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嵐の前の静さ?

「みんな準備はいい?」


なんだかんだで1週間後、出発当日となった。

移動法はもちろん、ミナ自家製の魔力エンジン自動車。

さらに、フリッグの結界を張っているから魔物なんかも寄ってこない。


「それじゃあ行くわよ。」


無駄だと分かってはいるんだが何事もありませんように。



とりあえず何事もなく中間地点である街に到着。

そもそも車で走っていてフリッグの結界が張られている時になにも起こるはずない。

起きるとしたら隕石でも落ちてくるくらいだろうがこのメンバーで隕石が落ちてこようと問題はない。


「それじゃあ、おやすみなさい。」


「ああ、おやすみ。」


いつもなら中間地点で何か起こるんだが、今回は何も起きてない。

ヴァナヘイムではミナが仕掛けてきたし、アースガルドでは馬鹿王子と遭遇した。

結果的に、それぞれと深く関わることになったから今回も同じようなことが起きると思ってたんだが何も起きてない。

なにもないことは本当にいいことで助かるんだが嵐の前の静けさと勘繰ってしまう。

となると、起きるのは二ヴルヘイムか。

しかし、芸術の街で何が起きる?

少なくとも、アースガルドのような派手な問題にはならないはずだ。

それに、街の長が出てこようとフリュネがいる限りどうとでも出来る。

ニーズヘッグが総出したところで神に人として最強と呼べる2人がいる。

はぁ、なにもない方が逆に不安って厄介事に慣れ過ぎてるな。

とりあえず寝るか。


「結局昨日は何もなかったわね。」


翌日、朝食を取った後出発。


「つまらぬな。

これでは何のために妾がついてきたか分からぬ。」


「帰れ。」


せめて、二ヴルヘイムの視察くらいの建前くらい言え。


「私としては平和にデートができそうで嬉しいですけど。」


これが今回の厄介事なんじゃないか?

それに、平和と言っているが少なくとも俺に対しての平和ではないだろう。


「ちなみにデートはいつするんだ?」


「明日です。

出来れば滞在中は毎日したいところですけどミナとアリスが駄目というので仕方ないので初日だけで我慢します。」


良くやったと、ミナとアリスに言ってやりたい。

3日もびくびくしながら過ごさないといけないなんて拷問に近い。


「その分、明日は楽しむつもりですからよろしくお願いします。」


これを断れないから駄目なんだよな。

こいつが明日をどれほど楽しみにしてたかは嫌でも知らされる。

だから、俺も楽しませやりたいのは山々なんだがやりすぎるとバットエンドってのが難しい。

本当に厄介だ。


「手加減はしてくれ。

俺はデートなんて経験はないんだから期待されても困る。」


ヴァナヘイムのあれはノーカウントだろう。

そういえばフリュネとは2人で街を案内して事があったな。

そう思えばあれが初デート?

フリュネが初デートなんていろいろ嫌過ぎる。

だから、あれもノーカウントだな。


「なにやら不快なことを言われ気がするのじゃが。」


「気のせいだ。」


時々こいつは人の心を呼んでいるんじゃないかと疑問に思う。


「大丈夫です。

デートプランは全部私に任せてください。

もちろん、レンが行きたいところがあったらその度に変更しますけど。」


男として何か駄目な気がするがこの際気にしないようにしよう。


「今回は日ごろの感謝も含めてるんだからフリッグが行きたいところでいいよ。

俺が行きたいところって言ってもなにも調べないから分からないしな。」


日ごろの感謝もあるが半分はいつもギリギリのラインで保ってる我慢させてるものを発散させる為というのもあるがな。


「レンが私のことを気遣ってくれるなんて!!

