裏で蠢く者
「フリュネ、無事か!!」
「これが神力封じか、力が上手く出せぬ。」
どうやら無事のようだが効果はてきめんのようだな。
事態を収拾するには死霊使いをどうにかするしかないか。
「アリスはこの場所を守ってくれ。
フリッグは死霊使いを倒しにいくぞ。」
「レンはどうするんですか?」
「俺も死霊使いをどうにかする。
場所さえ分かれば狙撃できる。」
俺だってこの世界に来てから何もしていないわけじゃない。
200m離れた場所からの狙撃なら敵に気付かれることなくやれるだろう。
「分かりました。
場所はばらばらですのでいくつか場所を教えておきます。」
「油断しておった。
済まぬが後は頼む。」
「報酬は弾めよ。
アリス、頼んだぞ。」
「任せて。」
俺も行くとするか
side フリッグ
なかなか優秀な死霊使いのようですね。
使役する悪霊のレベルが高い。
これならば、フリュネを完全とは言わずともある程度封じることは可能でしょう。
しかし、私がいる限りこの街に危害は加えさせませんよ。
「とりあえず1人目ですね。」
後何人か倒してしまえばジン率いる警備団も問題なく動けるようになるでしょうしフリュネも回復するでしょう。
意外と簡単に収まりそうですね。
side out
side アリス
お姫様の場所が分かってるのかさっきから何体も悪霊が押し寄せてくる。
「消えて。」
でも、所詮は悪霊、穢れなんてアリスには関係ない。
「くっ、無様じゃな。
こんな時何の力にもなれぬとは・・・・」
アリスとしては神力が抑えられて助かってるけど街をこのままにもしておけないしお兄ちゃんたちには頑張ってもらわないと。
「フリュネ・セシリアだな、死ね。」
次は傭兵、警備団は出払ってるからすんなりと入ってこれるみたいだね。
やっぱり、お兄ちゃんの判断は間違ってないね。
「駄目だよ、ここはお兄ちゃんに任せられてるんだから。」
真祖の吸血鬼の力を見せてあげる。
side out
これで2人目。
街の悪霊の数もかなり減ってきた。
今頃、フリュネの所に傭兵が来ている頃だろうな。
フリュネがここにきていることを知っているぐらいだ。
フリュネを連れてきた誰かが内通していることくらい予想済みだ。
それにしてもあっけなさすぎる。
確かに、俺たちがいなければこの作戦は成功していたかもしれない。
だが、なぜここで仕掛けた?
ここはニーズヘッグを一斉検挙したことで有名な街だ。
アルフヘイムを視察に来るくらいなら他の街にも視察に行くだろう。
こんな作戦を実行するなら、少なくとも俺は他の街で実行する。
・・・・・・ニーズヘッグ?
まさかこの騒ぎは・・・・・
「まずい!!」
間にあってくれ!!
side ミナ
姫1人を殺すために街に喧嘩を売るなんてとんでもない度胸ね。
まぁ、この街にはフリッグとアリスがいるし武力制圧なんて不可能なんだけど。
「ミナ・レグスだね。
早速だが死ね。」
「っ!!」
いつの間に!!
「戦闘向きじゃないと思っていたんでけど悪くはないようだね。」
まさか、混乱に乗じて私を狙いに来るなんて
「油断してたわ、まさか、直接私をこの街で狙いに来るとは思ってなかった。」
「そうでだろうね。
そもそも、今回は一応姫を狙うついでということになってる。
まぁ、僕たちニーズヘッグにはこちらが本命だよ。」
くっ!!
やばいわね、どうやっても私が勝てる相手じゃない。
時間稼ぎもそろそろ限界に近い。
「限界のようだね。
ニーズヘッグに関わらなければもう少し長生きできただろうに。」
これまでか・・・・・・
約束破ってごめんね、レン・・・・・
「っ!!」
えっ!?
「そこまでにしてもらうか。」
side out
危なかった・・・・・・
銃で剣を撃ち落とすなんてよくできたな
「そこまでにしてもらおうか。」
「まさか、気付かれるとはね・・・・」
「まさか、あれだけ派手にやったミナに何の対策もせず放っておいたと思ってるのか?」
「・・・・・なるほど。
どうやら見くびっていたようだ。」
「大人しく捕まってもらおうか。」
「それは困る。
これでも僕はニーズヘッグの幹部なんでね。
こんなところで捕まるわけにはいかないんだ。
だから、ここはいったん引かせてもらうよ。」
「それをやらせると思うか?」
「その時は彼女を道ずれにするだけだよ。
それに、君に僕を倒せるのかい?」
「・・・・・・次は無いと思え。」
「君の名前は?」
「誰が教えるかよ。」
「そう、僕はアビス・ラクライマ、覚えておいてくれ。」
・・・・・行ったか
「ちょっと、どうしたのレン!?」
「緊張の糸が切れただけだ。
なんだ、あいつは?」
はったりが通じてよかった。
この街は完全に安全だと思っていたからミナには何もしていない。
あの場ではこれ以上時間をとると援軍が来ると思わせて引かせるしか手はなかった。
あれは俺が勝てるような相手なんかじゃない。
「ありがとう、助かったわ。」
「これで借り一つ返せたか?」
「ばかぁ・・・・こわかったよぅ・・・・」
「あ~、よしよし怖かったな。」
本当に守れてよかった・・・・
side アビス
「話が違うぞ!!」
まさか、あれで気付かれるとはね。
完全に姫に目を向けたつもりだったんだけど、どこで気付かれたのやら。
「聞いてるのか!!
フリュネを殺すどころか死霊使いと傭兵全員捕まったんだぞ!!
