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折れそうな心

仕事という建前の元、ヴァナヘイムへの観光旅行から帰ってきたたわけだが・・・・


「どうしてあなたたちがいるんですか!!

ここは私とレンの愛の巣です!!

早く出て行ってください!!」


誰と誰の愛の巣だ。

言っておくが俺は誰の物にもなるつもりはないからな。


「私がいる限りこの街では近親婚はさせないって言ってるでしょ!!

レンは私が婿にもらうんだから邪魔しないで!!」


「私とレンは血の繋がった兄弟じゃありません!!

そして、レンと私は将来を誓った仲なんですからそんなこと言われても迷惑なだけです!!」


お前と何を誓った?

不老不死と言う呪いは受けたが。


「レン、これ美味いな。

どうやって作った?」


「ああ、それはこれとそれを混ぜただけだ。

簡単だが美味いだろ。」


「ほー、お前料理もできるのか。

これなら良い嫁を貰えそうだな。

もちろんミナはやらんぞ。」


なんだかんだでジンとは仲良くなったがこのシスコンはどうにかして欲しい。

そもそも、お前の妹なんていらない。

そういうとこいつはうるさいから言わないが。


「レン!!

この人たちの記憶を抹消する許可をください。

大丈夫です、違和感がないように私の全身全霊の力を使ってこの街全体から私とレンのことをぼかしてみせます。」


なんという力の無駄遣い。

神の力ってそんな個人的な理由で使っていいものなのか?


「そこのばかな妹さんより私の方が絶対良いわよ。

私ならレンの平穏を保てるようにありとあらゆる権力を使って守ってあげる。」


こっちは権力の濫用。

同じく個人的に使っていいものなのか?


「レン、今晩どうだ。

良い店紹介するぜ。」


「ああ、今夜は酔いたい。」


なんだろう、ジンがまともな奴に見えてきた・・・・・・・・・・シスコンなのに。

ちなみに俺は酒は未成年だがそこそこ酒は飲める。


「どうしてさっきからその人とばっかり話してるんですか!!

前にも言いましたけどレンはもっと私を気遣うべきです!!

いい加減にしないとまたキスしますよ!!」


誰かこの馬鹿女をどうにかしてくれないかなぁ


「妹さんばっかりずるい!!

私もキスする!!」


普段は凛々しい奴なのにどうしてこう幼児退行するかなぁ


「レン、分かってると思うがミナに手を出したら・・・・・」


「分かってる。

お前の妹は俺には到底釣り合わない。」


「よく分かってるな。

ミナは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


こいつと付き合いだして数日だがこいつの扱い方が分かってきた。

妹を馬鹿にするのは許せない、しかし褒めすぎると妹を狙っていると勘違いする。

つまり褒めながらもその気はないと言えば後は妹の自慢話に入る。

もちろん無視だ。


「レン!!」


おっと、3度目ともなれば俺も学習する。


「前に言った言葉を忘れたのか?

俺が応えるまでキスなんてするなと言ったはずだが。」


死に続けるなんて言葉を使えないから曖昧になるがそれでも理解できるだろう。

まぁ、2度目の時はこいつが怖すぎて何も言えなかったんだが。


「それじゃあ私と・・・・」


「レン・・・・・」


「分かっている。」


それは死亡フラグへの一直線だ。

はっきり言ってジンはかなり強い。

真っ向から戦ったら俺なんかじゃ3秒で無力化される。

いざとなったらあいつが助けてくれるだろうがジンを殺すような真似はしたくない。


「とりあえず今日はもう遅いからお前ら兄弟は帰れ。

仕事云々はまた後日だ。

俺も長旅で疲れてるんだ。

少しは休ませてくれ。」


「・・・・分かった。

また明日ね。」


「またな、レン。

お前とはいい友達なれそうだ。」


やっと帰ったか。


「レン・・・・・・・」


まだこいつがいたな。


「レンは平穏が大事じゃないんですか!!」


「確かに俺にとってそれは大事なもので俺が唯一欲しいものだが前にも言った通り俺の命が他の命と比べられないように俺の願いも同じだ。

流石に波乱万丈な生き方はしたくないが俺が叶えてやれる願いは多少俺の平穏を削っても問題ない。」


「もういいです!!」


怒らせたかな・・・・・・

まぁ、あれだけ尽くしてもらって悪い気はするがそう簡単に人は変わらない。

俺が特別ってわけじゃないんだろうが特に俺みたいな人は人生がひっくりかえるようなことでもない限り変われない。

悪いなフリッグ。



side フリッグ


腹が立ちます。

あの女にはもちろんですがレンをまったく変えることができていない自分自身に。

今頃レンは私を怒らせてしまったことに罪悪感を感じているんでしょうね。

本当はいけないことなんでしょうがそれでもレンが私のことを想ってくれることに嬉しくなってしまいます。


「レン・・・・」


どうやったら自分のことを大切にしてくれるんでしょうか?

どうやったら永遠を信じてくれるんでしょうか?

どうやったら生きようと思ってくれるんでしょうか?

