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神罰

「動きはあった?」


「いや、大方専門家の用意に手間取ってるだけだろ。」


アリスを狙う輩が出た時から毎日行っている定例報告。

もちろん俺とミナの2人だけだ。

アリスは頭がいいから会話の断片で理解するだろうからな。


「そういえば最近ジンを見ないがなにかあったのか?」


「一応兄さんは長男だからね。

いずれ長を継ぐ可能性があるから覚えることがいろいろあるのよ。」


あのジンかねぇ。

あいつはそういう政治より街を外敵から守る職業が向いてる気がする。


「ミナはいいのか?」


「私?

私は覚えることはもうないから。」


哀れだなジン。


「そういえばレンに接触してきた奴の素性が分かったわ。

一応、戸籍はアースガルド、この国の首都ね。」


ちなみにアースガルドは信仰の国だそうだ。

実際近くに神がいる俺にしてみればあれを信仰している人たちが可哀相になってくる。


「それは本物か?」


「さぁ?

たぶん偽造じゃないかしら。

戸籍を作る時に一応魔力で本人確認できるけど、最近は魔力を誤魔化す物があるらしいから複数戸籍を持っていてもおかしくないのよ。」


当然だが戸籍は1人につき1つ。

登録するときに魔力で既に持っているかそうでないかは判断するらしい。


「下っ端に偽造戸籍か。

思ったよりでかいのが釣れるかもな。」


「それはそれで楽しいそうだからいいんだけど、そういうとこってお偉いさんに繋がってるから決定的証拠を叩きつけないと壊滅は厳しいわよ。

そりゃあ、フリッグとアリスがいれば物理的な壊滅はできるでしょうけどそれはレンが嫌でしょう?」


最悪フリッグに頼むつもりではあるができれば敵であっても殺しはやりたくない。

どんな奴にも家族や友人はいるものだ。


「そこはミナの出番だろ?

もみ消そうとした証拠をつかめばこの街の膿を取り除ける。」


「もとからそのつもりよ。

私はレンのことも好きだけどこの街も好きだからね。

ついでに膿も切り捨てさせてもらうわ。

そのためにもアリスを狙っている奴を生きたまま捕獲してね。」


確かにきちんと言い聞かせておかないとフリッグが殺しはしないまでも廃人くらいにはするかもしれない。


「努力はする。

ただ、フリッグはときどき制御できなる時があるからな。」


「厄介な娘に惚れられたものね。」


「それはお前もだ。

それにあいつが制御できなる時は基本的に好意を持つ奴になにかあった時だけだから、お前が変な奴に絡まれたら暴走するかもしれないぞ?」


「それは嬉しいわね。

私も気をつけるわ。」


フリッグもミナも友達いないみたいだから嬉しいだろう。

どっちも人付き合い苦手そうだしな。


「それじゃあ、またな。」


「ええ、またね。」


さて、そろそろだと思うんだが。



side ミナ


接触から3日。

そろそろ来るころね。

ふふっ、やっぱり私の勘は当たってた。


「面白くなってきたわね。」


本当に最近は毎日が充実してる。

いろいろな問題について考えたり、動いたり。

それにフリッグってういう友達もできたし好きな人もできた。

まぁ、今のところ脈なしだけど。

でも、レンは大丈夫かしら?