なんのために高い金を払ったと思ってる!!」
おそらく真祖の吸血鬼も彼の元のにいるはず。
確かにそれならこの騒ぎをこうも簡単に抑えられるはずだ。
「おい!!」
「うるさいよ。」
「っ!?」
「君にはこの騒ぎの首謀者として捕まってもらう。」
ニーズヘッグに歯向かうとどういう目に遭うか見せしめのために動いたというのに、失敗してこれ以上動きずらくなったら敵わないからね。
王族の1人がこの騒ぎの主犯となる証拠は捕まった者たちが話すだろうし、雇った者たちは僕のことを知らない。
彼ら以外この件にニーズヘッグが関わったとは思わないだろう。
「それじゃあね。」
side out
あの騒ぎはすぐにフリッグが死霊使いを全員鎮圧しアリスが押しかけた傭兵を捕えた。
そいつら全員が王族の1人に雇われたと口を揃えて白状して、その王族は捕まった。
確かにこの騒ぎはフリュネを狙った王族の犯行だろうが裏で手を引いていたのはアビスとか言う奴だろう。
「ミナ、近いうちに俺たちは家を買って引っ越すから、ついでに家に来い。」
こうなった以上、この街だからと言って安心できない。
「私はいいんだけど・・・・」
「私は反対です。」
「アリスは条件付きならいいよ。」
お前らは・・・・・・
「ちなみに反対の理由と条件は?」
「私とレンの愛の巣に入れたくありません。」
お前は本当に馬鹿なのか?
そもそも、アリスがいるだろう。
「お兄ちゃんにべたべたしないこと。」
気持ちは嬉しいんだが、だんだんフリッグに影響されてないか?
「フリッグ、ミナがどうなってもいいのか?」
「レンとの甘い生活には代えられません。」
俺はまだこいつのことを甘く見ていたかもしれない。
ここまで病んでるとは・・・・・
「今度デートしてやるから妥協しろ。」
「・・・・・・・・絶対ですよ。」
背に腹は変えられない。
こいつとの問題は俺が何とかすればいいがミナとの問題は個人で出来る範囲を超えている。
「約束だ。」
「それじゃあ、許可します。
でも、あんまりべたべたしたりしちゃ駄目ですよ。」
はぁ、また厄介な約束をしてしまったな。
「そういうわけだ、フリッグもアリスも条件さえ守ってくれれば大丈夫だそうだ。」
「嫌よ。」
・・・・・・は?
「その条件を受けるってことはレンを諦めろってことでしょ?
そんなの絶対に嫌よ。」
お前もなのか・・・・・
「仕方ない、お前ら3人で一緒に住め。
俺は別の所に1人で住む。」
俺は死なないし、いざとなってもフリッグが駆け付けるだろうから問題ない。
「そんなの駄目です!!
レンが一緒じゃないとどこにいても同じです!!」
「それはアリスも困るよ。
お兄ちゃんと一緒じゃないと嫌。」
「私は別にチャンスさえあれば別の場所でも構わないけど、少なくともフリッグかアリスの傍にはいたいわね。」
「もてもてじゃの。」
フリュネいたのか
それよりどうするか?
一番手っ取り早い方法はミナが諦めてくれることだがこれは無理っぽい。
「私がミナの周囲に危害を加えようとしたら感知する結界を張ればいいじゃないですか。」
確かにその案は悪くないな。
「ちなみに感知したらどうするんだ?」
「その結界がミナの防御壁に変わります。」
こいつにしてはまともな意見だ。
「だそうだが、どうする?」
「いいと思うわよ。」
それじゃ、それにするか。
「それではミナ、何か文字が刻めるものを身につけてませんか?」
「私、装飾品はあまりつけないのよ。」
「それじゃあ、明日にでも買いに行くか。」
「それじゃあ、レンが選んでね。」
だから、どうして俺を追い詰めるようなことを言う?
途端にフリッグの機嫌が悪くなってるだろう。
「ま、まぁ、いいでしょう。
レンは私とラブラブな同棲生活を送るんですから。」
いちいち突っ込むのも面倒くさいからスルーだ。
「アリスにも何か買って。」
「それじゃあ、アリスも明日一緒に行くか。」
「私だけ仲間外れにしないでください!!」
面倒くさい奴だな。
「ところで妾はどこに住めばいいのじゃ?」
さて、今日は疲れたしもう寝るか。
「どこへ行くのじゃ?」
「幻聴が聞こえるくらい疲れているみたいだから今日はもう寝る。」
「ほう、その幻聴とはどのような内容じゃ?」
「何をとち狂ったのかフリュネがどこに住むかなんてことを聞いてくるんだ。
幻聴だろ?
幻聴だと言ってくれ。」
「ふむ、ならばもう一度言っておこう。
妾はどこに住めばいのじゃ?」
やっぱり幻聴じゃなかったのか・・・・・・
「もちろん私たちの家は駄目ですよ。」
「それは残念じゃ、妾はフリッグの料理は気に行っておるのじゃが。」
「ご飯は食べに来ていいので住み込みは止めてください。
夜はそのうちレンが来てくれるはずなので邪魔されたくないんです。
やっぱり初めては奪って欲しいですから。」
「アリスがいるところでなに言ってやがる!!」
アリスはまだ10歳なんだぞ!!
お前のように病んだらどうするつもりなんだ!!
「アリスも意味くらいは分かるよ。」
「お願いだアリス。
アリスだけは純粋に育ってくれ。」
「お兄ちゃんがいっぱい愛してくれれば大丈夫だよ。」
家族愛のことだよな?
あれの意味で言ってないよな?
「それじゃあ私の家に来るしかないわね。
部屋も余ってるし1人くらいな問題ないわ。」
「ふむ、それではそうするとしよう。」
今日は疲れた・・・・・・・・・・