どうやったら


「振り向いてくれるんですか?・・・・・・レン」


side out



さて、とりあえず厄介な問題がいきなり増えた。

まずは月に一回、あの兄妹を護衛しながらの旅をする必要があるってこと。

これは約束してしまったからしょうがないか。

次に、妹からの告白だ。

これは本当に厄介だ。

これがあるせいであいつは切れるし、ジンは面倒くさい。

どうにかならないものか・・・・・・

次はこの兄妹の立場だ。

新参者の俺たちのもとに街を治める長の子息子女が来たということで少なからず噂になってる。

これからもあの兄妹はここを訪れる可能性が高い。

噂だけで終わればいいんだが長に取りいる為に俺たちに言いよってくる奴が現れる可能性だってある。

最後はこいつだ。

昨日のことがあったからか空気が重い。

これから百年生きる可能性があるのにこの空気はきつい。

他にもこまごまとした物はあるんだがそれは少しずつ解決していけば問題ない。

とりあえず一番最初はこいつとの問題だな。


side フリッグ



「なぁ、昨日は悪かった。

だから機嫌直してくれ。」


「何に対して悪いと思っているんですか・・・・・」


悪いのは私なのに。

レンを困らせばかりいるのは私なのに・・・・


「それは俺がお前の気持ちを知っていながらあいつの願いを断れなかったからだ。

それで怒ってるんだろ?」


「違います。」


私は怒ってなんかいないんです。

逆に申し訳に気持ちでいっぱいなんです。


「それじゃあ、なんだ?

お前は俺の平穏の一部なんだ。

その一部がいつもどおりじゃなかったら困るんだよ。」


「レンが・・・・・・・レンが自分を大切にしないからです。」


「そのことか。

それはお前が気にすることじゃない。」


どうして怒ってくれないんですか?

私はレンを無理矢理生かして苦しめてるのに、レンから平穏を奪ったのに!!

私がレンを殺さなかったら退屈で平和で繰り返される日常を過ごせていたのに!!


「どうして・・・・ひっく・・・・レンは・・・ぐす・・・・そんなに優しいんですか・・・・・」


side out


参ったな。

女の涙に弱いってこと、お前は知ってるだろう?

それに俺は優しくなんかない。

俺のはすべて偽善だ。

自分を犠牲にして、誰かを助けてこんな俺でも生れた価値が、生きている価値があるんだって実感していたかっただけだ。

俺が生きて犠牲になった命に価値を持たせたかった、俺の死に意味を持たせたかった。

今だって罪悪感を消したくてお前を慰めてやりたいと思ってる偽善者だ。

それが女で美少女だったら罪悪感だって大きくなるからお前たちの涙には弱いだけなんだよ。


「なぁ、お前は俺を転生させたこと後悔しているのか?」


似たような質問を前にもしたな。


「・・・・うっ・・・・・分かりません。

ぐすっ・・・・レンが好きで・・・・・ひっく・・・・ずっと一緒にいたいんです。

でも・・・・・・私はレンを苦しめたくないんです。」


なるほど。

こいつは折れかかってるのか、俺を変えられないと、俺に生きる喜びを教えてやれないと。

まったく、お前がそこまで俺に尽くす必要はないってのに。


「お前が背負う必要はないんだよ。

別に俺が頼んだわけでもないし、死ぬ前と比べても少し長生きするだけで結局たいして変わりはしない。

それにお前の願いは完全に叶えてやれないが、自暴自棄になったりはしないから。」


別に俺は騒がしいのが嫌いなわけじゃない。

どれだけ騒がしくても俺がそれを嫌いじゃなくて毎日繰り返されるならそれは俺の平穏となる。

駄目なのは問題を抱え続けてることだ。

それは平穏じゃない。

だからこそこいつにはいつも通りに戻ってもらわなきゃ困る。


「レンは私が邪魔だって思わないんですか?」


「俺が女の涙に弱いって分かって聞いてるのか?

そんなことを聞くならまず泣きやんでから聞け。」


「はい。」


ようやく泣きやんだか。


「レンは私が邪魔だって思わないんですか?」


「思わないな。

お前が死なせてくれるならどうでもいいんだが俺が生きる上でお前の存在は必要不可欠だ。」


こいつがいないとまともに仕事がこなせない。

アルフヘイム周辺の魔物のレベルはこの国でトップレベルらしい。

多少慣れたとはいえ1人でそんなところに行く勇気なんてない。

今気付いたがこれ聞き様によっては告白に聞こえね?


「つまりレンは私が欲しいということですか?」


まずい、やっぱり勘違いしてやがる。


「誤解するなよ。

俺が言っているのはあくまでお前がいないと仕事にならないという意味だ。」


「紛らわしい言い方しないでください!!

せっかくレンが私になびいたと思ったのに・・・・」


残念だがお前のようなヤンデレもあの妹のような幼児退行するやつはストライクどころか暴投でボールを捕ることさえできないところだ。

そしてさらに残念ことがこいつらの外見はストライクと言うことだ。


「話はそれたが別に俺はお前が邪魔だとも今の生活が苦しいとも思っていない。

死にたいというのは一回死ぬ前も同じだ。

そもそも苦しめたくないんだったらさっさと俺を死なせろ。」


そうなれば俺は何も考えずに終われるんだが


「それは嫌です。

でも、私はレンに負担をかけているわけではないんですね?」


精神的な部分では相当かかってるがな。


「お前がもう少し自重してくれれば非常に助かるところだが、もう半ば諦めてる。」


「すみません。

私はこの想いを抑えることも抑えるつもりもありません。」


「それなら今まで通りに戻れ。

俺を変えるだの惚れさせるだの言ってろ。

それが今の日常で平穏だ。」


「はい!!

これからもレンを変える為に尽くします。」


だから尽くす必要はないというのに。

まぁ、とりあえず問題の1つは解決した。

あとはあの兄弟、というか妹の方だな。

ジンはそれなりに抑制は効くがあの妹はまったくだからな。


「レン、いい加減に名前で呼びませんか?」


断ってもいいんだが今更こいつの気持ちなんてそうそう変わるわけでもないようだし特に断る理由もないな。


「分かった。

その代わり無駄にはしゃぐなよ、フリッグ。」


「はい♪」


言った傍からはしゃぐな・・・・

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