな?」


「それでもあいつの未来予知がある限り俺たちに勝ち目はない。

フリッグがここら一帯を消滅させるというなら話は別だがな。」


それに、この噂は俺たちがこの世界に来る前から広め始めてたってことは、すでに完成間近という状況でもおかしくない。


「ふむ、ならば他の者はどうじゃ?」


「私はレンに任せるわ。

今回ばっかりは無理矢理引き込んでいい内容じゃないみたいだしね。」


「アリスはお兄ちゃんに従うよ。」


「私もですね。

レンがやれというのならばこの辺り一帯を滅ぼしこの世界から消し去ります。」


「どうするのじゃ、レン?

御主の一言で妾が1人でいくか全員で行くか決まるのじゃが?」


自分を人質ってか、本当に性質が悪いな。


「分かったよ。

その代わり貸し1つだからな。」


勝率0%の勝負か・・・・

部が悪いとかいうもんじゃないな。



「まずは『妖精の導』だが詳しいことはなにも分かってない。

だから、世界を滅ぼすってのも俺たちの推測だ。

先入観は視野を狭めるから、まず、それは忘れろ。」


正直、今あの男の目的なんてどうでもいい。


「次は俺たちの勝利条件だ。

俺たちがやることはあの男を捕まえることじゃなく、『妖精の導』の奪取、または破壊。

未来を作ることができるあの男を捕まえることはかなり難しいが『妖精の導』は別だ。」


「どうしてですか?

もし、あの男が持ち歩いてたり見つからないように未来を作っていたりしたらそれも難しいんじゃありませんか?」


「これは推測だが『妖精の導』は持ち運びはできない物だ。

持ち運びできるならわざわざ人を集めるなんてことはせず転々と移動しながら魔力を集めた方が遥かに効率的だしな。

後者だが、動かせない物を見つからないようにする未来なんて作れないはずだ。

動かせない物を見つからないようにするには物かその場所を隠蔽する必要がある。

だが、フリッグですら気付けないような巧妙な隠蔽を魔法でなんて人が出来る筈がない。

分からない場所にあったとしてもあの男が見つけてるということは俺たちにたどり着けない場所じゃないはずだ。」


あの男が出来ることは未来を作るということだ。

未来を作る過程でどうすれば成功するかが視えるんだろうが、それ以外ではどうすれば成功するかなんて視えるはずがない。

つまり、完全に見つからない方法がない限り未来は作れない。

俺の推測が正しければそんな方法はない。

あくまで推論だから間違ってたらそれまでなんだがな。


「ふむ、ならば早速『妖精の導』を探しに行くぞ。」


「まて、確かに見つかるとは言ったがそこに何もないはずがない。

見つからないようにすることはできなくても排除することはできる。

こういっちゃなんだがフリュネは規格外だが死なないわけじゃない。

のこのこ出向いたら殺されるのが落ちだ。」


「ならばどうするつもりじゃ?」


「それは今から考える。

とりあえず、こいつの処置を考えないとな。」


「そうじゃな。」


「私は即殺で。」


物騒すぎるぞ。

そこまで恨みがあるのか?


「妾はこのままアースガルドに連行して妾の株をあげる、じゃな。」


悪くはないんだが、もう少し言い方はないのか?


「私はフリュネよりですね。」


「アリスはミナお姉ちゃんの方かな。」


ふむ、2対2か・・・

俺もどちらかと言えばフリュネよりだが


「俺はこいつを利用するだな。

正確には『ニーズヘッグ』をだがな。」


この辺りにあるとは思うが、人出は多いに越したことはないしな。


「それを僕が認めるとでも?」


「認めざるを得ないだろ。

この状況を止められるのは俺たち以外いない。

ならお前は少しでも止められる可能性をあげる必要があるからな。」


それに、その人手を囮にあの男が手を出そうものならフリッグたちのセンサーに引っ掛かるしな。

さらに、幹部を連れてきてくれればフリュネに借りができる。


「君にはこっちの世界の才能があるよ。」


「そりゃ、どうも。

で、どうする?」


「協力させてもらうよ。

連絡を取るから少し待ってくれ。」


って、これじゃあ他の意見を集めた意味がないな。


「みんなはこれでいいか?」


「レンが決めたことに誰も文句は言わないわよ。

私たちじゃどうしようもなさそうだしね。」


期待するのは良いが正直勝てる気がしないぞ。

こっちには勝てる未来が作れない切り札とも言えるフリッグがいるからあの男さえ見つかれば勝てる可能性はあるが見つからないという未来を作られればこっちの位置が知られているような物だ。


「連絡が取れた、それでどこを探させればいい?」


「この町周辺すべてだ。

それらしい物が見つかったら近づかないように言っといてくれ。

死にたいなら別だがな。」


死なれた目覚めが悪いし、生け捕りの方が後々いろいろ聞き出せるしな。


「探させてる間はどうするんですか?」


「アリスとフリュネはここでこいつの見張り、俺とミナとフリッグは『妖精の導』を探そうと思う。」


手傷を負ってるはいえ油断できる相手じゃないしこの2人は置いておきたい。

フリッグにはいつでも動ける状態じゃないと困るしミナじゃ太刀打ちできないかもしれないからな。


「ふむ、良い成果を期待しておるぞ。」


「いってらっしゃい。」

そういえば何か妙だな。


「どうかしたんですか?」


「いや、このまま探して『妖精の導』が見つかるとしたら後はフリッグが出ればあの男でもどうしようもないだろう?」


「まぁ、流石に神には勝てないわよねぇ。」


そこが妙なんだよな。

成功する未来を作った上で行動しているはずのあの男が失敗するはずがないのに、見つかれば失敗する。

だが、見つからないという未来は作れないはずだ。

つまり俺の推測はどこかで間違ってるってことか?


「私たちは本来この世界に存在しませんから突然現れたいレギュラーだからってことじゃないんですか?」


「それにしてはフリッグから逃げてみせただろう?

あれはフリッグが来ることを計画の一部に入れておかない限りあんな仕掛けは打ってないはずだ。」


何か大きな思い違いをしてるのか?

こういうところは抑えておかないと後々効いてくるんだよなぁ。


「なんにせよ私がいる限りどんな仕掛けを打っても問題ありませんよ。」


頼もしい限りなんだが相手も一筋縄ではいかない。

俺たちのこの行動さえもあいつの作った未来かも知れないんだ。


『レン、どうやら見つかったようじゃ。』



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