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アースガルド その⑤ 最強の定義

side フリッグ


「ここは・・・・」


「ここは、私が管理する世界の裏側。

ここならだれにも邪魔はされない。」


「私たちがぶつかれば世界の均衡が崩れますよ。

そんなことすら分からない程落ちぶれたのですか?」


「ふふっ、あそこには貴女の大切な仲間がいるんでしょう?

そうなれば、貴女は手を出すことはできないわよね。」


つまり、レンたちは人質と言うことですか。


「私はあなたを殺せれば世界なんてどうでもいい。

だから、貴方と違って加減なんて必要ない。」


どこまで醜態をさらせば気が済むんでしょうか。

これを拝めている人が可哀相です。


「そうですか。

さっきも言いましたけど私は観光の続きがしたいんです。

貴女ごときの為に使う時間がもったいないです。」


まったく、くだらない嫉妬のためにレンと一緒の時間を潰されたと思うとその代わりにレンを押し倒したいくらいです。

でも、最初はレンから求めて欲しいですね。

できれば最初だけじゃなくずっとがいいですが。

はぁ、レンに強引に奪われるシチュエーションが一番ですね。


「あの時もそうやって見下してくれたわね。

10万年も生きていない小娘に見下されるなんて屈辱の極みだったわ。

でも、今回は私が貴女を見下してあげる。」


まだ続いていたんですか。

せっかく、どうやったらレンが押し倒してくれるか考えていたんですがいい加減耳障りですし時間の無駄ですね。


「御託は結構です。

無駄な時間を取らせないでください。

アースガルドは今日を入れてあの2日しかないんですよ。」


3日後にはアルフヘイムへ帰っていつも通りの日常にもと通りです。

それはそれで悪くないんですが、アリスは私たちの娘という位置で納得してくれないですかね。

もちろん私とレンの娘です。

でも、レンとの子供も欲しいですね。

レンが望むなら2人や3人でも大歓迎です。


「消えなさい!!」


む。

流石に世界の均衡を壊さないようにしながら戦うのは難しいですね。

それなら見せてあげましょう。

私が”鮮血の女神”と呼ばれた理由を。


「最強、これはどういうことを指すと思いますか?」


「それは誰にも負けないことよ。

貴女を倒して私が最強になる。」


はずれです。


「最強というのは誰も寄せ付けず圧倒的な力を持つからこそ最強なんです。

そこに勝敗など関与することはありません。」


見せてあげましょう。

私の世界を。


「なにを・・・したの・・・・」


「そういえば見たことなかったんでしたね。

これこそ私が”鮮血の女神”と呼ばれた理由ですよ。」


世界の創造。

今はもういない原初の存在、ユミルのみが使ったとされる究極の術。

それは悪魔の身でありながら神力を持ち、数多の神と悪魔を生み出した存在。

その遺体から今存在している世界が作られた。

そして、膨大な神力と魔力を有する私のみに許された術。


「ここはすでにあなたが管理していた世界ではありません。

ここは私が創り出した世界。

ここには何もなく、なにも要りません。」


ここに必要なのは殺戮のみ。

私がこの世界にいる限り敗北はあり得ません。


「世界を作ったからって何なの。

そんなもの壊してあげる。」


愚かですね。

そんなことができれば既に私は死んでいます。


「どうして・・・・」


「言ったはずですよ。

ここは私が創った世界。

私がすべてを決定し、創り上げた世界。

故に、ここにいる限り私は絶対です。」


あらゆる法則すら通じず、私の思う通りの世界となる。

私が思えば大地は牙となり敵を喰らい、天は顎となりすべてを押しつぶす。


「ここでは私以外に神術は使えません。

これが最強というものです。」


あらゆる努力すら掻き消す程の圧倒的な力。

だからこそ、私は常に1人だった。

でも、今は


「仲間を待たせているので、消えてください。」

さて、レンたちは無事でしょうか?


「久しぶりだな、フリッグ。」


「こんなところいていいんですか?

