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次の旅先

「それじゃあ次の旅先を発表するわよ。」


ミナ縁談騒動から1週間、ミナの親もああも簡単に制圧されてしまったヴァナヘイムの警備を信じることなんてできるはずもなく縁談はそのままご破算となった。

それに、フリュネが常に一緒にいるということで仕事の方も渋々ながら納得させた。


「次の街は、氷の街、ニヴルヘイムよ。」


氷の街、ニヴルヘイム、そう言われるだけあって年中氷で覆われている極寒の街。

だが、氷や雪が多いせいかそれで像を作ったりしている内にどんどんレベルが上がりそれを聞いた芸術家たち氷で覆われた幻想的な風景を描くため訪れたりするようになり、いつの間にか芸術の街という2つ名がついた街だ。


「人の芸術は素晴らしいものばかりで今から楽しみです。」


「無駄な買い物はするなよ。」


「分かってます。

調べたら美術館のようなものもあるみたいですからデート先はそこを見て回ることにしましょう。」


はぁ、せっかく思い出さないようにしていたことが・・・・・・

別に芸術に興味がないわけじゃないから楽しみといえば楽しみなんだがフリッグのテンションがおかしくなりそうで怖い。

フリッグは絵画、音楽、建物、舞踊など人が長年をかけて進化させ続けている芸術に目がない。

そっちに没頭してくれればそこまで問題はないんだが、ヴァナヘイムが愛の街として既婚率が一番高い街として有名だが二ヴルヘイムはカップル成立数が一番多い街だ。

ただでさえ、芸術に描きたいと思わせるような場所で、月明かりに照らされた氷で覆われた幻想的な風景。

そこで告白すれば結ばれるって触れ込みまである。

実際、二ヴルヘイムで結ばれて周囲に認められなかった時はヴァナヘイムに逃げるっていうことも結構あるらしい。

話は戻るが美術館で散々テンションが上げられたフリッグが最後に見たいとか言い出して連れいて行かれたらこっちの言うことなんてお構いなしで押し倒されそうだ。


「相変わらず大変そうじゃの。」


だからお前が言うな。


「そういえば、フリュネも来るつもりなのか?」


「当然じゃ。

こんなおも・・・妾もいろいろな街を見回ってみたいからの。」


こいつわざとだろ?

本音を隠すつもりなんて微塵もないな。


「レン、悪いが今回の旅にはついて行けそうにない。」


待て、ストッパーを俺1人でやれと?


「ミナから聞いてるかもしれないが俺も彼女が出来てから出来るだけ一緒にいてやりたいんだ。」


くっ、それを言われると何も言えなくなる。

そうなると、このメンバーを俺1人で抑えろというのか?

先日の騒ぎで外堀を固め来て、前より積極的になって来てるミナ、最近ベッドの中に潜り込んできているアリス、俺の気持ちなんて度外視で猛アッタクしてくるフリッグ、我が儘で厄介事の塊であるフリュネ、これを俺1人で?

外見だけならとんでもない美少女集団でちょっと前なら眼福と癒されていたところだというのに今見ると癒されるどころか胃が痛くなりそうだ。


「まぁ、大変だと思うが頑張れ。」


しかし、ジンもようやく春が来ているのに邪魔するわけにもいかない。


「出発は1週間後でちょっと遠いから一日目は途中で一泊、2日目の夜には到着する予定よ。

そして、観光は3日目から5日目までの3日間。

6日目の朝から来た通りに帰るから戻ってくるのは1週間後ね。」


この予定という言葉が怖い。

この前は馬鹿王子と遭遇したせいでアースガルドで厄介事に巻き込まれた。

ついでに言えばそのせいでフリュネがここに住むようになってる。

次はどんなことが起こるか怖くて仕方ない。


「今回はどんなことが起こるか楽しみじゃの。」


「レンがいる限り何も起きないってことはないから楽しみだわ。」


この2人は俺の苦労を楽しみにしやがって。

それにフリュネはもう建前さえ言ってないな。


「お兄ちゃん、アリス寒いの苦手だから向こうでは暖めてね。」


ああ、やっぱりアリスには癒される。

でも最近の行動はちょっとまずい。

だんだん、行動がフリッグに影響されてる。

しかも、フリッグと違って計算されているから性質が悪い。

ベッドにもぐりこんでもフリッグには気付かれないようにしてるし、フリッグが怖くて俺がそのことを言えるはずもない。


「フリッグに目をつけられない程度ならな。」


「約束。」


まぁ、どれだけ計算されていて、それが分かっていたも許してしまうと思うがな。


side フリッグ


もうすぐ、もうすぐレンとデートができます。

私たち神にとって一年なんて一瞬のことですが人として暮らしていくようになって一日一日がとても楽しくて充実してます。

楽しみなことを待つことはこんなにも長く感じるものなんですね。

しかし、この時間を黙って待ってるだけではレンは落とせません。

せっかくのデートなんですからいい加減にレンを落とすまではいかなくても関係を前進させたいものです。

でも、どうやればいいんでしょうか?

