女だけの平穏
side フリッグ
「それでは行ってきます。」
「いってきます。」
「ああ、俺も夜になったらジンと飲みに行くから夜は頼むぞ。」
ニーズヘッグを一掃してからかれこれ1週間が経ちました。
その間ミナはあちこちへの根回しに忙しそうで、私たちもお金に余裕があるとはいえアリスが新しく住み始めるので仕事に追われていました。
とは言いましても、私が本気を出せばどんな仕事もすぐに終わってしまいますし、新しい戦力としてアリスも加わり前より効率的に仕事をこなせるようになってます。
もちろん、レンも実力はあげていますがアリスは真祖の吸血鬼、私が指導しているのでもうレンでは太刀打ちできないくらいの力を持っています。
そして今日は仕事をお休みして前に言っていたアリスの服を買いにミナと街を巡ることになってます。
ついでに私の服も買ってこいとのことでしたので思いっきりおめかししてレンを驚かせましょう。
「それじゃあ行きましょうか、アリス。」
「うん。」
それにしても可愛いです。
これでレンのことを恋愛対象として見てなければ最高なんですが今更言っても仕方がないのでミナと同様諦めてます。
次は許しませんけどね。
side out
side ミナ
ようやくニーズヘッグの件に片がついて今日はようやく休める。
こういってはなんなんだけど私って結構天才の部類に入ってると思うのよ。
それに、生まれがいいからあんまり友達っていなかったし、1人が楽かなと思ってたけどやっぱり友達はいた方がいいわね。
フリッグとは友達でもありレンをとりあうライバルでもある。
アリスは友達というより妹っていう感覚が強いかな、同じくレンをとりあうライバルだけど。
それにしてもレンは罪な男ね。
こんな美少女3人に迫られて誰にもなびかないんて。
まぁ、その方が燃えるからやりがいはあるんだけどね。
「ミナ、待ちましたか?」
「今来たとこよ。
それじゃあ行きましょうか。」
今日は女だけで精一杯楽しみましょうか。
side out
side フリッグ
「へぇ~。
アリスってやっぱり凄いんだ。」
「流石、真祖の吸血鬼といったところですね。
私は魔力と神力を両方使いますけど魔力だけなら将来的に私に匹敵する素質があります。」
神は本来魔力を有しませんが極稀に魔力を持つ神が生まれることがあります。
それでも普通は神力しか使わないので魔力は衰えてしまうんですけど私は前代未聞の魔力保持者でしたから衰えるどころか日に日に増し、神力の10分の1くらいの魔力を持ってます。
その魔力だけで中級程度の神格を持つ神になら余裕で勝てます。
流石に吸血鬼と神では相性が悪いでしょうからアリスでは勝てないと思いますがいずれ下級の神なら倒せるところまで行けるかもしれません。
「戦闘面はフリッグが指導してるんでしょ?
それじゃあ、学問の方は私が指導してあげる。」
「どうしますか、アリス?」
「おねがいします、みなさん。」
「私もおねえちゃんって呼んでくれていいのに。」
「みなおねえちゃん?」
「ねぇ、フリッグ、アリス引き取らせて。」
「駄目です。」
気持ちは分かります。
首をかしげてあんなことを言われたら誰だってそうなります。
「まぁ、アリスはレンの近くにいないとお腹すいちゃうしね。」
最近はレンの血以外でも食べるようになりましたが私と同じく食物から栄養を摂取することはありません。
その代わりに血から必要な栄養を摂取するので1日最低1回はレンから血を貰う必要があります。
「アリスに学問を教えるのはいいとして、いつならいい?」
「レンと相談してみないと正確には分かりませんが仕事を早めに切り上げてからなら大丈夫だと思いますし、アリスのこと溺愛してるレンなら仕事より学問の用を優先させそうです。」
もちろん溺愛といっても妹としてです。
女として溺愛してるなら最低でも監禁ですね。
「分かったわ。
とりあえず語学から生活に必要な常識、アリスは頭もいいみたいだから私やレン見たいに頭脳戦で戦えるように指導してあげる。」
