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二ヴルヘイム その① デート

喜ぶべきなのか嘆くべきなのか何事もなくニブルヘイムについてしまった。

なぜ、相対する二つの感情があるかというと何事もなく無事に着いた喜びと、何事もなく二ヴルヘイムに着いてしまいフリッグとのデートが避けられないものとなってしまったことに対する悲観だ。

昨日の夜はどうにかデートを避けられないものか考えていたが結局何も浮かばずデート当日を迎えてしまった。

ここまで、来て欲しくないと思ったことなんて過去にないくらいだ。

それほどまでにフリッグの病みっぷりは洒落にならない。


「待ったか?」


「今来たところですよ。」


デートといえばというやりとり。

同じ宿に泊まっているのに待ち合わせなんてする必要ないが


「デートと言えば待ち合わせです。

そう言う訳で、街の広場で会いましょう。」


ということで待ち合わせることになったわけだ。


「それじゃあ行きましょうか。」


「っ!!」


前に言ってやがったが本気で腕を絡めてくるとは!!

確かにこいつのヤンデレは厄介だが、こいつが美少女ということも厄介だ。

しかも、こいつはかなりスタイルが良い。

こう密着されると胸が腕に当たる。

だが、それを指摘すると主導権を渡してしまうようなものだ。

だから、何事もないように振り舞わなければならないのだが俺も男だ。

美少女にこんなことをされては嫌でも意識させられる。

耐えてくれよ俺の理性・・・・


side フリッグ


効果は上々のようですね。

このことを教えてくれたフリュネには感謝です。

レンが顔を赤くしているところなんて初めて見たような気がします。

これはいけるかもしれません。

ついにレンと・・・・・・・・

もっとくっつきましょう。


「っ!!」


ふふっ、動揺してます。

いつも私が翻弄されっぱなしですからたまにはこういうのも悪くありませんね。

それにしても、やっぱり指摘してくれませんか。

言ってくれればそこから攻められるのですが流石はレン。

この程度の駆け引きなんて通用しませんね。


「それで、どこに行くんだ?」


「美術館といってもそれぞれの分野で複数あるようですから、最初は絵画を見に行きましょう。」


おっと、動揺しているレンを見ているのも楽しいですがせっかくのデートですし私も楽しまなければ。



side out


どうやら、美術館の方に関心が行ったようだな。

あのまま攻められてたら少しやばかったかもしれない。

俺は百年以上生きるつもりはない。

だから、誰の想いにも応えるつもりはないし応えちゃいけない。

俺は残す方だからいいが残されるものの痛みはつらいものだ。

それにフリッグに応えてしまったらそれこそ永遠にフリッグだけを見るくらいの覚悟が必要だ。

だから、絶対に手を出してはいけない。

よし、理論武装完了。

これで多少のことでは揺らがないだろう。


「レン、着きましたよ。」


流石芸術の街、でかいな。

こんなものが複数あるのか。


「早速見て回りましょう。」


「分かったから引っ張るな。」


本当に子供みたいなやつだな。


side フリッグ


ああ、いいですね。

どれもこれも素晴らしいものばかりです。

絵を見るだけで圧倒されるようなものを感じます。

これが人の芸術、一つのことに対して短い一生でここまで極めることができる人は本当に感心します。

一枚一枚にそれぞれの生きざまが描かれ、表現の仕方はこれまで積み上げられてきた人の歴史が感じられどれだけ見ていても飽きません。

いっそのことニヴルヘイムに引っ越したいくらいです。

でも、アリスが寒いところは苦手なので無理ですね。

どこか人のこないところに座標指定の目印をしておくとしましょう。

そうすればすぐに来れますしね。

そうなると家の方にも必要になりますね。

いえ、こうなればすべての街に目印をつけておけば一瞬でいけるようになりますから今度から行くところには付けるようにしましょう。


side out


本当に好きなんだな。

腕は離さないが真剣な表情で一枚一枚見て回ってる。

まぁ、確かに素人目でも凄いと分かるような絵ばかりだ。

俺も見ていて楽しいと思える。


「はぁ、いいものばかりでした。」


「もういいのか?」


「他の所にも行きたいですし、そろそろお昼ですから。」


また、ヴァナヘイムの悪夢が繰り返されるのか?

いや、ここはあの街じゃないから観衆の前ってことはないだろう。

だが、念のためやられたらおとなしく食べるとしよう。


「それでは行きましょうか。

美味しいと評判のお店があるそうですのでそこに行きましょう。」


「あ~ん。」


やっぱりこうなるのか。

心構えをしていても恥ずかしい。


「美味しいですか?」


「ああ、確かに美味い。」


「それは良かったです。

レンも食べさせてください。」


まぁ、今回は大衆の前じゃないし周りにもしてる奴がいるからかなりましだな。


「ほら。」


「美味しいです。

もう、周りから見たら私たちは恋人同士ですよね。

私はレンさえよければいつでも大歓迎ですよ。」


束縛されて喜ぶようなMじゃなければいくら美少女とはいえいやがるに決まってるだろう。


「俺にその気はない。

ずっと言ってるだろう?」


「相変わらず強情ですね。

レンが応えてくれれば、そ、その溜まってるものも私がしてあげるんですよ・・・・・」


恥ずかしいなら言わなければいいのに。


「馬鹿なこといてないで食ったら次に行くぞ。」


「女の子にここまで言わせて手を出さないなんて男としてどうなんですか?」


うるさい。

そんな、ハイリスク、ローリターンの行為をする奴なんてどこにいる。

いるとしたら後先考えてない馬鹿だ。


「女の子って年じゃないだろ。」


「だから私は最古参の神と比べると千分の一も生きてません!!