確かにアリスは狙われるでしょうけど居場所が分からなければ捕まえようがない。

居場所を知っていてもレンを脅せば手に入るかもしれないと考えるでしょうし。

ちなみに私に手を出そうものならこの街すべてが敵になる。

私はいろいろな意味で目立つしね。

私を公衆で誘拐なんてしようものなら国が動くでしょうし、そうなればいくら大きい組織でも危険にさらされる。

ま、レンならどうにかするでしょう。


side out



「動くな。」


やっとか、待ちくたびれたぞ。


「吸血鬼はどこだ?」


「何のことでしょう?」


「とぼけるな。

居場所を吐け。」


やっぱりフリッグの結界は破れなかったか。

いや気付かれなかったという方が正しいか。


「わ、分かりましたから刃物を突き付けないでください。」


「逃げたら殺すぞ。」


やっと掛かった。

俺が1人でうろついていることくらいこいつら把握済み。

そして、アリスが見つからなければ俺に聞くしかない。

だから、それを逆手にとって敵を引きつける。


「こっちです。」


神の裁きを受けろ。


side フリッグ


来ましたね。

相変わらずレンのやることは凄いですね。

すべてレンの手の上で事が運んでいます。


「アリス、準備はいいですか?」


「うん。」


さて、行きましょうか。



side out



「おにいちゃん!!」


「レン!!」


「おっと、動くなよ。

動けばこいつを殺す。」


三流が。

俺が何の対策もなく捕まっていたと思ってるのか?

お前らはアリスの力だけを警戒してるだけだろうからな。

つまり、アリスの力を発揮させなければ後ろについてる奴等は引っ張ってこれない。

そして、引っ張ってきたところを計画のイレギュラーであるフリッグに捕まえさせるためにもフリッグの力は使えない。

つまり、俺がどうにかするしかないわけだ。

そこまで分かっていれば拘束された時のことを考えておけばいい。

まさか、後ろから首に刃物を突き付けるだけで両手両足を自由にしておくとはな。


「なぁ、あんた下っ端だろう?」


「なに?」


まずは銃を創造、こいつから死角になっている足を撃ち抜く。


「ぐあぁあぁあ!!」


そして、拘束が緩んだ隙に刃物を奪って逆に突きつける。


「さて、お前らのバックのことを話してもらおうか。」


「な、お前、まさかわざと・・・・」


「ようやく理解したか三流。

俺が狙われることくらい分かっていた。

後はアリスさえいればお前らは敵じゃないしな。

さぁ、話してもらおうか。」


「三流はお前だ。

私たちが吸血鬼に対して何の対策もないと思ったか?」


どこまでも三流だな。


「なに?」


芝居を打つのは面倒だな。


「こういうことだよ。」


「っち!!」


いかにも神父様って感じだな。

しかし、神父様が魔法ってどうよ?


「汚らわしい吸血鬼め、神の名のもとに粛清してくれる。」


ようやく俺の出番は終わりか。

やりすぎるなよフリッグ。


side フリッグ


神の名のもとにですか・・・・

なかなか笑える冗談ですね。

たまにですが人の身で神力を有する人がいる時があります。

そんな人は神子として神の言葉を受け取る役目なんかをやってたりしましたね。

まぁ、ほとんどが偽物ですがこれは本物のようです。

流石に神術が相手ではアリスは厳しいでしょう。

あれは魔の者に対してはより強い効力を発揮しますからね。

ですが、私がそれを許すと思いますか?


「どけ女。

これは神の意志だ。

どかぬならお前にも神の裁きが下ることになるぞ。」


「知ってますか?

神も結局人と大して変わらないんですよ。

いえ、力を持っているだけで人よりつまらないものかもしれないですね。」


くだらないプライドや嫉妬、進化し続ける人の方がよっぽど凄いです。


「貴様、神を侮辱するか。

いいだろう、貴様にも神罰を与えよう。」


下級の雷ですか、いかにもそれらしいですが・・・・・

この程度が神罰?


「なに!!」


笑わせてくれますね。

最高位の女神であるこの私にその程度で神罰?

私を罰したいのなら最高神を連れてくるくらいして欲しいものです。


「消えてください目ざわりです。」


side out



圧倒的だな。

そもそもあいつ何したんだ?

立っているだけにしか見えなかったがいつの間にか神父は吹き飛んでた。


「な、なんだあいつは!!」


「おっと、逃げるなよ。」


こいつも一応捕まえておかないとな。


「フリッグ、そいつを拘束しておいてくれ。」


「はい。」


さて、後は鬼が出るか蛇が出るか。

できれば厄介な組織じゃなきゃいいんだがな。


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