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ヴァナヘイム その① デートとミナの夢

総合評価100P突破。

これからもよろしくお願いします。

あれから特に何事もなく無事に隣の街、ヴァナヘイムへと到着。

アルフヘイムが魔法を主体としている街とするならヴァナヘイムは自然との調和を主体としている街だ。

そして、この国の食物の五割はここで生産され、各街へそして街が管理している小さな村に供給されている。

もちろんその食物を狙って魔物や盗人が後を絶えないらしいが森の民と呼ばれる一部の人外じみた民族がヴァナヘイムが治めている近隣すべてを守っているためそこまでの被害はないらしい。


「ここはいいところですね。

空気がきれいで、ここの人たちも生き生きして食べ物もおいしいです。」


そして今俺はこいつと街を観光中。

これがデートってことくらいは普通に分かるがそれを言ってしまうとこいつが暴走するビジョンが鮮明に浮かんでしまうから絶対に言えない。

まぁ、本当にここの食べ物は美味い。

現地で作られているだけあって鮮度が高く料理する方の腕もかなり高い。


「レ、レン、あ、あーん////」


何をやってるんだこいつは・・・・・


「馬鹿なことやってないでさっさと食え。」


うん、美味い。

どうやったらこの味が出せるか是非聞いてみたいところだ。


「ぐすっ・・・・・・・」


・・・・・・またか。

最近、泣かないからようやく安定してきたと思ったがまだまだ情緒不安定なところは直っていなかったらしい。


「おい、こんな公衆の前で泣くな。」


言い忘れたがこの街は自然との調和、つまり豊穣の街だがそれとは別にもう一つある。

それは愛の街。

それを謳うだけあって近親婚から同性婚まで認められている愛さえあれば問題ないと本気で言ってるような街だ。

そんなところで若い男女が女を泣かせている。

この構図はかなりまずい。

既に周りには人がちらほらと集まり、早く慰めろと視線で伝わってくる。


「ひっく・・・うっ・・・ぐすっ・・・・あーん・・・」


これをやれというのかこいつは・・・・・

しかも周りの連中が増えてやがる。

なんだこの状況? いったい何の羞恥プレイだ。

だがこのままやり過ごそうとしてもその内、周りから強制させられそうだ。

仕方がない、腹をくくるか。


「おい、やるなら早くやれ。」


「ふぇ・・・・・あーん。」


やばいこれは予想以上に恥ずかしい。

これは俺が死にたがりでなくても死にたくなるような場面だ。


「えへへへ////」


こいつはこいつで滅茶苦茶幸せそうに笑ってやがる。


「レン、あーん。」


しかもまだ続くのか・・・・

周りの奴らはいなくなったがこれ無視するとまた寄ってくるんだろうな・・・・・・

死にてぇ・・・・・


side フリッグ


はぁ~。

今の気分を一言で表すと幸せ、その一言に尽きます。

レンが恥ずかしながらも私が差し出した物を食べてくれる。

幸せすぎてこれは夢じゃないかと思うくらいです。


「レン、私にもください。」


「・・・・・ほら。」


美味しいです。

もちろんこの料理自体も美味しいのですが、なによりレンから食べさせてもらうということが最高のスパイスになってます。

どうかこのささやかな幸せがいつまでも続きますように。



side out



疲れた・・・・・

あの後結局食べ終わるまで、食べさせ合いが続いて、ようやく終わったと思ったらその店の店長が何を言うかと思えば


「お前ら2人の愛に感動した。」


訳が分からん。

そして、サービスと言ってジュースを置いて行きやっが。

もちろん2つのストローが1つのグラスにはいったあれだ。

すぐ逃げようとしたが周りが逃がしてくれず観衆の中、2人で飲みきった後観衆の拍手だ。

もう乾いた笑いしか湧いてこねぇ。

そしてようやく宿泊施設に着いたかと思えば2人1部屋。

さらにベットは1つだけ。

流石に死なないと分かっていても頭に銃を突きつけてしまった。

もちろんあいつに止められたが。

そして今はというと


「レン、もう寝ましたか?」


1つのベットに2人で寝ている。

もちろん端と端だ。

ただでさえ理性が崩壊しそうな奴なのに、そんなことになってみろ、間違いなく襲ってしまって永遠にこいつに付きまとわれる。


「レン、ごめんなさい。

私こういうの初めてではしゃぎすぎてしまいました。

でも、レンは優しいから付き合ってくれるって甘えちゃって、レンに迷惑をかけてごめんなさい。

寝てるときに言っても分からないですよね。

でも、正面からだと言えないと思いますからずるいですけどごめんなさい。

そして、ありがとう。

今日は楽しかったです。」


ああ、くそ!!

そんなこと言われて怒れるような性格してないんだよ!!