主神・オーディーン。」


「いきなり行方をくらました問題児が現れたと聞いてな。

駆けつけてみれば珍しいものを見れた。」


確かに以前の私ではありえないことですね。


「まさか、お前が敵を殺さないとは。

どんな心境の変化だ?」


可能な限り殺しはしない。

レンの信条ですからね。

レンの傍にいる者としてレンの信条は曲げられません。


「たまには人の世に下りてみれば分かるかもしれませんよ。」


「お前を変えた存在か。

それは興味をそそられるな。」


「分かっていると思いますが私の日常を脅かすことがあれば神界を滅ぼします。」


あの時はあくまでも自己防衛。

襲われたから返り討ちにしただけです。

けして自分からは動いていませんがこれ以上干渉してくるというならば容赦はしません。


「いいだろう、私もお前を敵には回したくない。

この世界を管理する神も変えておく。」


それは助かりますね。

いちいち潰すのも面倒くさいですし。


「話は終わりですね。

それでは私は仲間のもとへ戻ります。」


「すまなかった。

我が娘よ。」


もう怒っていませんよ、お父さん。


side out



俺としたことが馬鹿王子を倒した後のことを考えてなかったな。


「動くな!!」


城の中であれだけ派手に戦えば人は集まってくるし、王子が気を失っていてそこにいる俺たち。

偶然通りかかった観光客で通ればいいんだが無理だよなぁ。


「どうするレン?」


「どうもこうも、相手は王子だったんだ。

どう転んでもまずい。」


「それじゃあ貸し1つね。」


「は?」


『僕の花嫁の為に消えてください。

それに、そこの男には前は負けてしまったから今度は容赦しないよ。』


これはあの馬鹿王子の抜け目ないな。


「聞いたでしょ?

これは正当防衛で私たちが仕掛けたわけじゃないわ。

それに王子も気を失っているだけで死んでないから医者に見せることをお勧めするわ。」


「何の騒ぎだ。」


見ただけで分かるな。

あれは王だ。


「なにかあったんですかレン?」


いいタイミングで戻ってくれた。


「グレイ王子が私の妹を無理矢理連れ去ろうとしたことろを止めようとしたら殺されそうになりました。

そこで、その措置として意識を奪わせてもらいました。

証拠はこれです。」


本当にミナがいてくれて助かった。

証拠がなければ信じてくれなくても無理はないから。


「なるほど。

我愚息が迷惑をかけた。

詳しい話を聞きたい、謁見の間まで来てもらおう。」


今は証拠があり警備員の前だ。

これだけの人が聞いていたならもみ消しも難しいし証人にもなる。

わざわざ、相手の土俵に行ってやるほど馬鹿じゃないんでね。


「詳しい話も何もありません。

私の妹、名をフリッグ・カザミネと言いますがアルフヘイムからアースガルドに向かう途中の街でグレイ王子と遭遇しいきなり妹を嫁に欲しいと言ってきたのですが妹には既に心に決めた人がいるので何度も断ったのですがそれでもしつこかったので、アースガルドへ逃げたんです。

そして、今度は街中に犯罪者の指名手配のように妹の捜索を行い、観光の為、城に来てみれば力づくで奪われそうになり先程説明したとおりになります。」


これで証人はできた。

ミナのことださっきの証拠は複数持っているだろう。


「迷惑をかけた。

その代わりに褒美を取らせよう。」


「いえ、グレイ王子に言い聞かせてもらえればそれで結構です。」


「我に恥をかかせる気か?」


っち、やっぱりあの馬鹿王子とは違うな。


「分かりました。

この後も予定がありますので手短にお願いします。」


side ミナ


あの後、私たち全員は個室に通されて王様と対面。

まさか、王様と個人で対面するとは思わなかったわ。

流石レン退屈しないで楽しいわ。


「やってくれたな。」


「なんのことでしょう?」


あれだけの人前で暴露されたら広まるのは時間の問題だろう。


「食えん奴だ。

用件は分かっているな。」


「今回のことは口にしないということでいいですか?」


「そちらから要望があれば応えるが。」


今頃、城内では箝口令が引かれているころだろからね。

まぁ、人の口に戸棚は立てられない。

それでもやらないよりはましだろうけど、張本人を黙らせない限り意味がないからね。


「グレイ王子を言い聞かせてくれれば結構だと言ったはずですが。」


レンとしてもここは貸し1つの状態で引いておきたいところだろうけど


「それでは気が済まん。」


これを言われたらどうしようもないのよね。


「では、迷惑料として城の立ち入り禁止の所を見せてください。」


は?


side out



「ここが王の間ですか!!」


あの後結局、迷惑料として城の立ち入り禁止の観光と金貨百枚を渡れた。

貸し一つの状態で出来るだけ干渉を避けるつもりだったが簡単にはいかないか。


「凄いですよレン!!

この構造、装飾、空気、この城を建てた人は天才ですね!!」


はしゃぎ過ぎだ。

たしかにこの空気を出せることは凄いと思う。

ここも人の英知の結晶の産物。

そういえば、あの神はどうなったんだ?


「レン、早く次に行きましょう!!」


まぁ、どうでもいいか。


「お兄ちゃん、抱っこして。

ちょっとつらい。」


「今回はアリスには頑張ってもらったからな。」


「ごめんね。

アリスがもう少し強かったら良かったんだけど。」


「気にするな。

それに最後の一撃は殺さないように加減してくれただろう。」


「気付いてたの?」


フリッグさえ超える素質を持つアリスがミナの補助を受けた状態での一撃を神の加護を受けたとはいえ防げるはずないからな。


「本当にアリスはいい子だな。」


それにしても今日は疲れた。

明日は平和な観光ができますように。

気付いている方もいるかと思いますが街の名前と神の名前はすべて北欧神話に登場する名称です。

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