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真面目なお話

「お話があります」


今までにこれほど真剣な顔をしたフリッグを見るのは初めてじゃないだろうか?


普段が普段だけに迫力がある。


「長くなりそうか?」


これは、時間が押してるから、長い話なら後にしろという意味ではなく、長くなりそうなら、立ったままではなく、腰を据えて話し合おうという意味だ。


「真面目な話なので、他の予定はキャンセルしてください!」


どれだけ真剣だろうとフリッグはフリッグだな……


毒気が抜かれた気分になり、溜息を一つつき、先ほどの言葉の意味を説明する。














場所を移し、リビングでフリッグと向き合い、話が切り出されるのを待つ。


心なしか空気がピリピリと緊張している。


どうやら、よほど重要な話のようだが、心当たりがないわけじゃない。


むしろ、ありすぎて、どれなのか見当がつかない。


例えば、リアに好き勝手に吹き込むアリスと舞花、アリスが余計な挑発で影を潜めていたミナに迫られるようにった事、隙あらばどこからでも手を伸ばしてくるアリス……抱えているほとんどの問題にアリスが関わっているな……


「私は考えたんです」


固唾をのみ、次の言葉を待つ。


ここまで緊張するのはいつ振りだろうか?


何はともあれ、最愛の妻の相談事だ、どんな難題だろうと必ず、解決してみせる。


「どうやれば、レンを魔の手から助け出せるのかを」


───まぁ、こいつが考える事なんてこんなものか……


分かっていたはずなのに、どうして俺はあんなに緊張していたんだろうか。


「これは以前から考えていた深刻な問題です!

レンにはすでに私もリアもいるというのに、一向に誘惑の手が冷めやまないのは何故ですか!?」


お前が本気でテーブルを叩くな、真っ二つに割れただろうが……


後で、舞花に直してもらうとしよう。


「レンが誰にでも優しいのは仕方ありませんし、仕事ができて、お金持ちで、家庭的で、権力だって持ってればそれはモテますよ!」


こいつはさっきから一人で何を言ってるんだろうか?


そもそも、俺に声を掛けてくる半分以上は色仕掛けだし、すべて断っている。


「そこで、私は考えました!

どうやれば、レンを誘惑から遠ざけられるか!」


「もう、夜も遅いんだから叫ぶな、リアだって寝てるんだぞ」


「リアは深い眠りについているので問題ありません」


こいつはこんなくだらない話の為に、娘に魔法を掛けたのか?


これは本格的に舞花に教育してもらった方がいいのかもしれないな……


「一番いいのはレンを閉じ込めてしまえばいいんですが、仕事帰りの夫を迎えるのが妻の役割なので、これは却下です」


そんな理由で俺は監禁を免れていたのか、やはり、舞花の教育の話はなしだ。


変に知恵をつけられると、想像だにしない悲劇が待っている気がする。


「そこで、私は思い出したんです!」


『思い出した』、フリッグと出会ってから15年、いろいろな事があったが、フリッグの要望を満たし、尚且つ過去に起こったことは1つしかない。


「落ち着け、フリッグ、お前は疲れてるんだ!

舞花には俺が言っておいてやるから、明日は一日ゆっくり休め!」


「私は疲れてなんていません!

もし、疲れさせる原因があるとすればレンのことだけです!

だからこそ、レンを───」


今すぐ、舞花を……、いや駄目だ、あいつも面白がって賛成する。


アリスなんてもってのほかだ、そもそも、フリッグがこんなことを言い出した原因かもしれない。


くそ、俺の周りにまともな奴はいないのか!