はぁ~。

また明日もこうやって許してしまうんだろうな。

それでも、誰かが笑っていてくれるなら少しは我慢するか。



side フリッグ


本当に寝てしまったんですね。

実はレンが起きてることには気づいていました。

レンはきっと許してくれるでしょう。

私はまたレンの優しさに甘えてしまいました。

でも、レンの優しさに甘えることになったとしても私はレンと一緒に幸せになりたい。

レンにも誰かと分け合える幸せがあることを知って欲しい。

私はレンからたくさんの幸せを貰いました。

だから私もレンにたくさんの幸せを返してあげたい。

だからこそ私は引くことはできません。

変わらない日常に囚われ止まってしまったレンが変わろうと思えるまで。

愛していますレン。


side out



ヴァナヘイム滞在2日目



とりあえず昨日のような目に会うのはごめんだからな。

とりあえず郊外をうろつくことにした。

だが何か運命なのだろうか


「あっ!!」


またこの女と会ってしまった。

だが冷静になれ、こいつは俺の前に現れてはいけない約束だ。

つまりこいつは俺たちが離れれば追いかけてこられない。


「ちょっと待ちなさいよ!!」


知るか!!

こっちは息抜きに来てるんだ。

どうして息抜きで溜めこまなきゃいけないんだ。


「うっ・・・ぐすっ・・・・」


俺が女の涙に弱いと知ってのことか?

残念だが嘘泣きなら義妹の演技で何度も見慣れている。

嘘泣きなんて俺が最も嫌いな行為だ。



side ミナ


あれ?

確かあいつは女の涙に弱いはずなのに。

もしかして嘘泣きがばれた?

ちょっと待って!!

置いて行かないでよ!!


「ひっく・・・・うぁ・・・・ぐすっ・・・・・」


待ってよぅ


side out



やばいあれはマジで泣いてやがる。

俺の脚よ前に進め!!

頼むから、これであいつ慰めたら面倒くさいことは目に見えてる。

動け!!


「はぁ、なんだよ?」


俺は本当に馬鹿なんじゃないんだろうか?


「ぐすっ・・・はなしきいて。」


ああ、あいつが不機嫌になってる。

今夜、理性保つかな・・・・・


「分かったから、手を離せ。」


「や、またにげるから。」


こいつの幼児退行は面倒だな。

これを置いて行くと思うととんでもない罪悪感が・・・・

最近こんなのばっかりだな・・・・


「逃げねぇよ。

こんな状態のお前を放っておけるか。」


「うん。」


side ミナ



「どうしてそんなに嫌なの?」


泣きやんだ後、自分がどんなことをしたか自覚した時、本気で逃げようかと思ったわ。

会って数日の男に泣きながらすがるって、兄さんが聞いたら爆発するわね。


「お前がいると俺の平穏が崩れるからだ。」


また平穏・・・・

確かにそれが大事なのは分かるけど若いうちは退屈に感じるものでしょ?


「ちなみにお前は俺たちを仲間にして何がしたいんだ?」


やっと聞いてくれた。

ここまで付きまとわれてまだ聞かなかったらどういうつもりか逆に問い詰めそうだったわ。


「私は世界中を旅したいの。

アルフヘイムはいいところだけど、ずっと同じところにいたら他の所にも行きたいと思うでしょ?

私はアルフヘイムではかなり特別な存在だから他の街へは何度か行ったことあるけど、それは街だけ。

私はいろいろなところを旅していろいろなところを見て回りたいのよ。」


それが私の夢。

世界の広さをこの身で感じたい。

いずれ私がこの街を治める時にもきっとその経験は役に立つ。

でもそれには私と兄さんだけじゃ駄目。

せっかくの旅なのにハプニングの1つもないと楽しくないし、なにより兄さんが強いとはいえ1人じゃ不安だ。

そこに、妹さんは言わずともこいつだって頭は回る。

この2人が同行してくれればそれに勝るものはない。


「悪いな。

俺はあの街から出るつもりはない。

たまにはこうやって仕事で他の街へ行くことはあったとしても、自ら作り上げた生活を捨てるつもりはない。」


「どうしてそこまで平穏にこだわるの!!」


「お前の夢は旅をすること、俺にも生涯平穏で過ごすっていう夢があるんだよ。」


「質問の答えになってない!!

どうして平穏を求めるかを聞いているの!!」


「それが俺の幸せだからだ。

世界なんて絶妙なバランスで成り立ってる。

ちょっと揺れただけで世界は崩れる。

それは平穏も同じだ。

だからこそ俺はその平穏を保ってみせる。」


駄目だ。

こいつは絶対に折れることはない。

いくら女の涙に弱いと言ってもこの一線だけは守り通すはずだ。


「それなら私に雇われない?

仕事でなら他の所にも行くんでしょう?」


もうこれしかこいつを引き込める要素はない。


「断る。

今収入は安定しいてる。

わざわざ危険を冒す必要はない。」


やっぱり駄目か・・・・・



side out



やっと諦めたか。


「レン、あの女のことを尾行している者が何人かいます。」


「どういう心境の変化だ?

お前にとってあいつは邪魔以外何物でもないだろう?」


俺がそれを聞いたら間違いなく助けに行く。

俺の命と引き換えに誰かの命を救えるのならそれは俺が一番望むこと。

こんな俺に生きている意味を見いだせる。

そんなことこいつなら分かっているはずだが。


side フリッグ


「どういう心境の変化だ?

お前にとってあいつは邪魔以外何物でもないだろう?」


違いますよ。

私は私の為、レンの為にしか動きません。


「レンはあの女の願いを断ったことに罪悪感を感じてますよね?

それならここであの女を助けたら少しは罪悪感が晴れると思ったからです。」


「お前も良い性格してるな。

そうだな、ここで助けてすっぱりと縁を断ち切るか。」


私のすべてはレンの為に。

いつまでも傍にいます。


side out

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