アースガルド その③ 変わらぬ想い
総合PV10万、ユニーク1万突破!!
読んでくれている方々、ありがとうございます。
そして、これからもよろしくおねがします
side ミナ
とりあえずあの後、レンは部屋に戻って行った。
たぶん兄さんと話をつけるつもりでしょう。
それなら、私も話しをつけとかなきゃね。
「フリッグ、アリス、ちょっと話があるんだけど。」
「なんですか?」
「どうしたのミナお姉ちゃん。」
フリッグが暴れ出さなきゃいいんだけどね。
「もちろん私たちの話って言ったらレンのことよ。」
「レンがどうしたんですか?」
「レンが百年の間に答えを出すと言ってくれたわ。」
「レンがですか?」
やっぱりおかしいと思うわよね。
まったく兄さんは。
「私もおかしいと思って問い詰めたら兄さんがレンに私のことを頼んだからだそうよ。」
「・・・・・・消します。」
やっぱりこうなったか。
本当に厄介ねこの娘。
「落ち着いて!!
話しはまだ終わってないわ。」
「レンを苦しめる存在は許せません。
今のレンに答えを出すなんて言えるはずありませんから。」
「アリスもお姉ちゃんに同感だよ。」
この2人を抑えられる存在ってレン以外にいるの?
「だから落ち着きなさい!!
私もそう思ったから撤回させたわ。
だけど、そこで気付いたの。
レンにとって平穏は幸せでも何でもない。
レンの平穏は傷つけることで傷つくのが怖くて唯一心が休まる場所。
だから幸せだと勘違いしてる。
レンは逃げてるのよ。」
「・・・・・・・やっぱりそうでしたか。」
フリッグも気付いてたのね。
そりゃそうよね。
フリッグが一番レンの近くにいる存在だもの。
「それでも、レンは答えを出してくれると言ってくれた。
ようやく前に歩き出そうとしてくれてる。
だから私は前に進む手助けをしてあげたい。
レンが傷から逃げ出さないように。」
例え、それがレンを苦しめることになったとしても。
それはきっとレンが変わる為に必要なことだから。
「アリスは変わらないよ。
元々アリスはお兄ちゃんの平穏なんてどうでもいい。
アリスはアリスのことを中心に考えてもらえればそれでいい。
お兄ちゃんがそうなってくれればアリスの眷族としてずっと一緒にいてもらう。」
「私も変わりませんよ。
例え今の平穏が逃避だとしても、いずれ本当の幸せにしてみせます。
それに傷つくこともですがレンは信じることも怖がっています。
私は変わらずレンに永遠を信じさせるだけです。」
意思は変わらずか。
やっぱりそうでなくちゃね。
「私も変わらない。
レンを振り回してたくさんのことを経験してもらう。
その上で傷つくことも悪くないものだって教えてあげる。
そして、その人生を全うさせて死なせる。
その最期の瞬間に幸せだったて言わせるために。」
レンがどうであろうと私たちは変わらない。
結局、それぞれの方法でレンを手に入れるだけ。
「だから、兄さんのこと許してくれない?」
「・・・・・・分かりました。
レンだってジンを傷つけることを望んでないでしょうし。」
「もう1つ。
私やアリスがレンに構ってるときに独占欲を我慢して欲しいんだけど。」
それがある限りレンは私とアリスを選べないしね。
「・・・・・・・善処します。
できれば、私の見てないところでお願いします。
私の目の前でいちゃつかれたら我慢できそうにありません。」
ここが妥協点ね。
これ以上は無理でしょう。
「ありがとう。
それじゃあもう休みましょうか。」
side out
side フリッグ
ミナに一歩リードされましたね。
でも負けませんよ。
レンを変えて手に入れるのは私です。
しかし、約束してしまったからには多少は我慢しないといけませんね。
できるでしょうか?
ミナの時はアリスを愛でてれば我慢できるかもしれないですけどアリスの時はどうしましょうか?
side out
side アリス
ミナお姉ちゃんがちょっと有利かな。
とりあえずお兄ちゃんには妹としてでもいいから目を離せない存在になろう。
アリスも後5年もしたらお姉ちゃんたちに負けないくらいになるはず。
女として見てもらうのはそこからでいい。
今はお姉ちゃんたちに取られないようにいっぱいアピールしとかなきゃ。
負けないよ。
side out
気が重い。
あんなことをミナに約束したからにはジンにも言っとくべきなんだがジンとの約束はしばらく果たせそうにない。
それでも、いい加減前を向くと言ったからな。
「ジ「すまん、レン!!」は?」
なぜ、いきなり土下座?
そもそもこの世界に土下座ってあったんだな。
「どうしたんだ?」
「すまん。
俺はお前に甘さに付け込むような真似をしてしまった。
もう、俺との約束は気にしなくていい。
悪かった。」
「気にするな。
俺も今回の件で気付かされたこともある。
それに、いずれ答えは出す。
それはジンが望むものじゃないかもしれないけどな。」
「それこそ気にするな。
レンが出した答えならミナも納得できるはずだ。
それにレンは俺の友達だ。
どんな答えを出そうと俺は応援すると約束する。」
「それじゃあこの話は終わりだ。
明日は一日観光するから休もう。」
「そうだな。」
これから変われるのか分からないがとりあえずあの3人に任せっぱなしってのは止めよう。
俺は歩き出したぞ、舞華。
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アースガルド滞在2日目
ジンとは和解したからいいが問題はフリッグだ。
いざ、会ったら即監禁になったら笑えない。
「おはよう。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
「おはよう、お兄ちゃん。」
おや?