押してダメなら引いてみてもレンは喜んで突き放しそうな気がしますし、変な駆け引きだってレンに勝てるわけありませんし・・・・・・・・

結局、いままで通り押すだけですね。

一回でも手を出してくれれば後は全力で尽くして逃がさないようにするんですけど。

でも、レンは露骨に迫ると絶対に手を出してくれません。

どうすれば・・・・・・・・・


side out


side ミナ


今回はどんなことが起きるか楽しみね。

アースガルドでは本当に楽しかったから今回も期待できるけど、フリッグだけがレンとデートってのは気になるわね。

あの状態のフリッグに何を言っても無駄だろうから何も言わないけどね。

でも、レンを譲る気はない。

前から好きだって思ってたけど、ヴァナヘイムで助けてもらった時からますます気持ちは強くなった。

助けてもらってからの数日は恥ずかしくて顔を合わせることもできないくらいに心臓が高鳴って顔が熱くなってたくらいだしね。

ああ~、私がこんなになるなんて思わなかったわ。

責任は取ってもらわないとね。


side out


side アリス


む~、お姉ちゃんだけずるい・・・・・

アリスだってお兄ちゃんとデートしたい。

後5年早く生まれてたら、アリスも妹じゃなくて女の子として見てもらえるのに。

せっかくお姉ちゃんの目をかいくぐってお兄ちゃんのベットに潜り込んでるのに手を出すどころか、計算して行動してること分かってて許してくれてる。

うぅ、完全に妹としてしか見てくれてない・・・・・・・

お兄ちゃんの馬鹿!!


side out



うぉ!!

な、なんだ!?

さっき、いろいろやばいものを感じたぞ。

この感じはあの3人か・・・・・


「どうしたのじゃ?」


「なんでもない。」


ちなみになぜフリュネと一緒にいるかというと準備という準備がないからだ。

フリュネは1人執事みたいなのを連れてきて部屋の管理やらをさせてるらしいからその人に準備は任せてるらしい。

俺は男だからそんなに準備という準備は必要ない。

精々何か起きた時の為に準備しておくくらいだ。


「ふむ、レンもなかなかの腕じゃな。」


フリッグは準備で忙しいそうで今日は俺が作ってる。

というか飯の準備すらできないほどに旅行の準備をする必要があるって、それは女だから仕方ないと思いたいが相手はあのフリッグだ。

デートの時何が起こるか怖くて仕方ない。


「それにしても楽しみじゃの。

妾とこんなふうに接する者などおらぬ故、妾も気が楽で助かる。」


「それは良かったと言いたいが、本気で帰らないか?」


別にフリュネ個人は嫌いじゃないが姫という立場が嫌過ぎる。

旅先でもフリュネが姫とばれたら何が起こるか分かったもんじゃない。


「前にも言ったであろう。

妾は帰らぬ。

こんなに楽しい時間というのは生れて初めてじゃ。

それに、父上がいる限り妾がいてもあまり意味がないからの。」


この前は王になる為に何か結果を出すと言ってなかったか?


「はぁ、今更帰る必要はないが姫という立場は隠してくれよ。」


「それくらいはしてやろう。

妾も無駄に騒ぎ立てられるのは好きではないからの。」


「それは助かる。

一応言っておくが俺はフリュネの下に就く気はない。

こう言ってはなんだが俺が就かなければ他のみんなも同じだ。

俺たちを狙っているならまず俺を説得するんだな。」


こいつのことだから武力行使はしないと思うし、なによりフリッグとアリスが抑止になっているからないとは思うが念の為だ。

こいつは俺たちの中に深く入りすぎて、警戒が薄れているが姫という立場上有能な人材はのどから手が出るほど欲しいだろう。


「承知した。

まずは、レンを口説くことに専念するとしよう。

しかし、どこで気付いたのじゃ?」


「フリュネのような存在がただ面白いがために時間を潰すとは考えにくい。

そうなれば人材確保のため仲良くなっておこう思うのは自然だろ?」


まぁ、半分は面白いからという理由だろうがな。


「相変わらず頭が回る。

しかし、そう身構える必要はないぞ。

妾は今の生活が気にいっておる。

王族の立場を捨ててもいいと思えるくらいにな。」


「思っても実行には移さないだろ?

王族としての誇りは捨てられないからな。」


「まったく、人の心を呼んでいるかのようじゃな。

その通りじゃ、王族とは民あってのものじゃ。

いままで、生かしてもらっておいて捨てるわけにもいかぬ。」


俺には到底無理な話だ。

王になれば必ず切り捨てなければならない時が来る。

俺はその重圧に耐えられない。

俺と同じような年でそれに耐えられるフリュネは本当に凄いと思う。


「フリュネが王になった時には割安で依頼を引き受けてやるよ。

その代わり、あいつらとは今まで通り友達でいてやってくれ。」


「面白い男じゃ。

よかろう、レンを含め妾の友人じゃ。」


姫が友人ね・・・・・

また、死ねない理由が出来てしまったな。

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