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ヴァナヘイム その② ヤンデレ再び

「レン、武器を造ってくれませんか?」


「別にいいが、お前だって造れるだろう。」


むしろ俺よりはるかに高性能な武器を造れるだろうし、そもそもこいつに武器なんて必要あるのか?


「私が造っても良いんですがこの世界で最高クラスの武器しか造れないんです。

魔法は威力が高すぎて加減しても殺してしまうかもしれませんし、レン以外に触れたくないんです。」


相変わらずのチート能力だな。


「分かった。

形状はどんなのがいい?」


「剣でいいです。

一番シンプルで誰でも使っていそうですから。」


剣ね。

普通に両刃の剣でいいか。


「これでいいか?」


「はい。

でも、レンから初めてもらうものが剣っていうのはちょっと残念です。」


これから下手しなくても殺し合いになるかもしれないのに緊張感のない奴だ。

しかし、初めてじゃないか? こいつが戦うところ。

いつも、そこに立っているだけで魔物を屈服させてきたから、こいつが接近戦で戦う姿はなかなか見ものかもしれない。


「まだ襲いかかっていないみたいですけどどうしますか?」


「もちろん襲われるまで待つ。

こっちが助けたってことにする必要があるからな。」


俺は甘いと自覚はしてるが善人ではない。

利用できるものは利用させてもらう。


「動きました。」


「それじゃあ行くか。」


「はい。」


side フリッグ



剣を持つのは久しぶりですね。

まぁ、剣だけでなく武器を持つこと自体6千年ぶりくらいですか・・・・

あの時は私の力を恐れ消そうとした神を返り討ちにした時です。

あの時も剣でしたね。

我ながらあの時は凄かったと思います。

一夜にして死体の山を築き、地面を血で染め上げました。

あの時はすべてを壊してしまおうと思ったぐらいなのに今はたった1人の人間に心を奪われ従っているなんてあのころだと思いもしません。


「どうかしたのか?」


「ちょっと昔を思い出してました。」


「お前の過去ねぇ。

興味ないな。」


「私の過去なんてつまらないものです。

そんなものよりレンと過ごす1日が何倍も大切です。」


「残念ながら俺はお前がいなかったときと変わらねぇよ。」


「それは嬉しいですね。

つまり私はレンの中ですでに平穏の一部になっているってことですよね。」


「そうだが俺の平穏の一部ってことはそこから変わらないってことを意味するんだけどな。」


分かっていますよ。

レンは変わらない、もしかしたら変われないのかもしれません。

でもそれを変えるには止まっているところにいないと無理ですよね。

つまり私は1歩前進しているってことです。


「変えて見せますよレン。

絶対に私のことを好きになってもらいます。」


「本当に物好きな奴だ。」


side out


敵は3人。

盗賊にしては身なりが綺麗だな。

となると誘拐か。

あいつの価値なんてアルフヘイムにいる人ならだれでも分かる。

だが逆にヴァナヘイムで知っている人ととなると限られてくる。

たぶんだが街でかなり高い地位にいる人だろう。


「またあのバカ息子の御使いってわけ?

私は何度も断ってるはずよ。」


状況を見る限りこの街のあいつのような立場の人があいつに求婚でもしてるのか。

いつまでも良い返事がもらえないから力ずくで手に入れようとしてるってとこだな。


「離しなさいよ!!」


大の男、それも3人がかりで抑え込まれたらあいつにはどうしようもないだろう。

そもそも、あいつはどうしてこんなところで1人でいたんだ?

気にしても仕方がないか。


「行くぞ。」


「分かりました。」


まずはサイレンサー付きの銃で適当に撃つ。


「ぐああああああああ!!」


「何事だ!!」


この世界に文明の武器である銃を説明したって意味がないだろうな。

1人は撃ち抜かれて行動不能、1人はあの女を抑えているから行動不能、1人は突然の襲撃に混乱しながらも周りを警戒か。

予想通りの結果だ。

あとは


「悪いがそいつを返してもらおう。」


「何者だ!!」


「ただの一般人だ。

目の前で誘拐現場を見てしまったからには助けようとするのが人情というものだろう?」


注目は集めた、後は頼んだぞ。



side フリッグ



相変わらずレンの作戦はすごいですね。

すべてレンの言う通りのことが進んでいます。


「ただの一般人だ。

目の前で誘拐現場を見てしまったからには助けようとするのが人情というものだろう?」


全員がレンに目を向けてます。

後は私の役割です。

音を出さず、気配を悟られず、迅速に意識を刈り取る。

それが私がレンに与えられた役目。

これだけレンに注意が向いていれば問題ありません。

そうでなくても私が人相手に気付かれるはずなんてありえないんですけどね。

あくまで目立たないということが優先ですからね。


side out



「死にたくなければそいつを返してもらおうか。」


「お前のような小僧に俺が負けるか!!」


1人目。

これで人質は使えない。


「やってみなきゃ分からないだろ?

