泣き虫女神との現状把握
「マジか・・・・」
あの女、マジで転生させやがった。
しかも、第2の人生が終わった場所。
しっかりと俺の死体が置いてある。
「よし、死のう。」
武器を創造する力は健在みたいだな。
「駄目です!!」
あれ? 拳銃が消えたんだけど・・・・
仕方ないもう一度。
「だから死のうとしないでください!!」
くそ、やはりいたのか。
「一緒に暮らすって言ったじゃないですか。」
「だから心を読むな。
それに俺はまだ納得してない。
自殺の邪魔をするな。」
「でももう不老不死になってますから死ねませんよ。」
・・・・・・は?
「すまないもう一回言ってくれ。」
「でももう不老不死になってますから死ねませんよ。」
丁寧に”でも”から言ってくれてありがとう。
そして死ね。
「はははは・・・・・」
乾いた笑いしか出てこねぇ・・・・・終わった。
「生きていれば希望はあります、これから一緒に頑張りましょう。」
希望どころか絶望しかねぇよ。
後100年だと? 何が悲しくてそんなに長生きしかきゃならないんだ。
「100年なんてあっという間だから大丈夫です。」
だから心を読むな。
それと神の尺度で考えるな、人の100年は長すぎる。
なにもやる気が出ねぇ、どうせ死ねないならなにも食べなくても平気だろう。
このまま100年寝て過ごすか。
「どうしてそうなるんですか!! せっかく転生したんですから生を謳歌しましょうよ!!」
「だから心を読むなと言ってるだろう!! それにこうなった原因の張本人が言うな!!」
ったく、とりあえず100年寝て過ごすつもりはないがとりあえず少し寝よう。
「ぐすっ・・・・・」
またか・・・・
こいつ涙もろすぎだろう。
「ごめんなさい・・・・・ひっく・・なんでもしますから。」
あぁもう!!
「分かったからいちいち泣くな、ちょっといろいろありすぎて疲れたから少し寝るだけだ。」
「本当に?」
いちいち可愛すぎんだよこいつ。
「本当だ。
まだ諦めるつもりはないがとりあえずいまのところは寝るだけだ。」
寝ると言っても森の中だから寝心地は悪そうだが木に寄りかかって寝るか。
「あ、あの一緒に寝ても良いですか!!」
駄目って言ったらまた泣くんだろうな
「勝手にしろ。」
「それじゃあ。」
なぜそんなにくっ付く必要がある?
突っ込むの面倒だし寝るか。
side フリッグ
はぁ、幸せです。
隣で愛する人が私に寄りかかって寝ています。
神として生まれ一万年、他の神々と比べると千分の一も生きていませんが力だけなら最古参の神々にも負けないほど強い私です。
しかし、レンの前になると力なんてどうでもよくなってきます。
本来なら神は人の世に出てはいけないのですが力ずくで黙らせました。
我が儘で嫉妬深い私ですけどこれからよろしくお願いしますレン。
side out
んっ~。
そう言えば寝てたんだったな。
「起きたんですかレン。」
そういえばいたんだったな。
「ああ、ところでお願いがあるんだが。」
「なんですか?」
「死なせてく「駄目です。」せめて最後まで言わせろ。」
やっぱり駄目だったか。
となるとどうするか、こいつの言う通りならあと百年は生き続けなければならない・・・・面倒だ。
「はぁ、とにかく今俺はどんな状態なのか説明してくれ。」
「えっと、とりあえず百年間は不老不死となります。
なので心臓を貫かれても頭を吹き飛ばされてもすぐに回復します。
もちろん痛みは残りますが。
それに空腹にはなりますが餓死はしません。」
面倒な体になったな・・・・
つまり殺されても死なないということか、拷問にあったら最悪だな。
死ぬ痛みを延々と繰り返されるなんて普通に精神が壊れる。
「他には何かあるか?」
「前の転生の時に望んだ武器の創造が使えるくらいです。
しかし、今のレンが使える物は銃くらいだと思います。」
剣を出したからって使いこなせるわけじゃないってことか。
まぁ、反動が少ない銃ならなんとかなるだろう。
「次はこの世界についてだが、前の世界と違うところは?」
「レンがいた世界と比べると文明はかなり劣っていますがその代わり魔法が発展しています。
なのでお金さえあれば向こうの世界と同様豊かに暮らせると思います。」
魔法か、本当にファンタジーの世界だな。
まぁ、こいつ自身が神様だから今更特に驚くことはないが
「元の世界には帰れないのか?」
「できないことはないですが、向こうの世界ではレンは一度死んでますから不審に思われますよ。」
確かにそうだ。
それに元の世界でお金を稼ごうと思ったら戸籍が必要だからな、こっちはどうだか知らんが魔法があるくらいならギルドくらいはあるだろう。
「大体状況は分かった。
だが、俺は戦闘に関してはまるっきりの素人だ。
魔法があるくらいなら魔物とかもいるんだろう? そういうやつらに捕まったらどうすればいい?」
死なない体と武器を創造する力を使えば勝てないことはないと思うができれば痛い思いはしたくない。
「そこは私が守ります。
これでも私は神様ですから。」
それはありがたいがこんな事態に陥ってるのはお前のせいだぞ。
「とりあえず近くの村か町に行こう。
これからの行動を話しあうのはそれからだ。」
「はい。」
変なことを言いださなきゃ俺好みの女なのに。
「なにか言いましたか?」
「言われた通り心は読んでないんだな。」
「はい。
レンには嫌われたくありませんから。」
こいつはどうして俺なんかのことを気にいったんだろう?