なんだこの普通の反応。
もしかし、ミナは何も言ってないのか?
「心配しなくても2人にはちゃんと言ってあるわよ。
最終的にはフリッグも納得してくたわ。」
「レンがどうであれ今まで通りと変わりありませんよ。」
よく説得できたな。
俺だったら怖くて何も言えない気がする。
「みんな、悪かった。
俺はミナの兄だからやっぱりミナのことを推すと思うがレンが選んだ相手なら応援する。
もう出過ぎた真似はしない。」
「次は許しませんよ。」
とりあえずまるく収まったか。
俺が原因でなくても皆には仲良くして欲しい。
ここだけ聞くと本当に俺最低じゃね?
堂々と三股発言に加え、その中の1人の兄にも分かって欲しいって・・・・
流石にあの王子は無理だが他にいい男いないものか・・・・
side アリス
今まで通りの空気になってよかった。
やっぱり、お兄ちゃんを取り合っててもお姉ちゃんたちとは喧嘩したくないしね。
そういえば、アリス昨日キスしてもらってないや。
「お兄ちゃん、血貰っていい?」
「いいぞ。」
お姉ちゃんたちも何度も見た光景だから警戒してないね。
それじゃあ、いただきます。
「んっ。」
「こら、アリス!!」
「駄目だよお兄ちゃん。
騒いだら気付かれちゃう。
それに昨日キスしてなかったからその分だよ。」
「はぁ。
2人の時って言っただろう。」
そう言っていても許してくれるんだよねお兄ちゃん。
やっぱり欲しいなぁ。
ずっと一緒にいて欲しい。
お姉ちゃんに影響されちゃったかな?
「それじゃあ、いただきます。」
血も美味しいし、後百年・・・・・
頑張ろう!!
side out
side ミナ
それにしてもアリス油断ならないわね。
他の2人は気付いてないみたいだけど血を吸うふりしてさりげなくキスするなんて。
今は妹として見てるからいいけど成長したら厄介だわ。
今のところ私がちょっと優勢だからってうかうかしてられない。
まぁ、今回は許してあげる。
せっかくの観光だしね。
「それじゃあ今日どこに行く?」
「お城を見てみたいです!!」
王子から狙われてるって自覚あるのかしら?
でも、他に意見は出ないみたいだし
「それじゃあ見に行きましょうか。
けど、フリッグはちゃんと顔を隠しておくこと。」
あの王子のことだからフリッグとレン以外の顔なんて覚えてないでしょうし、こう言ってはなんだけどレンって目立つような顔立ちじゃないし大丈夫でしょう。
「分かってます。
人の王が住むところ、楽しみです。」
テンション高いわね。
城だったら規模は小さいけどアルフヘイムにもあるのに。
まぁ、あそこは会議で使ったり役員が仕事するときに使ったりするものだから、実際にはだれもすんでないし、ただのシンボルみたいなものだけど。
「それじゃあ行くわよ。」
どんなハプニングが待っているか楽しみだわ。
side out
あの夜ミナに平穏は幸せじゃないと言われたが何年もそう思ってきたんだ。
幸せじゃないとしても平穏は嫌いじゃない。
何が言いたいかというと、俺が変わったとしてもやっぱり平穏な一時ってのは必要だと思うんだよ。
それなのに
「なんだこれは・・・・・」
城に向かう途中に張り出された掲示。
内容は
フリッグ・カザミネの情報提供者に褒美を取らせる。
なんという権力の濫用。
いくら王子だからといってこれは許されるのか?
別に俺たちは犯罪を犯したわけじゃないんだぞ、これだけ見たらそう勘違いされても無理ないぞ。
「派手に来たわね。」
「念のために偽名で宿取ってよかった。」
顔は似てはいるが所詮は似顔絵。
顔を知られないようにしてるフリッグの顔が分かるはずないし大丈夫だと思うんだが
「城に行くのは止めないか?
かなり嫌な予感がする。」
予感なんて生易しいものじゃない、これはすでに確信に近い。
「気にしすぎですよ。」
「そうよ。
それにこんな面白そうなことを逃す理由はないわ。」
くっ、やっぱり避けられないのか?
そうだ、この2人だけ行かせるというのはどうだ?
それなら少なくとも俺は巻き込まれることはないはず・・・・・・・無理だな。
この2人が巻き込まれた時点で俺も道連れだ。
こうなったら何もないよう祈るしかないか・・・・・
「大丈夫、お兄ちゃん?」
ああ、俺の癒しはアリスだけだ。
アリスが俺を兄として見てるなら抱きしめたいくらだ。
「大丈夫だ。」
何事もありませんように・・・・・・・・
こう言って何もなかったためしがないんだがな
伏線を張ってみました。
いつか回収すると思いますので期待せずに待っていてください