もっともその必要もなくなったがな。」


「なに?」


2人目。

こいつで最後だ。


「後ろを見てみろ。

お仲間が倒れてるぞ。」


「そんな幼稚な嘘に騙されるも・・・・・・」


「ご苦労様。」


「この程度に疲れなんてしませんけど、せっかくのレンの労いの言葉なのでありがたく受け取っておきます。」


それにしても音が一切なかった。

かなり無茶な注文だと思ってたんだが杞憂だったみたいだな。


「どういうつもり?」


忘れるところだった。


side ミナ


まさかあんな力技でくるとは思わなかったから油断してた。

結果的には助かったんだけど・・・・・


「どういうつもり?」


この際どうやって気付いたかはどうでもいい。

気になるのはなぜ私を助けたか。

私があいつらに捕まれば確実に私を離すことができるのに。


「俺がお前の頼みを断っただろう。

それがどうにも悪い気がしてな、ここでお前を助けて自己満足する為だ。」


「本当のことを言いなさい。」


そんな適当なことを言ったて誤魔化されない。

なにかもっと打算的な理由があるはず。


「別に信じてもらう必要はない。

これは俺の自己満足以外のなにものでもないからな。

これで気持ちよくお前と縁が切れそうだ。」


本当にそれだけの理由なの?

私の願いを断ったから?

だって、あれは私が押しつけようとしたもので断られて当然のことなのに。


「これに懲りたら1人で動きまわるのは止めることだ。

じゃあな。」


「待って!!」


「俺は観光したいんだ。

手短にしろ。」


やっぱりこの2人は欲しいけど・・・


「助けてくれてありがとう。」


「気にするな。

さっき言ったがこれは俺の自己満足の為だ。」


「ねぇ、たまにでいいから、あなたの平穏を崩さない程度いいから私が他の所へ行く時護衛をお願いしていい?」


これで駄目だったらもう諦めよう。


「月に1回。

これが限界だ。」


「ありがとう!!」


あっ、嬉しさ余って抱きついちゃった。



side out



「ありがとう!!」


「離れろ!!」


この状況はやばい。

後ろの奴の機嫌が秒ごとに悪くなってる。

このままではキスだけじゃ済まなくなる。


「ごめん。

お礼と言ったらなんだけど観光なら私が案内しようか?」


「お前は早く兄の所に戻れ。

次は助けないぞ。」


そこで残念そうな顔をするな。

また妙なフラグを立ててしまったみたいだな。


「またね。」


さて、ここまで後ろを振り向くことが怖いだなんて過去にないな。


「レン・・・・」


こいつ独占欲強すぎだろ!!

そもそも俺はお前の物になんてなったつもりはないぞ。

それなのにちょっと仕事の話をしただけなのにそこまで機嫌を悪くするんだよ。


「お前が何を思っているか知らないがとりあえず落ち着け。」


「私は落ち着いています。

レンがあの女になびく前に私が・・・・・」


私が、なんだよ!!

お前ときどき性格変わりすぎだ。


「レン・・・・」


やばい体が動かない。

あいつの顔が目の前に


「んっ・・・・」


またか!!

しかも、今度は舌まで入れてきやがった。


「はぁ、レンは私の物なんですからあんまり他の女のことを見ないでくださいね。」


性格が変わった時のこいつはいろいろ危険だな。


「ちなみに俺が他の女の所に行ったら?」


「レンの記憶からその女のことを消して、その女は殺します。」


これがヤンデレってやつか。

マジで怖すぎる。


「そこまでするなら俺の感情を操った方が早いだろ。」


「私はレンに愛されたいんです。

人形に愛されたいわけじゃありませんから。」


とりあえず洗脳はされないみたいだな。

でもこれって百年後死ねるのか?


「おまえ「いい加減名前で呼んでください。」フリッグは俺が百年間振り向かなかったら死なせてくれるのか?」


今のこいつに逆らえるやつがいたら見てみたい。


「その時は諦めます。

レンが自主的に生きると思ってくれなければ目の前で何度も自殺されそうですから。」


間違いなくそうするだろうな。

とりあえず百年後の死は問題ないようだ。


「ちなみに俺はあいつの依頼は受けようと思うがお前はどう思う。」


「私はレンに従いますよ。

ただし、必要以上にべたべたしないでくださいね。」


「分かってるよ。」


誰だって分かっている地雷を踏む勇気なんてない。

そんなことができるのは本の中にいる鈍感な主人公だけだ。


「それじゃあ観光を続けましょうか。」


元に戻った。

嫉妬が引き金みたいだな。

しかも、ただ抱きつかれただでだ。

あの女は俺に好意は持っているようだがこいつのように積極的な気持ちじゃないはずだ。

あれは本当に嬉しさ余っての行動だってのにあれだ。

迂闊な行動はできないな。




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