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攻城戦

とりあえず、いろいろと根回しをしていたらあっという間に縁談当日。

いつものメンバーでヴァナヘイムまで来ていた。


「本当に私たちは何もしなくていいんですか?」


「今回はその圧倒的な力は邪魔になるからな。」


今回の依頼はミナを結婚させないこと。

前にも説明したがヴァナヘイムには森の民っていう人外が街を守ってる。

そうはいっても、フリッグやアリス、フリュネには勝てないんだがな。

話は逸れたが、ミナの親がヴァナヘイムに嫁がせ用としている理由はこの森の民に守られているヴァナヘイムなら安全だと思っているからだ。

実際、ヴァナヘイムの治安は9つの街でトップだからな。

結論から言ってしまうと縁談をしているところを襲撃し信用を落とそうということだ。

街のトップ同士の縁談ということは少なくとも両方の長は来てる。

そんな重要なところを落とされたら信用もガタ落ちだろう。

そこで、有名なフリュネや、女で圧倒的な力を持っているフリッグやアリスが前に出ても効果は薄くなる。


「行くぞ野郎ども!!

俺の妹に手を出したことを後悔させてやる!!」


だから、ジン率いる街の警備団と俺で成功させる必要がある。

これが成功すればヴァナヘイムよりアルフヘイムが安全だって証明できるしな。

そうなれば無理に縁談を進めようとはしないだろう。

シスコンは直ったんじゃなかったのか?


「レン、準備はできたぞ。」


「分かった。

それじゃあ手筈通りに行くぞ。」


縁談はヴァナヘイムの城で行われている。

城のいたるところに森の民がいるため、はっきり言って正面突破なんて無理だ。


「第一班は作戦通り正面の敵を陽動、第二班はその隙に城へ潜入、第三班は後衛から援護だ。

作戦に成功すれば飲みに連れてってやる、行くぞ!!」


「「「「「「「おお!!」」」」」」」


ジンの人望の賜物か1人1人にまで指示が行き通ってる。

俺も動くとするか。


side ジン


「突撃!!」


切り込み隊長はもちろん俺だ。

レンは影から動く必要があるって言ってたから俺はとりあえず森の民の目を引く必要がある。


「はあ!!」


とは言ったものの森の民ってのは1人1人が少なくとも俺と同レベル、倒せないことはないが俺以外では難しい。

だからと言って時間をかけ過ぎると城以外から森の民が集まってくる危険性がある。

だから、あまり時間はかけられない。


「くっ、一旦退くぞ。」


数は20くらいか、これくらいならなんとかなりそうだな。


side out


始まったか。

やっぱり、森の民ってのは強い。

1対1でジンと互角に戦ってる。

そうなると、他の兵では森の民には勝てないんだがそれは1対1の場合。

魔法が得意なエルフなら、他者に身体強化をかけることができる。

もちろんそれだけ勝てるとは思っていないが時間は稼げる。

その隙に第2班は潜入し、内部で一気にミナの所まで攻め込む。


「レン!!」


そして、引き寄せた森の民を一網打尽にすれば俺の役目は成功。


「第三班、やれ!!」


後方支援に置いていた第三班にはあるものを持たせていた。

俺の読みが確かならこれでかなり動きをにぶらせることができるはず。


side ジン


来たか!!


