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ヴァナヘイム その③ 新しい日常

ヴァナヘイム滞在3日目


最終日も結局観光以外することがない、だがせっかく滅多に来ない旅行にきたんだ。

存分にヴァナヘイムを堪能しよう。


「あっ、やっと見つけた。」


いきなり出鼻をくじかれたな。

なぜお前がいるんだよ?

お前が近づく度にこいつの機嫌がどんどん悪くなるんだよ。


「なんの「何の用ですか?」・・」


こいつ最近切れるの早くないか?


「昨日助けてもらったお礼にこの街のいいところ案内しようと思って。」


「結構です。」


俺は口出ししない方がいいんだろうな。


「妹さんには聞いてないわよ。

どう? この街には結構来てるから良いところ知ってるわよ。」


ここで俺に振るのか?

さっきから重力が10倍になったんじゃないかってくらい体が重い。

ここで誘いに乗ったらどうなるのか気になるところではあるがあいにく俺はそこまで勇者じゃない。


「気持ちは嬉しいが昨日の分までこいつの機嫌を取ってやらなきゃいけないからな。」


流石に昨日のことを引き合いに出せば強くは出れないだろう。


「それこそ昨日のお返しにいろいろ案内してあげる。」


「聞いてなかったんですか。

私はレンと2人きりがいいんです。

昨日のお返しと言うなら邪魔しないでください。」


これはやばい。

そろそろ引いてくれないとこいつがどんな行動に出るか分からない。


「そういうことなら今日は諦めてあげる。」


今日は? 諦める? 聞きたくないような単語が・・・・


「言っておくけどアルフヘイムは近親婚は認めてないわよ。」


「ご心配なく。

私とレンは戸籍上だけの兄妹ですから。」


これはあれか?

漫画や小説でありがちな修羅場というやつか?

どうしてこうなる?

俺が何をした?


「それじゃあね、レン。

あなたのこと好きになったみたい。

また会いましょう。」


とんでもない爆弾を投下していきやがった・・・・


「レン、分かっていますよね?」


なにを? とは聞けない。

そんなことを聞いたら昨日の再現どころじゃ済まなくなる。


「大丈夫だ。

俺が自ら平穏を崩すような真似をするはずがないだろう。」


「そうですよね。

レンは私が変えるんです。

私だけが・・・・・」


こいつマジで怖すぎる。

こいつもあの女も滅多に見れない程の美少女だというのに好きと言われてもまったく喜べない。

どう転んだとしても受ける気はないんだが、それを知ってなお迫ってくるから厄介だ。

どうして俺の周りの女は美少女率が高いというのにこうも面倒な奴ばっかりなんだ。


「とりあえず今日が最後だ。

時間がもったいないから行くぞ。」


なにもせずこの場に留まるより行動していた方が気が紛れて落ち着くだろう。

そもそも落ち着いてくれないと俺のいろいろなものがやばい。


「はい。」



side フリッグ



あの女どうしてくれましょうか・・・・・

レンの手前殺すどころか記憶を操作することもできません。

もちろんレンにばれないように好意だけを取り除くことはできますが勘が鋭いレンにばれる可能性がありますし、なによりレンの主義に背くことはできません。

いっそのこと既成事実を・・・・

しかし、レンは快く思わないでしょうし。

結局、早くレンを落とす必要がありますね。



side out



なんだ?

さっき俺の貞操の危機を感じたんだが・・・・・

気にしたら負けのような気がするな。

それにしても息抜きに来たつもりだったのに心休まる時がない。

こいつが早く諦めてくれればいいんだが、難しいだろうな・・・・


「どうかしましたか?」


「なんでもない。

それより何か食いたい物あるか?」


「レンが食べたいものでいいですよ。」


それじゃあ適当に食べ歩きでもするか。

せっかく来たんだから楽しまなきゃ損だしな。

ここは街の中心街に向かえば見渡す限り飲食系統の店ばかりだ。

ちなみにどこの店もかなり美味しいからいくらでも食べられる。

あれ美味そうだな。


side フリッグ


美味しいですね。

どうやってこの味を出してるか分かればレンを満足させてあげられるのですがそれにしてもやはり人はすごいですね。

神は世界を管理するものとして均衡を保つ必要がありますからどうしても停滞的になりがちです。

だから日々進化し続ける人というものは素直にすごいと思います。


「次は向こうの方に行ってみるか。」


「そうですね。

こっちの方はあらかた見終わりましたから。」


私ももっと自分を磨いてレンに振り向いてもらえる努力を続けましょう。

そして、いつかレンが平穏の為じゃなく私を求めてくれるように。


side out



なんだかんだでヴァナヘイム滞在が終了しアルフヘイムへ護衛をしながら帰ることになった。

それは仕事だから別に問題はない。

だがこの状況は何だ?


