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不意打ち

「また会いましたね。」


「消えてください。」


とりあえず今の状況を説明しよう。

結局あの日は何事もなく終わり、次の日の朝、アースガルドへと再出発しようと宿を出て最初に目にしたのはこいつだった。

そして、さっきのやり取りとなるわけだ。

それにしても王子がストーカーとかどうよ?


「グレイ・セシリアって言ったな。

単刀直入に聞くがお前は王族か?」


「はい。

やっぱり偽名を使ったほうがよかったみたいでね。」


これで神の力とやらを持っていたら最悪だな。

フリッグの正体がばれでもしたら王族でありながら信仰の街を治める長の跡取りの1人。

担ぎあげられでもしたら面倒くさいのは目に見えてる。


「王子がどうして護衛もつけずこんなところをうろついてる?」


「すみませんが、あなたは?」


「私のこい「フリッグの兄だ。」」


少しは状況を考えろよ。


「それでは将来、僕の義兄になる人ですか。

えっと、なぜこんなところにいるかでしたね。

それは、天啓というか信託というかとりあえずここに来ればなにかあると感じたからです。」


本当に最悪だな。

幸いなのはフリッグが神だと気づいていないところだ。

それなら、後はどうやってこいつを引き離すかだが。


「カザミネさん、僕と一緒になってください。

きっと幸せにしてみせます。」


「おと断りします。

私はレンと一緒にいられればそれで幸せですから。」


ん?

さっきとんでもないことを口走らなかったか?


「でも、こちらの方はお兄さんではないんですか?」


「戸籍上だけで血はつながってません。」


これはやばいなぁ。

片思いをしている相手が片思いしてる相手、これが意味するは


「それでは僕がこの男を倒せば僕のことを振り向いてくれますか?」


だよなぁ。

特に神の力がどうこうで持て囃された王子ならそんな都合のいい展開を考えるよなぁ。


「ありえません。」


「レンと言いましたね。

僕と戦って僕が勝ったらカザミネさんとの関係を切ってください。」


やっぱり止まらないか。


「どうするのレン?」


お前この状況楽しんでるよな?

下手を打てば考えるだけでも恐ろしい事態が待ってるってのに。


「本人の意思を無視していいのか?

まず、フリッグの意思を聞いてからにしてくれ。」


「私はレン一筋ですので。」


これで諦めて


「あなたを倒せばきっと振り向いてくれるはずです。」


くれないかぁ。


「早く構えた方がいいですよ。

これでも僕は神の力を持ってますから常人より遥かに強いです。」


こんな町中でか?

常識を考えろよ。


「まぁ、待ちなさい。

王子の気持ちは分かったわ。

でも、ここで戦ったら被害が出るから場所変えない?」


「そもそも戦う必要ありませんよ。」


「あら?

レンがフリッグを守るために戦ってくれるのよ?

素敵なシチュエーションじゃない。」


「ふぇ!!

そ、そう言われれば・・・・・・・私の為に頑張ってください、レン!!」


あの馬鹿女、簡単に籠絡されやがって。

後で覚えとけよ。


「どうするのお兄ちゃん?

あの人、お兄ちゃんじゃちょっと厳しいよ。

言ってくれればアリスが眠らせてくるけど。」


やっぱりアリスはいい子だな。

本当にあの馬鹿女に見習わせたい。


「アリスが出て、吸血鬼とばれたらそれも厄介だから俺が行くよ。

それに、あいつは単純そうだからいくつか勝つ手段はある。

自分より強い相手と戦う術を見ておけ。」


「頑張ってね、お兄ちゃん。」



side ミナ



ふふっ、面白いわ。

思った通りあの王子様単純ですぐに乗ってくれたし、レンも逃げられない状況だしね。


「どういうつもりだ?」


「言ったでしょ。

思いっきり振り回してあげるって。」


目の前の問題に立ち向かってるときは他のことなんて考える余裕なんてないしね。

その瞬間だけは恐怖なんて感じなくていいでしょ?


「できればもう少し手加減してくれ。

もし負けたらどうするつもりなんだ。」


「その時その時よ。

しっかり今を生きなさい。」


side out



「ジン、ちょっと武器貸してくれないか?」


「別にいいが、レンは刀使えるのか?」


「今回は刀として使うつもりはないから大丈夫だろう。」


造ってもいいんだが俺が刀剣類を造ると脆くて困る。


「そうか。

ほら、負けるなよ。」


「ああ。」


最近ジンがアリスの次にまともに感じてきた。

俺もシスコンになりかけだからか?