人に換算すると生れたばかりの赤ちゃんのようなものです。」


だから神と人を比べようとするな。


「それならなおのこと、赤ちゃんに手を出す程落ちぶれてない。」


「ああ言えば、こう言う人ですね。

そんな人は嫌われちゃいますよ。」


「フリッグにしか言わないから大丈夫だ。」


「それは私が特別ということですか!!」


お前も意味を歪曲して取るだろうが


「馬鹿なこと言ってないで次行くぞ。」


「つれないですね。

まぁ、いいです。

いつか、レンに貰ってもらいますからね。」


そんな日が来ないことを祈る。


side フリッグ


絵画の次は剣や装飾品など過去の王様や騎士たちが所有していたものです。

人の武器は私たち神が作るものと比べると圧倒的に格が落ちますがこれは仕方ないことでしょうが見栄えは人の武器の方が美しいです。

この外見をベースにして私が鍛え上げれば質も見栄えも最高の物ができますね。

ちょっと考えておきましょう。

見て回ると、中にはどう見ても武器として使いづらい物もありますが見栄えのある物だと偉い人だと分かりますからその為というのもあるんでしょう。

装飾品は本当に美しいものばかりで本当に複製してしまおうと思ってしまいます。

それに私がいろいろ手を加えれば最高の神器になります。

あんまり目立ちたくないレンですから派手なことはできないんですけど家の中だけなら問題ないですよね?

時間があったら1人でちょっと来ましょう。


「もうこんな時間か。」


氷の街というだけあって日が沈む時間はアルフヘイムよりかなり早いですね。

それに楽しい時間は本当に早く過ぎてしまいます。


「それじゃあ最後に行きたいところがありますからそこに行きましょう。」


大好きです、愛してますよレン。


side out


やっぱり最後はこういうところか


「綺麗ですね。」


確かに街の淡い光と月明かりに照らされた風景は綺麗だ。


「レン、好きです。

レンの心を私にください。」


「残念だが無理だ。」


そう言えばこういう直接的な言い方は久しぶりだな。


「はっきり言われるとやっぱりつらいですね。」


「いつものことだろう?」


「失礼ですね。

私はレンに告白するたびに緊張で胸が痛いくらいなんですよ。」


確かに、押しつけられてる胸から分かる。

だが、それでも受けいられない。


「レン、抱きしめてくれませんか。」


「変な勘違いはするなよ。」


「暖かいです。」


ああ、これはやばいかもしれない。

フリッグもだが俺も心臓が高鳴ってる。


「レン、私の心臓の音聞こえてますか?」


「ああ。」


やばい、フリッグが滅茶苦茶可愛く見えてしまう。

なんでこんな時に限ってしおらしいんだよ。


「好きです。

あらゆる世界の中で誰よりも愛してます。」


「俺はそこまでフリッグを想えない。」


「今はいいんです。

いつかそうなってもらいますから。

今はこうやって抱きしめてもらえればいいんです。」


いつもみたいに俺の意思を無視するぐらいに迫ってこいよ。

その方が流しやすいってのにこうしおらしいといろいろやばいくなってしまう。

いくら病んでいるとはいえフリッグは俺が見た中で最高レベルの美少女で、こんなにもはっきりと好きといわれて揺らがない男なんていない。


「レン、キスしてくれませんか?

これは私の我が儘でキスしてもレンが応えてくれたとは思いませんから。」


俺の目の前にいる美少女は誰だ?

フリッグってこんなに可愛い奴だったか?


「勘違いするなよ。

これは日ごろの感謝の気持ちだからな。」


「はい、んっ。」


顔が熱い。

俺の心臓の音もフリッグに伝わってるな。


「幸せです。」


どうするんだこの空気。

もう最後まで行くのか?

もう行ってしまってもいいとすら思えてしまう。


「レン・・・・」


「フリッグ・・・・・」


「号外だ!!」


「っ!!」


さっき俺は何をしようとした?

自分からキスを?


「怪盗、ダークハートの新しい予告状が出されたぞ!!」


あのまま流されてたらフリッグを抱いていたかもしれない。

やっぱり、こいつは危険だ。

たった、数カ月でここまで俺の心に入り込んでいる。

このままじゃ、本当に奪われかねない。


「帰りましょうか。」


「ああ。」



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