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『害をなす魔法の杖』

「それじゃあ行きましょうか。」


翌日、一泊し『妖精の導』があると言われている洞窟へ向かうことになったんだが


「言うほど魔物が強くないよな?」


「ええ、私とレンでも倒せるくらいだもの。」


いくら古代魔法が使えるといっても人外一歩手前のミナや素人に毛が生えたくらいの俺で十分に対処できる。

これならアルフヘイム周辺の魔物の方が圧倒的に強い。

一流の冒険者ならこの程度で帰れなくなるようなことがあるはずがない。

もうデマは確定だな。


「あれが言ってた洞窟みたいね。」


「ふむ、噂がデマだと分かった以上、レンとミナは出来るだけ前に出ぬようにせよ。

前は妾とアリス、後ろはフリッグという形で進むぞ。」


さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・・・


「どうやらここに誰か来たってのは間違いないな。」


分岐点に目印のようなものが複数付けてある。

帰り道に迷わないようにここに来たやつが付けたんだろう。


「そうなると魔物が『妖精の導』を守ってるってのは本当なのか?」


「結局確かめてみないことには分からないわね。」


好奇心は猫を殺すって言葉を知らないのか?

いくら、人外の規格外が三人いるとはいえ絶対ってことはないんだぞ。


「何か聞こえない?」


「これは戦闘音のようですね。」


先客がいたみたいだな。

だがこれは好都合だ


「案内してくれ、噂の真意を確かめる絶好の機会だ。」

「あそこのようです。」


両方とも人だな。


「ねぇ、あれって・・・・・」


「ああ、あれは確かアビスって奴だな。」


『ニーズヘッグ』の幹部まで出払ってくるってことは並大抵のことじゃない。

それに、その幹部が押されているってのも問題だ。

実際の実力は見たことないが半端な実力では幹部にはなれないはず。


「どうするのじゃ?

妾としては生け捕りしたいところなのじゃが。」


「そんな事情は知らん。

今はできるだけ情報を集めるのが先決だ。

流石にやばくなったら助けに入ってもいいがもう少し様子を見よう。」


ついでに『ニーズヘッグ』の幹部を捕えたってことフリュネが公表すれば株も上がるし、他の王位継承権を持ってる奴も焦って手柄を立てようとするはず。

そうなれば、なおさら犯罪組織は表立って動きにくくなるしな。


side アビス


「まさか、ここまでやるとはね。」


「たった1人で来るとは迂闊だったね。」


良く言う。

大勢で来たらそっちの思うつぼだろうに。


「どうやら噂を本当のようだ。

一旦引かせてもらうよ。」


「させると思うかい?」


「出来ないと思う?」


実際の所かなり厳しい。

どんな手段を使ってるか知らないけどこっちの動きを読んだような動きをしてくる。

でも、このことを伝えなければ世界が危うい。


「君ほどの魔力の持ち主ならそこらの冒険者の10人分以上にはなる。

私の目的のため大人しくしてもらうよ。」


万事休すか・・・・


side out


「この辺が潮時だな。

フリッグはあの男を仕留めてくれ。

フリュネとアリスでアビスを拘束、俺とミナは念のため出口を固めておく。」


いくら強くてもフリッグ相手に勝てる奴はいないだろう。


「行くぞ。」


side フリッグ


「これは可愛らしいお嬢さんだ。

君も『妖精の導』を探しに来たのかい?」


「ええ、なのでおとなしく捕まってください。」


「残念だがこんなところでは捕まるわけにはいかないのでね。

君に勝てる方法は今のところないようだ。

ここは逃げさせてもらうよ。」


「逃がすと思いますか?」


例え世界の反対側にいても逃がしませんよ。


「いいのかい?

君が本気を出せば世界は沈むが。」


「あなたはいったい何者ですか?」


私が神だと知っているのはレンたち以外を除けば誰もいないはずですが・・・・


「そうだな、『害をなす魔法の杖』とでも名乗っておこう。」


「・・・・・どうやら思っている以上に危険な人のようですね。」


「それほどでもないよ。

それよりも連れの2人はいいのかい?」


っ!!


「レン!! ミナ!!」


「ふふっ、ではまた縁があれば会おう。」


くっ、姿を消したくらいで私から逃げられるとでも思ってるんですか!!


「これは・・・・・」


同じ気配が複数ある。

最初から逃げる準備はできていたということですか・・・・・


side out


「レン、大丈夫?」


「ああ、助かった。」


いきなり洞窟が崩れてきやがった。

別に死にはしないんだが痛いのは嫌だからな。

ミナにはフリッグの障壁が発動するから近くに行けば守ってもらえるから、それで事なきを得た。

まぁ、男がすることじゃないな。


「レン、ミナ、大丈夫ですか?」


「ああ、その様子だと逃がしたみたいだな。」


「すみません、取り乱した一瞬の間に逃げられました。」


まさかフリッグから逃げられる奴がいるなんてな。


「レン、こっちは拘束で来ておるぞ。」


「やぁ、また会ったね。」


「俺は会いたくなかったけどな。」


まったく、俺は本当に厄介事に縁があるようだ。

まさか、『ニーズヘッグ』の幹部と2度も会うことになるとは。


「とりあえず落ち着け、ミナ。」


殺されかけた奴を目の前にして冷静でいられる方が凄いと思うがこいつからは聞かなきゃいけないことがある。


「・・・・・分かってる。」


「さて、どうしてここにいる?」


「見ての通りだよ。

さっきの男の目的を確認及び阻止しようとしたら逆に捕まりそうになった。」


随分とあっさり答えるな。

何か裏があるのか?


「君たちは『妖精の導』を探しに来たのかい?」


「一応な、まぁ、さっきの場面を見たらそんな物ないと思うがな。」


「いや、『妖精の導』は存在する。

もっとも、噂で出回ってるような物じゃないけどね。」


「やけに、素直にしゃべってくれるがどういうつもりだ?」


「はっきり言って、今回の件は僕一人じゃ無理だ。

かと言って中途半端な構成員を連れたところで彼の思うつぼ、そこで君たちが倒してくれれば僕たちも助かるからさ。」


辻褄は合うがこいつは正真正銘の悪党だ。

平気で人を騙すし殺せる。

そんな奴の言葉をすべて鵜呑みにするわけにはいかない。


「お前が知っている『妖精の導』ってのはなんだ?」


「詳しくは分からない。

だが、裏の世界でここ数年で急激に力を増している『スルト』という組織がこの町で何かをやろうとしていると噂になっているんだ。

だけど、『スルト』の幹部を捕まえても何も知っていないからただの噂かと思っていたんだけどどうやら違うようだ。」


予想はしていたがやっぱり裏の組織が絡んでいたか。

そして、あいつが言っていた言葉を考慮に入れるとこの町に人を集めている理由は


「おそらく『妖精の導』は大量の魔力を集めて起動することができる何かだと思う。

その生贄の為に表にも裏にも噂をばらまいている。」


もう考えるのも嫌になるようなことを言ってくれる。


「レン、さっきの男は自分のことを『害をなす魔法の杖』と名乗りました。

その名称は魔剣レヴァンティンの別名です。」


おいおい、確かレヴァンティンって


「レヴァンティンはかつてすべての世界を滅ぼした究極の魔剣です。

さらに、あの男、もしかしたら2つ目の未来予知の持ち主かもしれません。

そうなるとあの男の目的は・・・・・」


ああ、聞きたくないがもう俺の中でだいたいの予想がついてしまってる。


「世界を滅ぼすことかもしれません。」


ついに世界規模になったか・・・・・


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