もしかして友達いないのか?
「どうかしましたか?」
「なんでもない。
町や村の方向は分かるか?」
「北西の方向にたくさんの人の気配がしますからそこに行けば大丈夫だと思います。」
「とりあえず行くか。」
「はい♪」
やっぱり泣いているより笑っている方がいいよな。
side フリッグ
寝る前より機嫌が良くなった気がします。
無理矢理転生したことを許してくれたんでしょうか?
ちょっと怖いですけどやはり確かめなければ
「あ、あのレンちょっといいですか。」
「なんだ?」
「その無理矢理転生させたこと怒ってますか?」
「当然だ。」
やっぱりそうですよね。
レンは早く死にたいって言ってたのに私の我が儘でこうしてるんですから怒っていて当たり前です。
うっ・・・泣きそうになってきた。
でもレンを困らせたくないから我慢しなくちゃ。
「はぁ、さっさと死にたいから気にするなとは言わないがこうなったからには仕方ないからもう諦めてるよ。
お前も俺を死なせるつもりはないんだろう?」
当然です。
死んだ人間は魂を一度リセットしますから同じ魂を持っていたとしてもそれはレンではありません。
そしてリセットされたらいくら私でもどうすることもできません。
「それなら泣くな。
そんな奴に俺の望みを潰されたかと思うと気が滅入る。」
あぁ、愛する人に頭をなでられるってこんなに気持ちいいものなんですね。
もう駄目です、こんなに優しくされたら離れられません。
「ほら行くぞ。」
「は、はい。」
あまりの心地良さに呆けてしまいました。
もうこの気持ちは抑えられそうにありません。
ずっと傍にいますレン。
side out
まずい。
どうして俺はあんなことしてしまったんだ!!
たぶんまたあいつの俺に対する好感度が上がってしまった。
このままでは百年経っても死ねるか分からなくなってきた。
だいたい女の涙は反則だ、あんなもの見せられたら男ならだれだって慰めたくなるだろう。
とにかくこれ以上好感度を上げないように気をつけなければ。
「レン、人の気配が強くなってきました。
そろそろ街に着くと思います。」
あれから二時間歩いてようやくか、インドア派にはなかなか堪えるな。
「大丈夫ですかレン?
疲れているようですけど。」
流石に神様だけあってまったく疲れてるようには見えないな。
そういえば今さらだがチート化できないのか?
「なぁ、転生する前に希望をかなえてくれるって言ってただろう。
それで身体強化できないのか?」
「すみません。
それは魂を改ざんするものであまりにも手を加え過ぎると精神に影響が出やすいので三つまでが限界なんです。」
3つ?
1つは武器の創造だろ、体をそのままっていうので2つ目として、残りの1つは?
「俺が望んだことって2つだよな。
残りの1つはどうなったんだ?」
「それは・・・・・・不老不死です。」
なるほど、それがあったな。
まぁいまさらだからしょうがないか
「えっと、その代わりと言っては何ですが私が神術で補助しますからそれで身体への負担はかなり減らせます。」
確かにかなり体が軽くなった。
これなら反動の強い銃でも扱えるだろう。
「これはどれくらい保つんだ?」
「私が傍にいる限り半永久的です。」
それなら大丈夫だろう。
こいつがそう簡単には離れるはずもないしな。
「分かった。
ありがとう。」
かなり驚いた眼で見られたが俺だって普通に感謝くらいはする。
ただその機会が少ないだけだ。
「レン、街が見えました。」
結構大きな街だな。
はぁ、これからどうなることやら。