ついに、私の思いに応えてくれるんですか!?」


そんなわけないだろうが。

だから、ミナとアリスよ睨まないでくれ。


「この際だからはっきり言っとくわね。

私はレンを誰にも渡すつもりはないわよ。

例え、それがフリッグでもね。」


渡すも何も俺は誰の物にもなった覚えはないし、フリッグを挑発しないでくれ。


「それはこちらのセリフです。

レンは絶対に渡しません。

誰が何と言おうと私はレンを手に入れます。」


スイッチが入ってない状況でこんなことを言うとは少なくともミナをライバルと認めているってことか。

それでも、こいつに言われると悪寒がする。


「ちなみにアリスも負けないから忘れないでね。」


アリスはこういうところまでしっかりとしてるな。

2人が火花を散らしてる時にアピールしてくるとは・・・・・


「なぁ、アリス、妹としてじゃ駄目なのか?」


「駄目。

アリスだって女の子だから好きな人には一番に愛してもらいたいんだよ。」


今のところ一番愛していると言えばアリスなんだが家族愛としてはやっぱり駄目なのか。

そりゃ、恋人として愛されるってのは特別だと思うがどうなったとしてもアリスは愛してると言える気がする。


「でも、俺は百年後には何もしなくても寿命で死ぬぞ。」


アリスがずっと一緒にいたいと言ってるが俺は人間だ。

限定的な不老不死じゃアリスの願いはかなえられない。

フリッグなら、限定的を永久的に変えられるだろうがアリスを選んだ俺にそこまでしてくれか分からないしな。


「それは大丈夫だよ。

お兄ちゃんにはアリスの眷族になってもらうから。」


「それは俺も血を吸わないと生きていけなくなるってことか?」


それは無理だ。

俺が変わったとしても誰かを傷つけてもで生きたいとは思えない。


「それも大丈夫だよ。

眷族には2種類あってね、片方はお兄ちゃんが言ってた通り吸血鬼になるんだけど、もう一つは吸血鬼が生きていくため血を吸うだけ為だけの人形になるものがあるんだ。

本来は人形には意思なんて与えないのが普通なんだけどそんなことはしないから安心していいよ。」


それなら今の状況とほとんど変わりはないな。

確かにそれなら永久的に生きることはできるだろう。


「だから、そのことを気にしてるなら気にせずアリスを選んでね。」


「その時が来たらな。」


これだけ言われてら流石に自殺は出来てもしないと思うがやっぱり死にたいという願望はある。

アリスには悪いが百年後には別れることになるだろう。


「それにしても本当に油断ならないわね。」


「アリス、私とレンの娘になりませんか?

そうすれば、レンとずっと一緒にいれますよ?」


こいつらは俺の意思をなんだと思ってやがる。

口に出したところで意味がないだろうから言わないけどな。


「相変わらずじゃな。

これだからレンの周りは飽きぬ。」


そしてこいつは所々で引っ掛かることを言いやがって。

俺を挑発でもしてるのか?

まぁ、フリュネが俺を恋愛対象として見ていないってことが分かるからまだ許せる。

フリュネまで加わったらもう抑えられる気がしない。


「このまま争っていても不毛なだけだからここらで止めましょう。」


「そうですね。

結局、レンが決めることですし私たちが言い争っても無駄ですね。」


「うぅ、お腹すいた。

お兄ちゃん、血、貰うね。」


もう毎日のことだから、正面から抱きついてきても誰も何も言わないようになってる。

血を飲んでる時のアリスは何もしないって分かってるしな。


「そういえばもういい時間だしご飯にしましょうか。」


そんなわけで昼休憩となったわけだが


「なんだあれは・・・・・」


馬鹿みたいにでかい牛のような魔物が俺たちを見下ろしてる。


「あれはベヒモスじゃな。

この辺りが生息地と聞いておったが滅多に見ることができない魔物じゃぞ。」


それはいいものを見たと言いたいが明らかに敵意を向けてないか?


「フリッグ、結界はどうした?」


「あの結界は敵意のあるものだけを排除するものなんですけど一度中に入ってしまうと効果がないんです。

恐らく寝てたのでこちらに敵意が向いてなかったんじゃないでしょうか。」


なるほど。

それじゃあ、偶然昼休憩で止まったところに偶然歩いてきたってのか?


「■■■■■■■■!!」


「あれって人が勝てるものなのか?」


「本来なら国を挙げて討伐する対象じゃな。

まぁ、妾なら1人でも倒せるがの。」


どうやら運がなかったのはあの魔物の方だな。

俺たちじゃなければ痛い目を見ずに済んだのに。


「ふむ、妾の運動の為に付き合ってもらうとしよう。」


・・・・・・・あり得ない光景だな。

山のようにでかい魔物をあんな細腕で殴り飛ばしてる。

強いとは聞いていたがあそこまでとは。


「■■■■■■■■■■!!」


「うるさい。」


ん?

まだ飲み終わるには早いな。


「邪魔。」


もっとあり得ない光景を見てしまった。

幼女が山のような魔物を投げ飛ばした。

しかも、100m以上は飛んだな。


「アリスの至福の時間を邪魔した報いだよ。

お兄ちゃん、もうちょっと貰うね。」


このメンバーに勝てる奴なんているんだろうか?

ミナはともかくとして残りの三人は1人1人の力で世界征服できるんじゃないだろうか。


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