表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/127

フリュネの依頼

「レン、父上より召集が掛かっておる。

妾と共にアースガルドに向かうぞ。」


「帰、消え失せろ。」


「なぜ言い直したのじゃ?

しかも言いなおした後の方が酷くなっておるのじゃが。」


「気のせいだ。」


「まぁ、そう言うと思っておったから少々強引に運ばせてもらおう。」


「なにを・・・・」


「さて、行くとするかの。」

「ここは・・・・」


「ようやく気付いたようじゃの。」


おもいだしたきた・・・・・・

ようやく、二ヴルヘイムから帰ってきたかと思えばこの我が儘姫がついに頭がおかしくなったのかアースガルドに行くとか言い出しやがって、その後は・・・・・・


「いろいろと言いたいことがあるがとりあえず一つ聞きたい。

ここはどこだ?」


「アースガルドにある城の妾の部屋じゃ。」


俺が何かしたか?

ようやく一安心できると思ったら無理矢理眠らされて、起きたかと思えば城の中。

しかも、それを許されているということはフリッグたちは買収済みということだ。

俺の安息はどこだ?


「そう落ち込むでない。

今回はおそらくそんなに面倒にはならないはずじゃ。」


それなら、おそらくなんて言葉をつけるな。


「最初に言っておく。

俺は協力しない。」


拉致されて俺が従う訳ないだろう。


「そういうじゃろうと思っておったが、とりあえず話を聞いてからにせよ。」


「却下だ。」


聞いたら戻れなくなりそうだから、俺は帰る。


「ちなみに、そこの扉は妾が封印しておる。

妾が許可しない限り帰ることは出来ぬぞ。」


もう何を言っても無駄だろう。

人間諦めは肝心だ。


「ようやく諦めたようじゃの。

さて、ここに連れてきた用件とは年に数回、王位継承権を持つ者が集まる集会があるのじゃ。

その場では何をしてきたかを自慢しあうわけじゃが正直今回は特に何もなくて困っておっての、そこで、レンを含めた有能な人材を部下にしたと言えば妾の株も上がると思うたのじゃ。」


「事情は分かったが俺は前にフリュネの下に付く気はないと言ったはずだが。」


「それは分かっておる。

今回はふりだけで十分じゃ。」


信用できない。

連れていかれてそのまま本当の部下にさせられそうだ。

悪い奴ってわけじゃないが良い奴ってわけでもないからな。


「レンにとっても悪い話ではないはずじゃ。

この件を断れば流石に妾もアースガルドに戻る必要が出てくるが、受ければ王位継承権第一位の妾とのコネが続くのじゃからな。」


確かに何をするにしてもフリュネの立場は役に立つが、フリュネが帰ってくれるというのも捨てがたい。


「もう1ついいことを教えてやろうかの。

今もなお、グレイはフリッグを諦めておらぬ。

流石に表だって動いてるわけではないが裏で情報を集めておるようでの、妾としてもそれは避けたいものじゃから情報操作や妨害をしていたのじゃが断るというなら、それもどうなるか分からぬの。」


こいつは何枚切り札を持ってるんだ。

少なくとこれで終わりという訳じゃないな。

出来ればもう少し切らせたいところだが何もしなければこれ以上は切ってこないだろう。


「確かにいい話だが、俺が生きて行く上でコネなんて必要ないしあの馬鹿王子が来たところでまた返り討ちにすればいいだけだろう?

それに今度は言い訳が聞かないような状況に貶める。」


あの単純な馬鹿王子だ。

こっちが煽ってやればそんな状況を作ることも難しくない。

それに、神の力で強化されていない馬鹿王子なんてアリスどころか今のミナでも勝てる。


「ふむ、ならばフリッグの正体を公表すると言ったらどうするつもりじゃ。」


「それは無いな。

理由はフリュネが一番知ってるはずだろう?」


「気付いておったか。」


二ヴルヘイムでもだが所々でフリッグを推していたからな。

フリッグにそこまでする理由といったら信仰の街の姫という理由しかない。


「やはり、一筋縄ではいかぬようじゃな。

仕方あるまい、もう一枚切るしかないようじゃの。」


「切らなくていいから帰らせてくれ。」


ここで切ってくるってことは今の俺ではどうしようもないものだろう。


「先程、グレイがフリッグのことを探していると言ったのじゃが、それはなにもグレイだけではない。

あの騒動の後すぐに箝口令が敷かれたのじゃが人の口に戸は立てられぬ。

知ろうとすれば知る方法などいくつもある。

じゃが、父上が箝口令を出し、グレイの件は表向きなかったことになり表だって証言できるもがおらぬ。

その場にいた者たちは王である父上の決定に逆らうようなことはせぬ。

だからこそ、父上の手が届いていないレンたちを手に入れようとしている者も少なくないのじゃ。」


確かに一応は口封じをされたが俺たちはしゃべってもなんの罪に咎められることもないし職を追われることもない。

それに俺たちがいればあの馬鹿王子はすぐにでも蹴落とせるからな。

あれでも王の直系だからそれなりに順位も上の方なんだろう。


「故に、妾の下に付いておけばそうそう手を出される心配もない。

グレイのように単純な者ばかりではない。

中には、王になる為にどんな手を使おうとする者もおる。

それを、1人1人対処していくのは面倒じゃろう。」


流石にこれは無理だな。

別に国を敵に回したところでフリッグがいる限り負けはないが平穏な生活は望めないものになるだろう。


「最後に一つ聞かせろ。

なぜ、最初に俺を拉致した?

最初の条件をフリッグにでも持ちかけたらもう少しスムーズに事が運んでいたはずだ。」


そもそも有能な部下を示すつもりなら、フリッグの力を目の前で見せつけた方が効果的だ。

あの馬鹿王子のこともフリッグなら認証をぼかして別人に思わせるくらい簡単にできる。


「妾に友との約束を破れと?」


あんな口約束をこんな重要な場面でも守ろうとするなんて、変なところで律儀な奴だ。


「分かった、その話受けてやるよ。

だが、もう拉致なんてするなよ。」


「それは分からぬな。

そもそも、こうでもせぬと話しすら聞かぬじゃろう。」


まぁ、そうだな。

向こうなら閉じ込められてもフリッグかアリスが助けてるくれるだろうしな。


「本題だが、結局俺は何するんだ?」


「レンは実際に何もする必要はない。

すぐに力を示せと言われて示せるものではないからの。」


俺に派手なことを求められても無理だしな。

それなら、あの3人の中から1人くらい連れて来るべきか。


「ちなみに誰かほかに連れてきたりするのか?」


「全員来ておるぞ。」


何かいろいろな感情が浮き上がっては沈んでくる。


「それならアリスも連れて行こう。

フリッグは念のため連れて行くわけにもいかないし、アリスの力を見せてこれ以上と言っておけば十分だろう。

ミナはニーズヘッグのことを言えば実績は示せる。

それに、真祖の吸血鬼を従えたとなれば評価も良いものになるだろう?」


俺はアリスの従者ってことでいいだろう。

俺が血の提供者と知れば血を吸われるという危険性を指摘されるのも完全とは言えないが避けることが出来る。

それに指摘されたらなされたで反撃も出来るしな。


「ふむ、ならばそうしよう。

集会は明日になっておる。

他の者は客室に案内させておるから説明しに行くとしよう。」


「一度引き受けたからにはきっちりやってやる。

フリュネの価値を高め、敵に回すとどれほど厄介かを示す。」


そうなれば、結果的に俺たちにもちょっかいを出そうとはしないだろう。

友達とは言っても今は雇用者と労働者の関係だ。

お互いに利用しあうとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