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神と姫

「では、姫を頼みます。」


まさか、夜まで護衛するはめになるとは。


「どうした?

お前の家に案内せよ。」


「はぁ!?

なぜ姫を家に案内する必要がある!!

そこらへんの宿にでも泊まってりゃいいだろう。」


家にはアリスだっているんだぞ。

フリッグは神力を完全とはいわずとも遮断できるし、魔力を纏ってるから問題ないが姫のような神力を纏ってる人をアリスに近づけたくない。


「退屈なのじゃ。

それに今は雇い主と労働者であろう?

それなら妾の言うことは絶対のはずじゃ。」


このわがまま姫は・・・・・


「フリッグ、ちょっと姫を頼む。

3日間はアリスをミナに預けてくる。」


「分かりました。」


「別に妾は吸血鬼だからといってどうもせぬぞ。」


何かされたら問答無用で記憶を抹消する。


「アリスはまだ子供なんだよ。

だから姫みたいな神力を持ってる奴の近くに長くいると体調を崩すんだ。」


「ふむ、それは済まん。

妾も可能な限り抑えてはいるが流石にそこの神のようにまでとはいかぬからの。」


3日間、アリスへの血はどうするか。

輸血パックみたいなものをミナにでも渡しておけば大丈夫だろうか?


side フリッグ


それにしても毎回毎回よくも厄介なことに巻き込まれますね。


「さて行ったか・・・・・・

神よ先程のまでの無礼をお許しください。」


は?

いったいどうしたんですかね。


「これでも信仰の街、アースガルドの後継ぎとなるものでございます。

神である貴女様に対して無礼な発言は許される立場ではないのですがどうかお許しください。」


「は、はぁ。」


調子が狂いますね。

本当にこの人はあのストーカーの血縁なのでしょうか?


「貴女様が神であることは誰も言わず墓まで持っていくことを誓います。

立場上、平民である貴女様に対しこのような態度をとっていれば周りから怪しまれる故、無礼な態度をお許しください。」


人の考えに染まってきた私にここまでされると逆に申し訳なくなりますね。


「別に気にしませんけど、私の仲間に手を出すことだけは止めてくださいね。

特にレンに特別な感情を持つことだけは許しませんよ。」


「承りました。」


レンから手を出すことなんてあり得ませんからこれで大丈夫でしょう。


side out


side フリュネ


「失礼ですが、あの男とはどういう御関係で?」


神力は感じずとも、肌で感じる圧倒的な存在感。

アースガルドで感じた神とは比べ物にならぬ。


「難しいですね。

戸籍上では兄妹なんですが、もちろん血なんてつながっていません。

レンは私が片思いしている相手という表現が正しいですね。」


これ程の神の寵愛を受けているとは本当に面白い男じゃ。

しかも、これほどの美貌を持つ神に手を出さぬとはいろいろ話を聞いてみたいものじゃ。


「ありがとうございます。」


これはあの男を側近にするのは難しそうじゃの。

しかし、それができればこの神を側近にしたも同じ、どうにかならぬものか。


「先に言っておきますがレンに手を出そうものなら首都ごと消滅させますよ。

私は既に神として役割なんて放棄していますし、私を世界一つで抑えられるのなら最高神でも喜んで差し出しますよ。」


「申し訳ありません。

私が持つ力のすべてを用いて貴女方の生活を守ると誓います。」


「なにもする必要はありませんよ。

ただ、私たちのことを誰も話さず黙っていてくれればそれでいいです。」


妾の考えは筒抜けというわけか・・・・


「それと、レンには今まで通りに接してくださいね。

突然、態度が変わったら心を読んだことを気付かれる可能性がありますから。」


「なぜ気付かれてはいけないのですか?」


「私は最初にレンに心は読まないって約束してるんです。

今回はレンがいなかったので特別です。」


これはあの男は敵に回しせぬの。


side out


「ミナ、いるか?」


「レンがこっちに来るなんて珍しいわね、なにかあったの?」


ちなみに今いるところはミナやジンの実家。

出来ればあまり目立つ行動はしたくないんだがアリスの為ということで割り切ってる。


「アリスを後3日預かって欲しいんだが。」


「それはいいけど、本当にどうしたの?」


「姫が視察でこの街に来ててな、偶然か必然変わらないが再会して興が乗ったらしくて俺たちに護衛を依頼しやがった。」


「また面白そうなことになってるわね。

確かに視察はあるけど普段は姫なんて大物はこないわよ。」


ということは、あの再会は必然だったてことか。


「今アリスはどうしてる?」


「寝てるわよ。

起きていた時は元気だったからもう大丈夫みたい。

でも、アリスはきっと帰りたがるわよ。

そうなったら、説得はお願いね。」


説得できるかなぁ?