「気合入れろ!!」


「★□Щ▼$ξ!!」


鼻が曲がりそうだな。

普通の嗅覚をもつ俺たちでこれだ森の民には気絶しそうな臭いだろう。

レンの予想通り、並はずれた五感だったみたいだな。


「第一班、第三班と合流して森の民を捕えろ!!」


とはいっても全員鼻を押さえて悶えている状態だ。

捕まえるのは苦じゃないだろう。


side out


とりあえず外はどうにかなったか。

後は内部だが、数が減っているとはいえ油断はできないな。

臭い玉も、向こうにはばれてるだろう。

あれは奇襲以外で使っても風で押し戻されたら意味がないから2度は通じない。

後は個々の力で押し通す。


「レン、状況は?」


「まだ、中にも残ってるみたいで今のところ数で押してるがそれもいつまでもつか分からないな。」


「それなら、数を増やせば「駄目だ。」どうしてだ?」


「もし、外の森の民が駆け付けたら挟み撃ちにされて終わりだ。

第一班と第三班は外を見張ってもらわないと困る。」


「つまり、後は俺たちでどうにかするしかないってことか。」


「そういうことだ。

ジン、行けるか?」


「その役目はレンの役目だ。

囚われの御姫様を助けるのは王子様の役目だろ。」


「俺よりジンが行った方が成功率は高い。

俺は前衛では戦えないが後方からの援護はできる。」


撃った弾を視認して弾くような相手に俺が勝てるはずもない。


「それでもだ。

ミナは俺じゃなくレンの助けを待ってる。

レンは何も見ず走りぬけろ。

俺が道を作る。」


まったく、俺はそんなキャラじゃないってのに。


「はぁ、分かったよ。」


「それじゃあ行くぞ。」


「ああ。」


ここまで来て失敗は許されない。

失敗したら、俺だけじゃなくアルフヘイムの評判も落とすことになる。

こんなプレッシャーを一般人の俺に背負わせるなよ。


「野郎ども!!

もう少しだ、気合入れろ!!」


今だ!!


「ここは通さん!!」


「どけ!!」


最後の最後にボスっぽい奴って、あれはジンより上だ。

考えろ、俺に何ができる?

このまま走ったところで捕まるだけだ。


「ジン、目を閉じろ!!」


side ジン


「ジン、目を閉じろ!!」


そんな大きな声で言ったら相手にも伝わるに決まってる。

何を考えて、この臭いは!!


「敵の言うことを簡単に信じたら駄目だぜ、おっさん。」


相変わらず頭が回る。


「後は頼んだ。」


「ああ、ミナを奪ってきてくれ。」


本当に頼りになる奴だ。


side out


side ミナ


「安心してください。

この街は森の民が守ってくれます。

時期に騒ぎも収まるでしょう。」


あのレンがなんの策もなく仕掛けるはずがない。

だから、私は信じる。


「では、そろそろ若い物同士に任せましょうか。」


「そうですな。

これでもう安全だからな。」


心配してくれるのは嬉しいけどこんなところに閉じ込められるような生き方をするなら私は街を捨てでも逃げる。

それでも、レンたちは受け入れてくれるはずだしね。


「それでは行こうか、ミナさん。」


こいつから名前で呼ばれると鳥肌が立つ。

結婚どころか生理的に無理ね。

だから、早く来なさい、レン。


「遅くなったな、ミナ。」


「あと少し遅かったらフリッグの目の前でキスでもしてやろうかと思ったわ。」


side out


「遅くなったな、ミナ。」


席を立とうとしているところを見るとギリギリだったな。

それにしても、相手の方は普通に整った顔だな。


「あと少し遅かったらフリッグの目の前でキスでもしてやろうかと思ったわ。」


俺の記憶を消すつもりか?

そうじゃなくてもひどい目に遭うのは目に見えてる。

遅れなくて本当に良かった。


「誰だね、君は?」


「この城を襲撃した集団の一味だよ。

そういうわけだ、動いたら死ぬぜ。」


ま、そんなことするはずないけどな。


「な、なにが目的だ!!」


ああ、ミナが毛嫌いする理由がなんとなく分かったな。


「それは・・・・・」


「妾が説明しよう。」


なんとか無事に終わったな。


「どうして姫がここに!?」


「それも含め説明しよう。

先日、妾がアルフヘイムに視察に来た時、襲撃されたことは知っておろう。

アルフヘイムの警備団は実に優秀じゃった。

じゃが、他の街はどうなのかと思っての、抜き打ちでチェックしようということで今回の騒ぎを起こしたのじゃ。」


この理由なら権力の濫用と咎められることもない。

実際、この街にも王族や身分の高い人が来る可能性があり突然の襲撃に対処できるか抜き打ちで訓練しても何も不思議はない。


「しかし、森の民とやらは確かに強いがこうも簡単に突破されるのはいざという時に心配じゃの。」


「そ、それは・・・・」


そして、森の民より遥かに性能が劣るエルフが制圧できれば反論もできないだろう。


「早急に対策を考え、突然の出来事にでも対処できるよう考えることじゃな。」


後はミナが説得すれば少なくとも結婚という事態は避けられる。

そこから先は分からないが、ミナなら上手くやるだろう。


「さて、妾はこれで失礼するとしよう。

行くぞ、レン。」


「御意。」


せっかくヴァナヘイムまで来たんだ。

今日はいろいろ食べて回るか。



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