「女性にしま……むぅ!?」


全てを言わせないままに、フリッグの唇を無理矢理奪い取り、強引に舌を絡ませる。


こういう誤魔化し方は絶対にしたくなかったんだが、あのままでは、数秒後にでも性転換をされかねない。


苦渋の決断だったが、何度この場面に遭遇しても同じ選択をする気がするな。


「──んっ……はぁはぁ、もう、強引なんですからぁ……」


何故、この選択をしたくなかったか、それは異常なほどに悦ぶからだ。


何年経ってもフリッグのМっ気は治る兆しなど見えず、むしろ悪化したと言っていい。


以前、首輪をつけてきたときは驚いたものだ。


そして愚かにもそれに乗ってしまった俺はその後思い出したくもない破目になってしまう。


「レン、早くきてください……」


艶めかしく肢体をくねらせ、俺の体へと絡みついてくるフリッグは完全に出来上がっていた。


誤解を招いていそうだが、俺は別にフリッグとの情交は嫌ではない、俺も男なわけだから、むしろ逆といっていいんだが、流石に娘が隣にいてやれと言われても憚れる。


付け加えると、この状態のフリッグはそう簡単に満足してくれず、長期戦になる可能性大だ。


「焦らしちゃいやです……はぁ、レンが私をこうしたんですから責任取ってください……」


「せめて、他の場所に移さないか?

リアが傍にいたら、やりにくいだろ?」


「んっ、わ、分かりました……、今日もいっぱい可愛がってくださいね」


















「おはようございます♪」


いつもの5割増しくらいでご機嫌なフリッグ。


昨日あれだけやったというのに、疲れるどころか逆につやつやしてやがる……


「おはよう」


対する俺は、少々やつれてるというか疲れ気味だ。


一般人と比べて体力が劣るわけではなく、フリッグの体力がありすぎる。


「お兄ちゃん、ご飯だよ……っちぇ」


「やはり、アリスの仕業か……」


「そういうお兄ちゃんも、予想通り丸め込んだんだね」


「今回はいったいどういうつもりだ?

毎回毎回、フリッグを誑かすのは止めて欲しいんだが」


もう数えるのも億劫に成程、アリスに誑かされ、あれこれ仕掛けられている。


まぁ、その度に適当にあしらってるわけだが、時々、今回のように危ない時があるから困る。


「お兄ちゃんが男だったら、どういてもアリスは受けることになっちゃうじゃない?

お兄ちゃんはお姉ちゃんといっぱいしてるから、それだとなかなか堕ちないと思って、女の子にして、まずは体から堕とそうかと思ってのことだよ!」


そういうことを胸を張って言うな。


「ア・リ・ス~、いい加減にレンのことは諦めてください!

たまに貸してあげてるんですから、それでいいじゃないですか!」


「い~や、アリスはお兄ちゃんの身も心も欲しいの。

そもそも、騙されるお姉ちゃんが悪いんだよ」


「むぅぅぅぅ! もう絶対にアリスの言うことなんて聞きませんからね!」


もう、毎回恒例のパターンだ。


こう言った3日後には、またアリスに懐柔されている。


「あんた達、いつまで待たせるつもりよ!」


「あ、ミナお姉ちゃん、お兄ちゃんを女の子にしたら2人で虐めてあげない?

流石のお兄ちゃんも2人掛かりでやれば、我慢できないはずだし」


「そ、そんなこと、するわけ……ないでしょ……」


ミナよ、頼むから言葉の勢いを殺さずに言ってくれ。


果てしなく不安になるだろうが。


「それは面白そうですね、私も混ぜてくれませんか?」


「舞花、頼むからこれ以上場を乱すな」


「何事も新しい刺激というものは大切です」


「レンさんは私が守ります!」


「リア、私のセリフを取らないでください!」


騒がしすぎる朝、もう、何年も見てきた当たり前の光景だ。


これがまた見れたということは、俺の幸福はまだまだ続くんだろうな……


「レンは私のものです!」


まぁ、苦労も続きそうだけどな……


とりあえず番外編はここで打ち止めにさせていただきます。


また、気まぐれ?が起きないとはいえませんが、更新が止まっている2作品をそろそろ再開しようと思います。


それではまたどこかで会いましょう(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆



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