言っておきますが私は頭が悪いわけではありませんよ。
レンとミナが良すぎるだけです。
そもそも私に頭脳戦なんて必要なかったんですから出来なくて当たり前です。
「がんばる。」
それにしても可愛いです。
ミナも悶えてますね、分かります。
アリスの可愛さはもう凶器ですね。
レン以外のことならアリスの言うことなんでも聞いてあげますよ。
「ねぇ、君たち、暇なら俺たちと遊ばない?」
side out
side ミナ
「ねぇ、君たち、暇なら俺たちと遊ばない?」
まさかこの街でまだ私に軟派しようとする奴がいるなんて驚きね。
前に1度、しつこく軟派されたところを兄さんに見つかって街中の男を脅してたからもうないと思ってたんだけど。
まぁ、私もだけどフリッグも相当な美少女だし、アリスだって成長したら私たちくらいの美少女になることは間違いない。
だから、男として声をかけたいのは分からないわけじゃないけど
「お断りします。」
私たち全員レンのことが好きだからねぇ。
時々、レンって女に興味がないのかって思うくらいよ。
「まぁまぁ、今日1日だけでいいからさ。」
それにしても神と真祖の吸血鬼って随分豪華よねぇ。
街の跡取り娘って随分と小さく感じるわ。
「じゃま。」
しっかり躾ができてるのか無暗に力を振るおうともしないし、なにより可愛い。
どうにか来てくれないかなぁ。
「お前らぁぁ!!」
やっと来たわね。
「俺の妹に手を出すとはどういうことだ?」
まさか2度もこの光景を見るとは思わなかったわ。
レンもアリスに手を出されたらこうなるのかしら?
「な、なんだあいつ。」
「逃げようぜ。」
「待てこらァ!!」
これでまたしばらく寄ってこないでしょう。
「さぁ、行きましょう。」
2人とも意外と反応薄いわね。
普通だったらどん引きしてもおかしくないんだけど。
side out
「お邪魔します。」
「ん、もう帰ったのか?」
「あれ? 今日はジンと飲みに行くんじゃなかったんですか?」
「おにいちゃん、おなかすいた。」
「そうか、ほら来い。」
最近何度も噛まれてるからか痛みに慣れたおかげで血を吸われることになにも違和感を覚えなくってる。
まぁ、多少痛くてもアリスの為なら我慢するがな。
「ジンの奴がどこか行ったらしくて今日は中止だと。」
ジンがこないとは予想外だったな、なにかあったんだろうか?」
「ああ、たぶんそれ私たちのせいね。」
こいつが絡んでいるということは例のあれか。
「軟派でもされたのか?」
「御明答、たぶん今頃街中を走り回ってるんでしょ。」
あいつのシスコンはそこまでなのか・・・・・
俺もアリスに手を出されたらジンみたいになるのかなぁ。
「何か食うか?
有り合わせでよければ作るぞ。」
「そうね、お願いするわ。」
「手伝います。」
「アリス、ちょっと後ろに回ってくれ。」
ちなみにアリスは一度血を吸い始めるとなかなか離れない。
だから、俺が動くときは後ろにしがみついて血を吸ってもらっている。
「レン、いろいろ服を買ったので後で見てくださいね。」
「それいいわね。
私も新しいの買ったし、レンの評価を聞きたいわ。」
「ありすも。」
ミナだけじゃなくアリスも反応するとはこの前のは冗談じゃないみたいだな。
もちろん、俺はアリスを妹のようにしか思っていない。
俺はロリコンじゃないしな。
「言っておくが俺はセンスもなければ、今までそんなものに評価をつけたこともないぞ。」
「そんなの関係ないです。
他の誰かの評価よりレン1人の評価だけあればいいんです。」
「それには同感ね。
やっぱり好きな人の好みは知っておきたいじゃない。」
「どうかん。」
逃げ場がないな。
そもそもお前らは元が良すぎるんだから似合うとしか言えないだろう。
「分かったよ。
その代わり気のきいたこと言えなくても文句は言うなよ。」
特にフリッグはな。
俺がミナやアリスを褒めたら切れるようなことは無いようにして欲しい。
「それじゃあご飯を食べたら早速やりましょう。」
「それなら、私も手伝うわ。」
「ありすも。」
平和だなぁ。