俺が命令すれば聞いてくれると思うが、できれば命令なんてしたくない。

だが、アリスには元気でいて欲しいから姫に近づけるわけにもいかないからな。


「とりあえず、今日だけでもどうにかしておいてくれ。

アリスには明日説明する。」


「分かったわ。

これで貸し2つ目よ、お返し楽しみにしてるわ。」


お返しか・・・・

女に贈り物なんてしたことないからどんなものを送ればいいか困るな。

フリッグに相談する勇気なんて持ち合わせてないし、アリスにしても面白くはないだろう。

どうしたものか・・・・・


side フリッグ


気まずいですね。

私を神として敬われても正直迷惑です。

そもそも、このお姫様の方が気品がある気がします。

敬われるどころか、逆にこっちが気を使わなければいけないような気すらしてきます。


「お腹すいてませんか?

もうすぐレンも帰ってくるでしょうから食事にしようと思うんですが。」


「神が食事の準備をしているのですか?」


最初はレンと交互だったんですがだんだん楽しくなってきたので最近は私とアリスで作ってます。

女として料理くらいはできた方がいいでしょうし。

それにしても


「敬語は止めませんか?

私は一応神ですけどこの世界上では一般人です。

お姫様から敬語を使われると変な気がするんですけど。」


「神がそういうのなら。」


「できれば神というのも止めてくれませんか?

私の名はフリッグといいます。」


この人なら名前で呼ばれても許可できます。

本当にあのストーカーと血が繋がってるんでしょうか?

あのストーカーも美形といえば美形でしたが気品というか纏ってるオーラが違いますね。


「分かった。

では、妾のこともフリュネと呼んでくれ。」


なんかしっくりときますね。

レンはこういう気品のある女性はどうなんでしょう?

ないよりあったほうがいいですよね。

私もフリュネを見習うとしましょう。


「ただいま。」


帰ってきましたね。


「おかえりなさい。

ご飯にしますか、お風呂にしますか、それとも「よく飽きないな。」」


相変わらずつれないですね。

ちなみにさっきのセリフは私がレンより早く帰ってきている時は毎回言っています。

まぁ、最初から冷めた態度で返されましたけど。


「とりあえず飯にしよう。

明日からの姫の予定も聞いておく必要がある。」


「その姫というの止めよと言ったはずじゃが。」


「そういえばそうだったな。」


それにしても、フリュネはお姫様なのに敬語をまったく使わないレンは凄いですね。


side out



「なかなかの腕じゃな。」


「本当ですか!!

聞きましたかレン、フリュネに料理を褒められましたよ!!

家事も仕事も完璧にこなす、こんな器量よしの私を放っておいていいんですか!!」


お前が病んでなければ考えてもいいところが、欠点が致命的すぎる。

まぁ、料理の腕は認めるがな。


「客人の前で騒ぐな。

早速で悪いが仕事の話だ。

明日の予定を大まかでいいから教えてくれ。」


「食事中に仕事の話とは無粋じゃの。」


「金を貰ってるんだ。

準備を怠ってミスしましたじゃ話しにならないんでな。」


俺だって食事中に仕事の話なんてしたいわけじゃない。

いつもなら、アリスとの食事を楽しんでるってのに。

・・・・・やばいな。

無意識でアリスのことを考えるほどになってるとは。

もう俺ってシスコンじゃね?


「ふむ、明日はアルフヘイムの代表との会談の後、街を見て回るつもりじゃ。

調査の方は専門の者が行う手筈じゃ。

そもそも妾は今回ついてきただけみたいなものじゃから、そんなにやるべきことがあるというわけではないのじゃ。」


本当に迷惑な姫だな。

勉強熱心なのはいいことだが俺を巻き込むな。


「つまり、俺たちは会談後の後の街の探索の間が仕事ってわけか。

ちなみに狙われる心当たりはあるか?」


「そんなもの数え切れぬほどあるに決まっておろう。

王位継承権を持つ者は妾も含め十人以上おるのじゃぞ。

その中で一位の妾が邪魔だと思う者がおらぬ筈がなかろう。」


そんな、内輪もめのごたごたに俺を巻き込まないでくれ。


「実際、襲われたことはあるのか?」


「数え切れぬな。

だからといっても妾に勝てる者などそうそうおらぬ。」


そんなことを言うなら俺たちが護衛に着く意味なんてないだろう。


「故に仕事といってそう固くなる必要などないということじゃ。

妾もただ街の普段の様子が見たいだけじゃからの。」


それで安心できるような人生は送ってない。

こういうときは何かとんでもないことが起きる可能性がある。

可能な限り根回しはしておくか。



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