それはそれで嫌だがアリス可愛いしなぁ。


「準備はできたかい。」


「できたが、フリッグは諦めた方がいいぞ。」


「そう言っても無駄だよ。

きっと彼女を手に入れて見せる。」


駄目だこりゃ。

自分を過信して、できないことは無いと思ってやがる。

案外簡単に倒せるかもな。


「それじゃあ、始め。」


こうなったら踊ってもらうぞ王子様


side フリッグ


レンが私を巡って戦ってくれてるこの状況。

最高です。

これならあの鬱陶しい人から言い寄られたのは無駄じゃありませんね。

あの人からは神力を感じますがレンならきっと大丈夫でしょう。

今までも、自分より遥かに強い相手に勝ってきたんですから。


side out


side ミナ


う~ん。

送りだしたのはいいんだけど本当に勝てるかなぁ?

噂じゃ王宮の騎士団を圧倒したって聞いてるけど。

ま、なるようになるわよね。

負けたら負けたでフリッグに処理してもらえばいいわけだし。

それに、レンが簡単に負けるとは思えないしね。

楽しませてね、レン。


side out



「神の力を見せてあげます。」


「あぶね!!」


アリスの時の神父との戦いを見ておいてよかった。

あの神父とは比べ物にならないが同じように上から雷みたいなものが降ってきやがった。

しかも、絶対殺す気でやったなあいつ。


「降参するなら今の内ですよ。」


させてくれるならやってるよ。

お前がフリッグを落としてくれたら俺がどれだけ救われるか。


「残念だがストーカーに妹は渡せないんでな。」


さて、反撃開始だ。



side ジン


「残念だがストーカーに妹は渡せないんでな。」


当然だな。

俺だってミナをストーカーになんて絶対に渡さない。

ようやくレンも分かってきたな。


「喰らいやがれ!!」


あれは、閃光弾か。

単純な相手には有効な手段だな。


「くっ、目が!!」


「これで終わりだ!!」


当然無理だろうな。

ホームギルドにいたごろつきとは違ってちゃんと障壁を張ってる。

それもかなり堅そうだ。


「っち!!」


さて、どうするレン?


side out


そう簡単にはいかないよなぁ。


「不意打ちとは卑怯な真似をするね。

だけどもう同じ手は効かないよ。」


もう視力が回復したか。

まぁ、気付いてないだろうがそれも計算通りだ。


「君は彼女に相応しくない。

ここで僕が倒す!!」


これだから自分に酔ってる奴は相手にしたくないんだ。

こっちの話なんて聞かないからな。


「知ってるか?

不意打ちってのは相手に気付かれず、一撃で相手を仕留めることを言うんだ。」


「それなら君の不意打ちは失敗だね。

もう、同じ手は食わない。」


だから単純な奴はやりやすい。

あれが不意打ちなわけないだろう。

あれはただの布石だ。


「そうか?

それならこれはどうだ?」


今の俺はフリッグの加護のおかげで人外の動きができる。

とはいっても地球の人と比べてだ。

この世界の人外と比べると圧倒的の劣るがな


「ただ突っ込んでくるだけで僕に勝てると思ってるのかい?」


「ああ、喰らえ!!」


「同じ手は食わないといったはずだよ。」


「どうかな?」


side ミナ


なるほど。

最初の一撃はただの様子見だと思ってたけど、次の一手の布石にもなってたってわけね。

閃光で目が潰せるか、物理攻撃が効くか試すだけじゃなく、レンが投げつけるものは閃光だけを発すると思い込ませる。

その上でもう一度同じようなものを投げ今度は光と、音。

あれを至近距離で喰らったらしばらく耳は使えないし、三半規管がやられてバランスがとりずらくなる。

そうなれば、いくら目が見えてもレンが背後に回れば視界から姿を消せる。

そして、いくら神の力で守られているとはいえ、あの至近距離で本気で振り下ろせば傷一つくらいは付けられる。

そこまでいけば後は刃に毒でも塗っておけば一瞬だけでも集中が乱れて障壁は無くなる。

流石ねレン。


side out


終わったか。

力だけの単純な相手でよかった。

これがジンなら耳を潰された時点で魔法を使って俺を遠ざけようとするだろうが苦戦を知らないこいつはその事態に混乱するだろうからな。

実際俺はこいつに勝ててもジンには勝てないしな。


「レン、やっぱり私の為に勝ってくれたんですね!!」


疲れて何も言う気力が湧かない。


「とりあえずあいつが目を覚ます前にアースガルドに行くぞ。」


「はい♪

大好きですレン。」


結局、この笑顔に誤魔化されるんだよな。


タグにハーレムつけた方がいいのかな?

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