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番外編 望んだ世界

「舞花、いつも、悪いな」


「そんなことを気にする余裕があるなら、早く良くなってください」


「手厳しいな、まぁ、妹様の叱責も貰ったんだ、すぐに良くなるだろう」


この先の結果はもう何度も経験した通り、これから入退院を繰り返し、近くない将来に……


「そうですよ、早く良くなってくれないと、誰が私のご飯を作るんですか」


「そうだな、俺のせいでお前まで栄養不足で倒れられたら堪らない」


「そろそろ、回診の時間ですか、それでは、また来ますね」


「ああ、またな、舞花」









今回も駄目ですか、あらゆる方法を試しているのに兄さんは救えない。


やり直した回数なんて数えたくないのに、私の脳は忘れる事さえできない……


「あ、舞花ちゃん、蓮君の調子はどうですか?」


「だいぶ良くなってはいますよ、今回診を受けている最中です。

結果が良かったら近日中にでも退院できるでしょう」


「そうですか、それじゃ、お祝いをしないといけませんね~」


「是非、そうしてあげてください。

兄さんもきっと喜ぶと思います」


「舞花ちゃん、何かあったんですか?」


「どうしてですか?」


「私が蓮君に近づくことを許している時点でおかしいですよ」


「私もいい歳です、いい加減兄離れしてますよ」


「そうですか、では、今から蓮君に婚約を申し込んできてもいいんですね?」


「どうぞ、兄さんが了承するとは思えませんけど」


「なんだか調子が狂っちゃいますね。

今日のところは止めておきましょう。

だけど、何かあったら相談してくださいね」


もう、何もかも遅いんですよ。


だから、次こそは、兄さんが笑っていられるように


「巻き戻れ」









「また、懐かしい夢を見ましたね」


あの時、和緩先輩に相談していたら何か変わってたんでしょうか。


今更、考えても意味のない事ですか。


結局、私には兄さんを救うことなんてできなかったんですから。


あの時、命を懸けて、私に伝えてくれた義姉の言葉のおかげ


「どうした、舞花?

悩み事なんて、珍しいな」


「いえ、義姉もまだまだ、だと思いまして」


「ちょっとくらい褒めてくれてもいいんじゃないですか?

私は褒められて伸びるんですよ」


「そうですね、まぁ、多少の進歩を認めましょう」


「聞きましたか、レン!

あの、鬼のように厳しい舞花がやっと私のことを認めましたよ!

もう、私とレンを阻む者はいません、思う存分いちゃいちゃしましょう!」


「調子に乗らないでくださいね、食べたられたものではなかったものが、我慢すれば食べられる程度の進歩です」


「うぅ、少しくらい調子に乗らせてくださいよ……」


「私の兄さんの嫁というからにはこの程度でへこたれていては話になりませんよ」


「レンは私のものです、例え、妹であろうともそれだけは譲れません」


そう、だから、最愛の兄さんとその兄さんが愛し、私に私の限界を教えてくれた義姉が幸せでいてくれることが、それを傍で見続けることができる事が何よりの私の幸せ。


「それを決めるのは兄さんです。

さて、兄さん、ポンコツの新妻と完全無欠の義妹、どちらがいいですか?」


「だ、誰がポンコツですか!」


「では、私に何か1つでも勝てる要素がありますか?」


でも、こうやってからかうことくらい許してほしい。


本当は義姉のことは大好きですけど、素直になれない私なんです。


兄さんは気付いているようですけどね。


「レンを愛する心なら負けません」


「そうですか、ではその心があればもう少し厳しくしても大丈夫ですよね?

へこたれるということは兄さんへの愛はその程度だったということですし」


「言わせておけば、良いでしょう、どんなに厳しくされたって絶対にへこたれません!」


「その言葉、後悔しないでくださいね」


「うっ、レ、レン、舞花が怖いです……」


「あぁ、よしよし、辛くなったらいつでも言えよ。

俺には慰めることくらいしかできないけどな」


「レンに慰めて貰えば元気百倍です。

だから、くらい、だなんて言わないでください」


「お前は本当に可愛いな」


「あぅ……」


私が眼の前に言えるというのになんという桃色空間でしょうか。


この2人、隙さえあればいつでもこうなってしまうから手に負えませんね。


兄さんはあんな堂々といちゃつける性格ではなかったはずですが、それ程、義姉の事が好きなんでしょうね。


それに、私を安心させるためにという、さりげない気遣いも考慮しているのでしょう。


「レン、私、したくなっちゃいました……」


「それは夜まで我慢だ。

今はこれで我慢してくれ」


「んっ、はぁ、レン、大好きです」


「あぁ、俺もだ、フリッグ」


しかし、兄さんもまだ妹心が分かっていませんね。


いくら、2人が幸せになって欲しいとはいえ、ここまで、目の前でいちゃつかれたら、私だって嫉妬してしまいますよ。


「さぁ、それだけいちゃつけば十分でしょう。

そろそろ、始めますよ」


「いいでしょう、今の私はどんなことがあっても負ける気がしません!」


「いい心意気です」


本当に、この人が兄さんと結ばれて良かった。


兄さんを支えてくれる人がこんなにもいてくれて本当に良かった。


「兄さん、幸せですか?」


「ああ、間違いなく、幸せだと断言できる。

舞花、お前はどうだ?」


「そんなの、決まっているじゃないですか」


変えられない運命だと、これだけの力を持ってしても無駄だと、何度も打ちひしがれ、絶望するしかなかった。


でも、目の前にある光景は、希望に満ち溢れてて、私がたった1つ望んでいた場所。


最愛の兄さん、兄さんと結ばれた義姉、兄さんをずっと支えてくれてる皆が笑いあえるこの世界。


「幸せですよ、兄さん」


「───よかったな、舞花」


「なにも、泣くことなんてないじゃないですか」


「ああ、悪い、だが、お前の口からどうしてもその言葉を聞きたかった。

俺はお前を人することができても、幸せにすることはできなかったからな」


「何を言ってるんですか、誰が何と言おうと、私を幸せにしてくれたのは兄さんです。

本当に、ありがとうございます」


「俺もお前も、涙もろくなったな」


「はい、でも、悪くはありません」


「ああ、悪くないな」


「人が見てないところで、何をいちゃついてるんですか!」


「ほら、お前の大好きな姉が呼んでるぞ」


「そうですね、愛が行き過ぎて泣かせてしまうかもしれません」


「その時は俺が慰めてやるさ」


「はい、任せましたよ、兄さん」


私の世界はこんなにも光り輝いてる。


いつまでも、この日々が続きますように、柄ではないですが、祈りましょう。


この幸福な日々に、祝福を




舞花はほんっっっとうに、良い娘なんです (ノ_・。)


誰よりもレンとフリッグの幸せを望んでいます。


レンは勿論の事ですがフリッグの事も大好きです。


でも、舞花は好きな相手をからかったり、ちょっと苛めたり、素直になれないので、愛情表現がレン以外には理解されにくいです。


さて、『死にたがりな主人公とその仲間たち』も次回で完結にしようと思います。


次回『絆』


それではまた次回(。・ω・。)ノ~☆'・:*;'・:*'・:*'・:*;'・:*'バイバイ☆

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