「聞いているのか!!

よくも俺の妹を毒牙に掛けやがって!!」


「兄さんうるさい。

レンは私を助けてくれただけっていってるでしょ!!」


「私とレンの時間を邪魔しないでください!!」


ヴァナヘイムを出発することになった時、こいつが俺の所に来て魅せつけるように腕を取ったと思ったら、こいつの兄が突然切れ出して、いつもの通りあいつは切れた。


「こうなったら決闘だ!!

ミナが欲しかったら俺を倒してからにしろ!!」


「いい加減にしろシスコン!!

そもそも俺はお前の妹に興味なんてない、こいつの関係は仕事だけだ!!」


「お前も男なら少しはミナの魅力に気付け!!」


「お前は俺にどうして欲しいんだよ!!」


妹想いのの良い奴だと思っていたがただのシスコンだったとは。


「兄さんのことは良いからこれからのことを話しましょう。

とりあえず式はいつ挙げる?」


「レンは私のものです!!

あなたなんかが入り込む隙間なんてありません!!」


「あなたは妹でしょ!!

それなら兄の幸せを願って私に譲りなさい!!」


「だから戸籍上の関係だけです。

その内兄弟じゃなくて夫婦に変わりますから諦めてください!!」


「なんでお前ばっかりこんな美少女の妹にもてるんだ!!」


頭痛くなってきた・・・・・

これって帰っても俺の平穏ってあるのか?

せっかく変わらない日常を手に入れてたのにたった数日で崩れ去るとは・・・・

確かに平穏ってのは絶妙なバランスで成り立っているものだがここまで早くくずれることはないじゃないか・・・・


「そもそもレンは平穏が一番いいんです。

あなたたちのような厄介事の塊がレンの近くにいたらレンの心が休まりません!!」


確かにそうなのだが、その厄介事の塊にお前も入ってるってこと忘れてないか?


「それじゃあ平穏が一番じゃなくなればいいんでしょ!!

私が変えてあげるわよ!!」


「そんなに簡単にいくなら私だって苦労してません!!

そしてレンを変えるのは私だけの役目です!!」


どうするよこの状況。

間違いなく家に帰ってもこの調子だろう。

こうなった以上、こいつらを含めた新しい日常を安定させる必要があるんだが厄介事の塊を抱え込む日常が安定するはずがない。

そうなるとやっぱりこの兄妹をどうにかする必要があるわけで、こいつに頼めば嬉々として記憶を消すだろうがそうするとまた罪悪感に悩まさせることは目に見えてる。


「レンからも言ってやってください!!」


「どうなのよ!!」


「俺のミナが・・・・」


お前らまだやってたのか、それと兄よ見苦しいぞ。

しかし、これはチャンスだ。

あくまでこの兄妹は俺の言うことは聞いてくれるらしい。

つまり俺が断れば仕事だけの関係になるだろう。

そうなれば


「駄目なの?」


俺は全人類の男に聞きたい。

美少女が涙目で上目づかいで頼まれて断れるだろうか?

無理じゃね?


「だ、駄目じゃないができるだけ厄介事は持ち込まないでくれ。」


「うん!!」


そんな目で見るな。

お前だって似たような手で俺に妥協させただろう。

くそ!! どこで選択肢を誤った。


「そういうわけでよろしくね、レン、ついでに妹さん。」


どうしてこいつはいちいち挑発するんだろうか。

お前らがいなくなった後、こいつが起こす行動に戦々恐々するのは俺なんだぞ?


「レン、後で話し合いましょう。」


それは会話でだよな?

肉体言語とか言わないよな?


「やはり決闘だ!!


お前はまだやってのか・・・・


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